「対しょう」という言葉には、3つの字があります。「対象」と「対照」と「対称」です。読み方は同じで字面も似ていますが、意味はそれぞれ異なります。使い分けに困ったことある方も多いのではないでしょうか。
今回は、「対象」「対照」「対称」の違いについて解説します。
結論:「対象」は相手、「対照」は照らし合わせ、「対称」は釣り合い
「対照」とは、2つの物事を照らし合わせて違いを比べることです。
そして「対称」とは、物と物の間に釣り合いが保たれていることです。
「対象」をもっと詳しく
「対象」とは、意識や行為が行き着く先の相手や目標物のことです。英語でいうところの “target” に当たる表現です。
例えば「尊敬する対象」や「対象年齢」という使い方があります。前者は尊敬の気持ちが行き着く先の事物という意味で、後者はある物事を行う人物を想定した時に、意識される(適当と考えられる)年齢のことです。
「対象」という言葉には、1つの物事、もしくは複数でも一括りとなる物事に対して用いられるという特徴があります。
「対象」の使い方の例
- 恋愛対象として彼を見てはいない。
- このアトラクションの対象年齢は 15歳以上です。
- 捜査対象者をついに発見した。
「対照」をもっと詳しく
「対照」とは、2つの物事を照らし合わせて違いを比べることを指します。英語で言うと “contrast” です。「対象」とは違い、字必ず 2つの物事について言及する際に使われます。
代表的な言い回しに「比較対照」があり、2つの物の違いを見比べて検討することを指しますが、間違えやすい表現に「比較対象」があります。こちらは、例えばAという物があったときに、違いを比べるために用意されたBのことを指します。要するに、比較する対象のことです。
また、「対照」は、2つの物を比べて浮かび上がってきた違いが際立っていたり、反対の関係にある様も表します。例えば「対照的」という言葉があり、違いがはっきりしている様について言及する際に使われます。
「対照」の使い方の例
- 英語の本文を日本語訳の文と対照する。
- 彼らは兄弟なのに対照的な性格だ。
- A社とB社の業績は好対照をなしている。
➌の好対照とは、正反対であるという意味です。
「対称」をもっと詳しく
「対称」とは、2つの物の間に対応関係があり、釣り合っている様を表します。英語では “symmetry” と言います。こちらも、「対象」とは違って 2つの物について言及する際に使われる言葉です。
例えば中心の点に対して 2つの図形が向き合う位置にあることを「点対称」と言い、中心の直線に対して 2つの図形が向き合う位置にあることを「線対称」と言います。左右対称は線対称の 1種です。
また、物の形や配列に釣り合いが取れている様を形容する言葉として「対称的」という言い回しがあります。
「対称」の使い方の例
- “X” は、中心線を軸にすると左右が向き合う文字なので、線対称だ。
- 人間の顔は、実は左右対称ではない。
- この絵画のすばらしさは対称的な美しさにある。
まとめ
以上、この記事では、「対象」「対照」「対称」の違いについて解説しました。
- 対象:意識や行為が行き着く先の相手
- 対照:2つの物を照らし合わせて違いを比べる
- 対称:2つの物の釣り合いが取れている