色々と様々はどちらも「たくさんある」という同じような意味を表すので、どう使い分けたら良いか気になりますよね。
そこで、この記事では中学1年生で漢検2級を取得した私が色々と様々の違いについて詳しく解説していきます。
見やすくわかりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
このページの目次
「色々」と「様々」の違い
色々と様々では以下のような違いがあります。
色々 | 様々 | |
---|---|---|
使用場面 | 口語 | 文語 |
意味 | 数がたくさんあること | 種類がたくさんあること |
それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。
使用場面の違い
色々と様々のもっともわかりやすい違いは、使用場面です。
色々は口語的なくだけた表現なので、日常会話などでよく用います。
一方、様々は文語的な堅い表現なので、堅い文章が好まれるビジネス場面や学問的な場面でよく用いられます。
以下の2つの例文を比べてみましょう。
色々を使った例文 | 旭川動物園には色々な動物がいる。 |
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様々を使った例文 | 旭川動物園には様々な動物がいる。 |
同じ例文でも、色々を用いると日常会話のような表現になり、様々を使うと堅い文章に書かれてそうな表現になりますよね。
意味の違い
色々と様々は意味がかなり似ていて、どちらでも使える場面も多いですが、厳密には意味にも違いがあります。
- 色々:数が多くある意味が強い
- 様々:種類が多くある意味が強い
色々は様々と比べて、たくさんあるモノの間の差が小さいというニュアンスがあります。
たとえば、「色々なペンがある」と言った時には、ペンの種類は同じだが、それぞれの色が違う様子を表すことが多いです。
一方、「様々なペンがある」と言った時には、万年筆、鉛筆、ボールペンなど、異なる種類のペンがたくさんある様子を表すことが多いです。
とはいえ、これは極めて微妙な違いなので、覚えていなくても特に問題になることはないでしょう。
ただ、以下のように、色々は使えても、様々は使えない場合もあります。
OK | 色々ありがとうございました。 |
---|---|
NG | 様々ありがとうございました。 |
そもそも、「色々ありがとうございました」は相手に感謝する数が多いことを伝える表現です。
そのため、数ではなく種類の多さを表す様々を用いることはできないのです。
「色々」の意味と使い方、語源
- 異なるモノや状態が数多くあること
- 多様な色
- 襲(かさね)の色目(いろめ)
「色色」と表記されることもあります。
日常生活では❶の意味だけ覚えておけば問題ありません。
➋、➌の意味は古文などで用いられることが多いです。
色々はモノだけでなく、「色々な考え方」など目に見えないことに対して用いることもできます。
襲の色目とは、平安時代以降の貴族たちの衣服の色合いのことです。
この時代の貴族たちは十二単(じゅうにひとえ)に代表されるように、同じ形の衣服を重ねて着用するのが一般的でした。
そして、袖や襟などで見える色合いの配色を「襲の色目」と呼び、こだわっていたのです。
「色々」の使い方
色々は日常生活などのカジュアルな場面で用いられることが多いです。
色々を使った例文には以下のようなものが挙げられます。
- この度は色々ありがとうございました。
- その図書館には色々な分野の書籍が揃っていた。
- 色々と用事が重なり、すっかり夜になってしまった。
- 世の中には色々な人がいるから、気をつけるに越したことはない。
- このジムには色々な職業の人が来る。
- 子育てと家事に追われ、色々疲れた。
- 社会に出る前に、色々と経験しておいたほうが良い。
上記の例文のように、色々は以下のような形で用いられることが多いです。
- 色々
- 色々な
- 色々と
ちなみに、この中でも「色々な」の形で用いられることが一番多いです。
「色々な」と用いられる時は音が変化して「いろんな」と発音されることが多くあります。
「色々」の語源
「色々」は「色」を重ねることで、もともと「色の種類がたくさんあること」という意味を表していました。
これが室町時代の後半になると意味が広がり、「異なるモノや状態が数多くあること」という意味を表すことが多くなってきました。
「様々」の意味と使い方、語源
物事がそれぞれ異なっていること
「様様」と表記されることもあります。
「様々なかばん」など、モノにも用いることができますが、「様々な意見」など目に見えないものに対して用いることもできます。
様々を「さまさま」と読む場合には、感謝の気持ちを表す表現になります。
「ここまで助けてくれるなんて、田中様々です」などの形で用いられます。
「様々」の使い方
様々は堅い文章やビジネス場面、学問に関する場面などフォーマルな場面で用いられることが多いです。
様々を使った例文には以下のようなものが挙げられます。
- 当店は様々な商品を取り揃えております。
- この寄宿舎には様々なバックグラウンドを持つ人が集まる。
- 会社の長期目標は様々な要素を検討した上で決定する必要がある。
- この国に住んでいる人の宗教はイスラム教、キリスト教など様々です。
- 機会が故障する原因は様々だ。
- 流行は時代とともに様々に変化していく。
- 卒業旅行で行った沖縄には様々な思い出がある。
上記の例文のように、様々は以下のような形で用いられることが多いです。
- 様々な
- 様々だ
- 様々に
この中でも「様々な」という形で用いられることが多いです。
「様々な」は「さまざまな」とひらがなで表記されることもあります。
「様々」の語源
様々の「様」には「物事のあり方や形」という意味があります。
この「様」を重ねることで、「物事のあり方や形がそれぞれ異なっていること」という意味を表しているのです。
「色々」「様々」の類義語
「色々」「様々」の類義語には以下のようなものが挙げられます。
- 数々(かずかず)
数が多いこと - 諸々(もろもろ)
多くのもの - 種々(しゅじゅ)
多くの物事や種類が揃っていること - 雑多(ざった)
多くのものがたくさんあること - 多彩(たさい)
種類が多く華やかなこと - 多様(たよう)
種類の違うものがたくさんあること - たくさん
数や分量が多いこと
「色々」「様々」と「数々」の違い
色々、様々と数々には以下のような違いがあります。
- 色々、様々
違う種類のものがたくさんあること - 数々
同じ種類のものがたくさんあること
数々はたくさんあるものの間に大きな差がないのです。
確かに色々も様々に比べればたくさんあるものの間の差は小さいのですが、数々は色々と比べても差が小さくなります。
そのため、「数々の木々が立ち並んでいた」と言った場合には、立ち並んでいる木は同じ種類なのがふつうです。
「色々」「様々」と「諸々」の違い
色々、様々と諸々には以下のような違いがあります。
- 色々
カジュアルな表現で敬語と一緒に用いることはできない - 様々
敬語と一緒に使えるフォーマルな言葉で「様々な」の形で用いられることが多い - 諸々
敬語と一緒に使えるフォーマルな言葉で「諸々の」の形で用いられることが多い
まず、色々と諸々は用いられる場面が異なります。
カジュアルな場面では色々が適していますし、敬語を使うようなフォーマルな場面では諸々が適しています。
一方、様々と諸々では用いられる形が違います。
諸々は様々と違って「諸々な」という形で用いることはできません。
「色々」「様々」の対義語
「色々」「様々」の対義語には以下のようなものが挙げられます。
- 画一的(かくいつてき)
何もかも同じで個性や特徴がないこと - 一様(いちよう)
すべて同じように揃っていること - 同様(どうよう)
ほぼ同じであること - 似たりよったり
差異がほとんどないこと
「色々」「様々」の英語訳
「色々」「様々」の英語訳には以下のようなものが挙げられます。
- various
(色々) - diverse
(多様) - versatile
(多芸な) - assorted
(様々に取り揃えた)
「色々」「様々」は重ね言葉なので注意
「色々」「様々」は重ね言葉なので、以下のような場面では用いてはいけない言葉です。
- 葬式
- 結婚式
- お見舞い
重ね言葉は、同じことが繰り返されることが連想されてしまうからです。
たとえば、結婚式の場合は、離婚してまた結婚式を挙げることになると連想されます。
これらの場面で色々、様々などの意味を表したい時には、「たくさん」「多様」などの表現を用いると良いでしょう。
「色々」と「様々」の違いのまとめ
以上、この記事では、色々と様々の違いについて解説しました。
- 色々
日常会話などカジュアルな場面で用いる - 様々
ビジネス、学問などフォーマルな場面で用いる
色々と様々の違いを身に着けられれば、様々な場面で役に立つはずです。
色々は口語として日常会話を中心に用いられ、様々は文語として文章や堅い場面を中心に用いられます。
また、意味にも若干の違いがあります。