今回ご紹介する言葉は、熟語の「滑稽(こっけい)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「滑稽」をざっくり言うと……
読み方 | 滑稽(こっけい) |
---|---|
意味 | 言動が変であること |
語源 | 司馬遷『史記』の中の『滑稽列伝』という篇から |
類義語 | ひょうきん、ユーモア、コミカルなど |
英語訳 | funny(おもしろい)など |
「滑稽」の意味をスッキリ理解!
「滑稽」の意味を詳しく
「滑稽」とは、誰かや何かの言動が変であることです。転じて、「言動がおどけていて、おもしろいこと」というプラスの意味と、「ばかばかしいこと、くだらないこと」というマイナスの意味の両方を持つ言葉になりました。
かつてはプラスの意味でよく使われていましたが、今はマイナスの意味で使われることが多い言葉です。
「滑稽」を含んだ複合語
「滑稽」を含む複合語で、有名なものをご紹介します。
- 滑稽洒脱:巧みでおもしろく、洗練されていること。
- 野卑滑稽:下品でいやらしいこと、ばかばかしいこと。相手を強くばかにした言葉。
- 珍妙にして滑稽:珍しく変わっていて、おもしろいこと。
- 滑稽本:江戸時代のコメディ本のこと。代表的なものに十返者一九の『東海道中膝栗毛』などがある
- 滑稽劇:喜劇のこと
また、その滑稽さを楽しむためには、対象に対するある種の客観性や無関心性が必要だということもわかっています。
「滑稽」の使い方
- ピエロが滑稽な動作をすると、子どもたちは手を叩いて笑った。
- 問い詰められた彼らが見苦しく言い訳をする姿は、ひどく滑稽だった。
上記の例文のように、「滑稽」は、「動作」や「姿」という言葉とともに使われます。
①の文章は、滑稽をプラスの意味で使っている文章です。ピエロのおもしろい動きを見て、子どもたちが笑った、という意味の文ですね。
それに対し、②は「彼らが見苦しく言い訳している姿」を「滑稽だ」と形容している文章です。ここでは、滑稽は「ばかばかしい」という意味で使われています。
このように、「滑稽」は良い意味でも悪い意味でも使われます。相手に誤解を与えないよう、注意して使いましょう。
「滑稽」の語源
滑稽の語源は、古代中国にさかのぼります。前漢の時代に、司馬遷(しばせん)によって編纂(へんさん)された書、『史記』の中に『滑稽列伝(こっけいれつでん)』という篇(へん)があったことに由来するとされています。
当時は、機転が利いてユーモアがある人間が為政者の話し相手になっていたことが多かったのですが、『滑稽列伝』もそのような三人の人物について扱った作品です。ここでの「滑稽」がどういう意味の語であったかには、二つの説がよく言われています。
- 「滑る=言葉がのびやかであること」「稽=考えられていること」という意味からこの二字が組み合わさり、知性に富んで言葉が伸びやかに出てくることを表した説
- 「滑=乱れる」「稽=同じ」の二字から、物事の是非を混同させて巧みに相手を言いくるめられる様子を表した説
また、古くは俳諧(はいかい)のことを指すこともありました。俳諧とは、連句という、何人かの人で句を交互に連ねる遊びのことです。もともと俳諧とは「機知的(きちてき)滑稽」であること、つまりしゃれていてユーモアに富んでいることをよしとしている芸術でした。
「滑稽」の類義語
滑稽には以下のような類義語があります。
- ひょうきん:言動がおもしろいこと。滑稽よりもにぎやかなニュアンスを含む。マイナスの意味に捉えられることもあるので注意
- ユーモア:ある言動に含まれるおもしろさ。物事に対する皮肉が含まれている場合も多い
- コミカル:言動が嘘くさく、おもしろいこと
「滑稽」の英語訳
滑稽を英語に訳すと、次のような表現になります。
- funny
(おもしろい) - humorous
(ユーモアに富んでいておもしろい) - laughable
(ばかげた) - play the fool
(ばかげた言動をする)
funnyはいろんな場面で使える言葉です。humorousは機転やユーモアが含まれている面白さがあるときによく使われます。
それに対し、laughableとplay the foolは、相手をばかにするニュアンスの強い言葉です。
まとめ
以上、この記事では「滑稽」について解説しました。
読み方 | 滑稽(こっけい) |
---|---|
意味 | 言動が変であること |
語源 | 司馬遷『史記』の中の『滑稽列伝』という篇から |
類義語 | ひょうきん、ユーモア、コミカルなど |
英語訳 | funny(おもしろい)など |
使う場面によっては、相手をばかにしているととらえられてしまう言葉です。自分の意図がきちんと伝わるよう、工夫して使いましょう。