今回ご紹介する言葉は、熟語の「元鞘(もとさや)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳・鞘が由来の言葉についてわかりやすく解説します。
☆「元鞘」をざっくり言うと……
読み方 | 元鞘(もとさや) |
---|---|
意味 | 一度仲たがいした者たちが、再びもとの関係に戻ること |
語源 | 刀を使った後、鞘に戻す様子から |
類義語 | 焼けぼっくいに火がつく、よりを戻す、復縁するなど |
対義語 | 縁縁、離縁、絶交など |
英語訳 | get back together (よりを戻す) |
このページの目次
「元鞘(もとさや)」の意味をスッキリ理解!
ことわざ「元の鞘に収まる」が略された言葉です。
「元鞘(もとさや)」の意味を詳しく
「元鞘(もとさや)」は、一度仲たがいした者たちが、再びもとの関係に戻ることです。
別れた恋人や夫婦、仲たがいにより縁の切れた者同士が元の関係に戻った時に使います。
「元鞘(もとさや)」の使い方
- 離婚した二人が、3年後に元鞘に収まった。
- 別れた恋人と元鞘した。
- 喧嘩して絶交していた友人と元鞘に戻った。
①の例文は、復縁した夫婦の関係について書かれています。「元鞘に収まる」という表現が使われています。
②の例文は、復縁した恋人の関係について書かれています。「元鞘する」という表現は昭和を中心に流行しました。
③の例文は、絶交していた友人間での「元鞘」の使い方です。恋人同士でなくても使うことができます。
「元鞘(もとさや)」の語源
「元鞘(もとさや)」は、用いられている漢字に注目すると、語源から意味を理解できます。
「もとさや」の漢字の意味はそれぞれ以下の通りです。
- 元:はじめの状態
- 鞘:刀を収める筒
刀を使う時、鞘から取り出して、使い終わったら鞘に戻します。この様子から「元鞘」は「一度仲たがいした者たちが、再びもとの関係に戻ること」という意味で使われるようになりました。
「元鞘(もとさや)」の類義語
「元鞘(もとさや)」には以下のような類義語があります。
- 焼けぼっくいに火がつく:過去に恋愛関係にあった男女は、一度縁が切れても再びもとに戻りやすいということ
- よりを戻す:関係をもとに戻すこと
- 復縁する:離縁していた関係が元に戻ること
「焼けぼっくいに火がつく」の意味
「焼けぼっくいに火がつく」の「焼けぼっくい」は、一度燃えた棒のことを指します。一度燃えた棒は、燃えたことのない棒と比べて火がつきやすいことから「焼けぼっくいに火がつく」という表現が使われるようになりました。
「ぼっくい」は漢字では「木杭」と書きます。もともとは「棒杭」で、そこから変化したものです。
また、「焼けぼっくりに火がつく」と書くことは間違いですので注意しましょう。
「元鞘(もとさや)」の対義語
「元鞘(もとさや)」は以下のような対義語があります。
- 絶縁:縁を切ること
- 離縁(りえん):夫婦または養親子の関係を切ること
- 絶交:今までの関係を絶つこと
「元鞘(もとさや)」の英語訳
「元鞘(もとさや)」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- get back together
(よりを戻す)
“get back together” は「戻る」という意味の “get back” に「一緒に」という意味の “together” が合わさった表現です。
鞘が由来の言葉
「元鞘(もとさや)」は刀を保護する筒である「鞘」に由来する言葉です。以下は、「元鞘」以外の「鞘」に関係する言葉です。
- 反(そ)りが合わない:気心が合わないこと
- 鞘当て:ちょっとしたことから生じた喧嘩
「反りが合わない」は、刀の反りが鞘の形に合わないことから転じて、人同士の気心が合わないという意味で使われます。
「鞘当て」は、武士がすれ違った時、腰につけた刀の鞘が当たり、喧嘩が生じたことが由来となっています。転じて、ちょっとしたことから生じた喧嘩という意味で使われるようになりました。
まとめ
以上、この記事では「元鞘(もとさや)」について解説しました。
読み方 | 元鞘(もとさや) |
---|---|
意味 | 一度仲たがいした者たちが、再びもとの関係に戻ること |
語源 | 刀を使った後、鞘に戻す様子から |
類義語 | 焼けぼっくいに火がつく、よりを戻す、復縁するなど |
対義語 | 縁縁、離縁、絶交など |
英語訳 | get back together (よりを戻す) |
「元鞘」は、日本の刀文化から生まれた言葉です。壊れた人間関係が元に戻る様子を刀が鞘に収まる様子にたとえた豊かな表現です。