都会には無数のオフィスが立ち並び、スーツを着たビジネスマンが日夜汗を流しています。彼らは稼いだお金で欲しい商品を買い、それが各会社の収益になっていきます。
誰もが働き、それぞれが働きに応じたお金を得る。それが資本主義経済をもつ日本の在り方であり、世界のスタンダードになっています。
しかし、社会の在り方がそれだけではないことをご存知でしょうか。そう、「社会主義」と「共産主義」です。世界史における重要語句であるこの2つですが、同じような意味にとらえている人も多いのではないでしょうか。今回は「社会主義」と「共産主義」の違いについてまとめていきます。
(社会主義には社会民主主義とソ連型社会主義がありますが、今回は後者について扱います)
結論:「共産主義」は「社会主義」の先にある理想の形
「社会主義」は「共産主義」に至るまでの過渡期であり、第一段階です。「社会主義」が発展すると「共産主義」に至るといわれています。
社会主義
社会主義とは、国が経済活動を管理することにより、平等な社会を実現しようとする思想のことです。社会主義では生産手段の個人所有はなく、全て社会に共有されます。その上で、国のリーダーにより生産活動が計画的に行われます。
社会主義では、国の計画に応じて、個人に仕事が割り振られます。そのため本当は教師になりたい人でも、国に「工場で働け」といわれれば工場で働くことになります。
冷戦期には資本主義と対立する大きな勢力でしたが、現在は中華人民共和国、ベトナム、ラオス、北朝鮮、キューバなどの一部の国で残すのみとなりました。これらの国も多くが市場経済を導入しているため、資本主義に近い体裁となっています。
マルクスは社会主義を共産主義の前段階と位置づけ、「各人は能力に応じて働き、労働に応じて受け取る」状態であると表現しました。
共産主義
共産主義とは、社会主義がより発展し、あらゆる面で平等となった理想の共同社会を目指そうとする思想のことです。理想の共同社会とは、社会主義国家がより豊かになったことで、階級が完全になくなり、有り余る財産を人々が共同で所有している状態をさします。
その結果最終的に争いは全くなくなり、政府すらも必要なくなると考えられてきました。しかし今までの人類史において共産主義国家が成立したことはありません。
マルクスは「各人は能力に応じて働き、必要に応じて受け取る」状態であると表現しています。
まとめ
「共産主義」は「社会主義」が発展した先の理想の社会を目指す考え方です。社会主義国家は20世紀以降多数うまれ、現在も存在していますが、共産主義国家は一度も成立したことはありません。
以上、この記事では「社会主義」と「共産主義」の違いについて解説しました。
- 社会主義:共産主義に至るための過渡期
- 共産主義:あらゆる面で平等となった理想社会
ちなみに社会主義には衰退した大きな理由があります。それは働いても働かなくてももらえるお金が同じなので、労働者のやる気がなくなる、ということです。人間の本質が怠け者でなければ、社会主義の拡大や共産主義の実現も夢ではなかったかもしれません。