今回ご紹介する言葉は、「おいたわしや」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「おいたわしや」をざっくり言うと……
読み方 | おいたわしや |
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意味 | 気の毒で同情せずにはいられないなあ、という気持ちを表す定型表現 |
類義語 | お可哀想に、何という有様か |
英語訳 | poor(気の毒な) |
「おいたわしや」の意味をスッキリ理解!
「おいたわしや」の意味を詳しく
「おいたわしや」とは、気の毒で同情せずにはいられないなあ、という気持ちを表す定型表現です。
「おいたわしや」を分解すると以下のようになります。
- 御(お):形容詞につき「丁寧」の意味を添える接頭辞
- いたわし:同情の気持ちを表す「労しい(いたわしい)」
- や:「〜だなあ」と詠嘆を表す間投助詞
「おいたわしや」は、「いたわし」という形容詞に、丁寧、上品に表現する接頭辞「御(お)」と、「〜だなあ」という詠嘆を表す間投助詞「や」がついた形です。
もともと「おいたわしや」で古文の定型表現であり、文法の法則は現代語でなく古語に当てはまります。
ただし、形容詞「いたわし」は、現代語でも「労しい(いたわしい)」という形で使われています。「労しい」は以下のような意味に分けられます。
- 不憫で、同情せずにはいられない
- 気苦労である
- いたわって大切にしたいと思う
- 病気で苦しい
「労しい」の根本の意味は「いたわりたくなるような状態である」です。そこから、いたわりたいと思う気持ちや、相手がいたわりたいと思うような苦しみを持つ様子の意味に派生しています。
「おいたわしや」の「いたわし」は、①の「不憫で、同情せずにはいられない」という意味になります。
そのため、「おいたわしや」は「同情せずにはいられませんなあ」といったニュアンスになります。
「おいたわしや」の使い方
- まだまだ若いのに両親とも亡くしてしまうなんて、おいたわしや。
- おいたわしや、災害に巻き込まれて大怪我をしてしまうとは。
上記の例文のように、「おいたわしや」は、同情すべき状況に対して使われます。
①の例文では、「若いのに両親を亡くしてしまった」という状況に対し、「おいたわしや」という言葉を使って同情心を表現しています。
②の例文では、「災害に巻き込まれて大怪我をしてしまった」という状況に対し、同情心を表現しています。「おいたわしや」はそれだけで独立したフレーズになるため、倒置法的に、文の冒頭に置くこともできます。
「おいたわしや」の類義語
おいたわしやには以下のような類義語があります。
- お可哀想に:不憫な状況に対し、同情心を表す
- 何という有様か:状況に対し、驚きと同情を表す
「お可哀想に」「何という有様か」との違い
「おいたわしや」「お可哀想に」「何という有様か」の違いは以下の通りです。
- おいたわしや:同情せずにはいられない気持ち
- お可哀想に:不憫な状況に対する同情の気持ち
- 何という有様か:状況に対し、驚きと同情の気持ち
「お可哀想に」「何という有様か」は、相手や悲惨な状況に対し、同情を表す気持ちです。
どれも同じように思えますが、「おいたわしや」は、自然と同情の気持ちが湧き上がってしまうようなイメージであるのに対し、「お可哀想に」「何という有様か」は、相手に対して同情の気持ちを伝えるための言葉で、「同情せずにはいられない」ほどの強い感情ではありません。
このように、抱いている感情が強い同情である場合に「おいたわしや」が使われるのです。
「おいたわしや」の英語訳
おいたわしやを英語に訳すと、次のような表現になります。
- poor
(気の毒な) - sorry
(気の毒な) - pity
(哀れみ)
“poor” の意味
“poor” は、形容詞の限定用法でのみ「気の毒な」という意味になる英単語です。
“poor” には「貧しい」「乏しい」という意味があり、使い方を間違えるとまったく意味の違う言葉になります。
「気の毒な」の意味の “poor” は限定用法であるため、以下のような文章になります。
(気の毒にも、その少女は去年両親を亡くした。)
girlの直前に置くことで「気の毒」というニュアンスが伝えられます。 “A is〜” といった、いわゆるSVC構文では、「気の毒」という意味になりません。以下のような使い方をすると意味が変わってしまうため注意しましょう。
(その少女は貧しい。)
“sorry” の意味
“sorry” も「気の毒な」という気持ちを表すことのできる英単語です。
よく、 “I’m sorry.” が謝罪の意味で使われますが、たとえば、以下の例文では同情の意味で使うこともできます。
(お気の毒です。)
この例文では、相手の言葉を受けて、「お気の毒です」と返事をしたい場合によく使われます。この場合は相手に謝っているわけではないため、誤解しないようにしましょう。
“pity” の意味
“pity” は、「哀れみ」「同情」といった意味の名詞です。
以下のように、 “It’s a pity〜” という構文でよく使われます。
(脚を怪我するなんて、彼女はかわいそうだ)
まとめ
以上、この記事では「おいたわしや」について解説しました。
読み方 | おいたわしや |
---|---|
意味 | 気の毒で同情せずにはいられないなあ、という気持ちを表す定型表現 |
類義語 | お可哀想に、何という有様か |
英語訳 | poor(気の毒な) |
「おいたわしや」は、「同情」というニュアンスが含まれる言葉です。使い所は慎重に判断して、正しく使えるといいですね。