今回ご紹介する言葉は、熟語の「寵愛(ちょうあい)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「寵愛」をざっくり言うと……
読み方 | 寵愛(ちょうあい) |
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意味 | 特別に愛し、可愛がること |
類義語 | 愛慕、敬慕、贔屓など |
英語訳 | favor(好意) |
「寵愛」の意味をスッキリ理解!
「寵愛」の意味を詳しく
「寵愛」とは、特別に愛し、可愛がることです。
特に、王など身分が高い者が低い者を可愛がるときに使われます。愛情を寄せている場合に多く使われますが、恋愛以外の文脈で使われることもあります。
「寵」という字は、特別にめぐみ、いつくしむときに使われます。そのため、「寵愛」はただの愛ではなく、気に入って可愛がるような愛になるのです。
「寵愛」の使い方
- 桐壺の更衣(きりつぼのこうい)は帝からの寵愛を受けており、女御たちの嫉妬の対象であった。
- 王は王妃を寵愛しすぎるあまり、仕事がおろそかになってしまった。
- 彼はもともと身分の低い出自であったが、王の寵愛を授かって異例の出世を遂げた。
上記の例文のように、「寵愛」は「寵愛する」「寵愛を受ける」「寵愛を授かる」と、する側・される側両方から使うことができます。
①の例文では、「桐壺の更衣」が女御(にょうご)たちを差し置いて帝に深く愛されていたことを「寵愛を受ける」と表現しています。「寵愛」は特別に愛することであるため、他の女性に対する愛情よりも大きな愛情を受けていたことがわかります。
②の例文では、「王妃」への愛情が、王としての仕事を投げ捨てさせるほど深いことが表現されています。このように、「寵愛」はやや批判的な文脈で使われることもあります。
①と②のどちらの例文も、「帝」「王」といった特に高貴な身分の人物が、特別にひとりの人物に想いを寄せ可愛がっているのがわかる表現となっています。
また、③の例文のように、恋愛感情のない場合にも「寵愛」という言葉は使われます。
この例文の場合には、「彼」の人柄などが「王」に気に入られ可愛がられたということがわかります。
基本的には①や②の例文での使い方が一般的ですが、③の例文のような使い方もされるため注意しましょう。
「寵愛」の類義語
寵愛には以下のような類義語があります。
- 愛慕(あいぼ・あいも):懐かしみ慕(した)いながら愛すること
- 傾慕(けいぼ):心から深く慕うこと
- 贔屓(ひいき):気に入った人を特別に優遇して引き立てること
- 愛顧(あいこ):特別に目をかけ、引き立てること
「愛慕」「傾慕」は「深く慕う」という意味で共通します。
「愛慕」は恋人に対してだけでなく、母親など懐かしさを感じる相手に抱く感情です。「寵愛」とは愛の向く範囲が少し異なるので、ニュアンスによって使い分けましょう。
一方、「傾慕」には「慕う」という意味がありますが、「愛する」というニュアンスはありません。「寵愛」「愛慕」よりも、「尊敬する」「懐く」といったイメージが強くなる言葉です。
「贔屓」「愛顧」はどちらも、他と明確に区別して特定の人物や団体を優遇することです。
「贔屓」には、気に入った人を引き立てるという意味があります。不公平であるというネガティブなニュアンスで使われることが多いですが、ポジティブな意味で使われることもあります。
たとえば、常連客に対して店員が「ご贔屓に」と言った場合には、「いつもご利用ありがとうございます」という感謝の意味になります。
「愛顧」は、特別に目をかけて、相手を引き立てることです。「ご愛顧ありがとうございます」などの表現でよく使われます。
「愛顧」は引き立てられる側が使う言葉であり、引き立てる側が使うのは間違いです。そのため、「私はあの店を愛顧している」などという言い回しにはならないので注意しましょう。
「寵愛」の英語訳
寵愛を英語に訳すと、次のような表現になります。
- favor
(好意) - love
(愛情)
favorは広く人の好意を表す言葉です。一見軽い好意の表現のように思えますが、「寵愛」「えこひいき」といった、特別な偏った愛情のことを表す場合もあります。
favorだけでは、ただの好意か「寵愛」かは見分けがつきません。前後の文脈によってどちらがふさわしいか考えるようにしましょう。
たとえば、 “win a person’s favor” といった場合には、「寵愛を受ける」という意味になります。一方で、「好意」という意味で使う場合には、 “with favor” という表現がよく使われます。
loveもfavorと同様に、意味の広い言葉です。「寵愛」に限らず、「愛情」全般を指す言葉なので使い分けが難しいですが、favorよりもカジュアルな場面で使うことができます。
英語で「身分が高い者が特別に愛する」という意味をそのまま伝えるのは難しいです。「寵愛」のニュアンスをしっかりと伝えたいときには、他の文や主語などで関係性を補いましょう。
まとめ
以上、この記事では「寵愛」について解説しました。
読み方 | 寵愛(ちょうあい) |
---|---|
意味 | 特別に愛し、可愛がること |
類義語 | 愛慕、敬慕、贔屓など |
英語訳 | favor(好意) |
日常生活で「寵愛」はあまり縁のない言葉ですが、物語のあらすじなどでよく見かける表現です。細かいニュアンスも含め、しっかりと意味を覚えましょう。