四月は多くの人が働き始める時期です。働き始めることを表す熟語として「入社」が思い浮かびますが、「入職」と言う場合もあります。しかし、どのように使い分けるかを知らない人も多いでしょう。
今回は「入社」と「入職」の違いについて解説します。
結論:「入社」は会社に勤めること、「入職」は会社や組織に勤めること
- 入社(にゅうしゃ):一般の会社に雇われること、社員として勤めること
- 入職(にゅうしょく):一般の会社やその他の組織に雇われて務めること
「入社」をもっと詳しく
「入社」は「一般の会社に雇われること、社員として勤めること」を意味する言葉です。
つまり、企業勤めとなることを表します。株式会社・有限会社・合同会社などに勤めることが「入社」となります。
会社であれば、正社員に限らずアルバイトやパートとして勤めた場合でも「入社」を使えます。
しかし、学校や病院、役所などの勤務では「入社」を使うことができません。これらは一般の会社組織ではないためです。
一般の会社組織かどうかは、その組織のトップの呼び名で判断できます。組織のトップが「社長」であれば、「入社」と使えます。それ以外は「入職」となります。
「入社」の英語訳
「入社」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- entering company
(入社)
「入社」の使い方の例
「入社」を使用した例文を以下に示します。
- あこがれの企業に入社できたが、上司と馬が合わずに五ヶ月で退社してしまった。
- 昼過ぎに入社志望の学生が職場見学にくるから、仕事中の私語は控えるように。
- 海外旅行の予定を入れてしまっていたため、入社式を欠席した。
①の「入社」は「一般の会社に雇われること、社員として勤めること」を指します。「入社」の対義語は「退社」で、「社員が会社を離れる、やめること」を意味します。
②は「会社に雇われることを望む」という意味で「入社志望」が使われています。
③の「入社」は「入社式」で「新入社員を集めて行う式」を意味します。
「入職」をもっと詳しく
「入職」は「一般の会社やその他の組織に雇われること、就職すること」を指します。
「入社」は会社に務める場合にしか使えませんが、「入職」は職業全般に使うことができます。特に、「入社」を使えない学校や病院、役所などで働く場合に使われます。
- 銀行:入行
- 公務員:入省・入庁
- テレビ局:入局
「入職」の英語訳
「入職」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- accession
(入社)
「入職」と「就職」の違い
「就職」とは、「新しく職に就くこと」を意味します。一般的に、高校や大学などの学校を卒業したのちに、初めて職業に就くことを示しています。アルバイトやパートではなく、正社員として雇われた場合に使う言葉です。
「就職」は、職業全般に就く際に使えます。「入職」も職業全般に就く際に使えますが、学校や病院、役所などで働く場合に使うことが多いです。この点が「入職」と「就職」の違いです。
「入職」の使い方の例
「入職」を使用した例文を以下に示します。
- 長い学生生活を経て、ようやく病院に入職できた。
- 入職承諾書を提出できて、就職活動に決着をつけられた。
- 入職手続きがこんなに面倒くさいとは思ってもみなかった。
①の「入職」は「一般の会社やその他の組織に雇われること、就職すること」を意味します。
②の「入職」は「入職承諾書」で「入職の意思を示す書類」を指します。これを提出することで、企業・組織側は理由なしに「内定」を取り消すことができなくなります。
③の「入職」は「入職手続き」で「組織で働くにあたって必要な諸手続き」を指します。
「入社」と「入職」の履歴書での使い方
履歴書には職歴を書く欄があり、以下のように記します。
△△年△月 ○○株式会社 退社(退職)
退社は「会社を辞めること」だけでなく「一日の業務を終えて家に帰る」という意味も持つため、誤解を防ぐ目的で「退職」を使用する場合があります。
△△年△月 ○○学校 退職
履歴書では「入職」と「退職」をセットで使用します。ただ、「入職」の本来の対義語は「離職」となっています。「離職」の意味は「会社を辞めること」で、「退職」と同じです。
まとめ
以上、この記事では、「入社」と「入職」の違いについて解説しました。
- 入社:一般の会社に雇われること、社員として勤めること
- 入職:一般の会社やその他の組織に雇われて務めること