「海草」と「海藻」の違いとは?区別する方法までわかりやすく解説

違いのギモン

日本語には同じ発音をするのに違う意味になる言葉がたくさんありますよね。「海草」と「海藻」はその1つだと思います。

では、「かいそうサラダ」と言った場合、「海草」が正解でしょうか、それとも「海藻」が正解でしょうか。

この記事では、「海草」と「海藻」の違いをわかりやすく解説していきたいと思います。

結論:食べれるかどうかの違い

「海草」は海中に生える種子植物の総称です。

一方、「海藻」は海に生える藻の総称です。

多くの「海藻」は食べることができますが、多くの「海草」は食べることができません。

「海草」とは

海草とは、海に生える種子植物の総称のことです。「海藻」と区別するため、「うみくさ」と呼ばれることもあります。

代表的な海草としては、アニモ、スガモ、ウミヒルモ、などがあげられます。これらの植物は「藻」という名前になっていますが、「海藻」ではありません。

そして、ほとんどの海草は食べられないか、食べられたとしてもおいしくないものが多いでしょう。中でも、オゴノリなどの海草は生で食べると食中毒を起こし、死につながることもあるので注意が必要です。

 

ちなみに、海草は陸上に生えている植物と同じように根と茎と葉っぱがはっきり分かれています。そして、花を咲かせて種子によって繁殖します。ただ、海草の花は地味めなものが多いでしょう。

そして、種子から芽が生えてから枯れるまでに複数年以上かかる多年草が多いです。

 

ちなみに、生息している場所としては波が来ない内湾、干潟などの穏やかな場所が多いでしょう。ただ、これには例外があって、北方系のフガモ、エビアマモなどは外洋の岩礁などに成育します。

また、浅い所に生えていることが多いでしょう。太陽からの光の量が水面の10%を切ってしまうような場所では成育しません。そのため、通常は水深数mのところにしか生えていませんが、水の透明度が高い場所では水深40mでも生えていることがあります。

ただ、海草は乾燥が嫌いで、引き潮の時でも海水に浸かっているような場所を好みます。

そして、海草の種子は海流で運ばれて発芽し、生息域を広げていきます。

 

そんな海草は食用にはならないものの、生態系の中で重要な役割を果たしています。

まず、海草は植物なので光合成を行いますが、その時に酸素が排出されます。これは動物が呼吸を行って生きていくため、絶対に必要です。

次に、海草が生えているところは魚の産卵場になります。また、この場所は魚類や甲殻類の隠れ場にもなります。

そのほかにも、海草には水を浄化したり、海底の砂を安定させたりする働きもあります。

しかし、現在の日本では、海草のほとんどが数を減らしていて、絶滅危惧種もしくは準絶滅危惧種になっています。

 

ちなみに、よく考えると、海草は海に生えているのにもかかわらず、陸上の植物と同じような生き方をしていて、不思議ですよね。

これは、いったん陸上の植物として育っていたものの、地殻変動によってその場所が海になり、適応したためだと言われています。

 

ちなみに、海草は英語で “seagrass” と呼ばれています。海が “sea” で草が “grass” なので、そのままですね。

また、海草は食べられないので、「海草サラダ」という表現は間違いだと言われることもありますが、それは正しい認識ではありません。

なぜなら、海草は広い意味では海に生えている植物のことを指すからです。つまり、海草の中に海藻も含まれている、と考えることができるのです。

「海藻」とは

海藻とは、海に生える藻の総称のことです。

海藻にはコンブ、ヒジキ、モズク、ワカメ、アオノリなどが含まれます。

そして、海草と違って胞子で繁殖し、根と茎と葉っぱが分かれていないという特徴があります。海藻は食べられる部分である葉状体と、岩にくっつくための仮根で構成されているのです。

ふつう、植物の根は地中にある栄養を吸収するためにありますが、海藻の根っこにはこの役割はありません。海草と海藻を区別する時には、根っこを見ればわかりやすいでしょう。

ただ、水中に差し込む光で光合成を行うのは海草と同じです。

 

そして、海藻は波がある岩礁海岸に多く生育しています。底が砂が泥などになっている環境ではほとんど生えていません。

ちなみに、海藻は主に3種類の色に分かれます。

まず、浅瀬に生えている緑色の海藻です。これは、地上に生えている植物によく似た色をしています。

次に、もう少し深いところに生えている海藻です。これは褐色になります。そして、もっと深くなると紅色になります。

 

ちなみに、先ほど海藻は胞子によって繁殖すると解説しましたが、胞子にはきちんと性別があります。メスの胞子は発芽すると卵を作りますが、オスの胞子は発芽すると精子を作るのです。

また、海藻は食べられるものが多いため、「海藻サラダ」というのは正しい表現ですが、海藻の中には工業原料として使われているものも多くあります。

 

そんな海藻ですが、実は一部の例外を除いて、食べるのは日本と韓国ぐらいです。確かに、よく考えてみると韓国には韓国のりという名産品がありますが、ほかの国では海藻を使った名産品は聞かないですよね。

ちなみに、昔から日本では海藻は健康にいいと知られていました。また、保存食として飢きんの時には重宝され、戦国時代などでは携帯食としてよく食べられていました。

日本ではいまでも海藻を使った料理がたくさんありますよね。味噌汁の具といえばワカメですし、コンブは出汁としてよく使われますし、おにぎりを包むのは海苔と決まってます。

 

そして、最近では世界で和食ブームが起こっている影響で、海藻を食べるという発想も世界中に広まりつつあります。

食に対して保守的なフランスでさえも、日本食が健康にいいことから、海藻を食べるようになってきているのです。

食に対して革新的なアメリカなどの国は言うまでもありません。

海藻は英語では “seaweed” と言い、これは「海の雑草」という意味ですが、近年、この評価は変わってきているのです。

まとめ

以上、この記事では、「海草」と「海藻」の違いについて解説しました。

  • 海草:海に生える種子植物の総称
  • 海藻:海に生える藻の総称

「海草サラダ」を食べてしまうと、もしかしたら食中毒になってしまうかもしれません。注意したいものですね。

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和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。