「オリンピック」と「パラリンピック」の違いとは?競技やマークも違う?

違いのギモン

先日行われたピョンチャン・オリンピックで日本選手団は金4個、銀5個、銅4個で計13個で過去最多のメダルを獲得し、日本でも大きな盛り上がりを見せました。

そして、2年後の来る2020年にはオリンピック・パラリンピックが東京で開催されます。

しかし、「オリンピック」と「パラリンピック」の違いについて詳しく知っている方はそこまで多くないのではないでしょうか。

そこで、この記事では「オリンピック」と「パラリンピック」の違いとそれぞれの詳細について詳しく解説していきます。

結論:特定の身体障害を持つ人が出ることができるのが「パラリンピック」

「オリンピック」「パラリンピック」の違いは「障害の有無」と思われがちですが、実はそれは少し間違っています。実際はもう少し細かい規定が存在しています。

「オリンピック」についてもっと詳しく


まず、「オリンピック」とはなにか。それは4年に一度行われる世界最大規模のスポーツの祭典です。行われる競技は多岐に渡ります。2020年東京オリンピックでは、321種目の競技が実施される予定です。

当然のことですが、自然発生的に「オリンピック」は始まったわけではありません。そこには、「起源」があります。

「オリンピック」の起源。それは古代ギリシャにあります。紀元前9世紀から紀元後4世紀の間に行われていました。当時は宗教的な理由から行われていたようです。

多種多様な競技が存在する現代のオリンピックと異なり、古代ギリシャで行われていたオリンピックでは400m 走(ディアロウス競争)、長距離走(ドリコス競争)、5種競技(ペンタスロン)、レスリング、ボクシング、戦車競走、総合格闘技などが競われていました。

 

この「古代オリンピック」を今の「現代オリンピック」に作り変えたのがフランスの貴族、ピエール・ド・クーベルタンです。

クーベルタンはスポーツの国際交流による世界平和の実現を目指していました。その考えの下、紆余曲折を経て、1896年の4月にギリシャで行われたアテネ大会が、近代オリンピックの第一回大会となりました。

そこから、フランス・パリ大会、アメリカ・セントルイス大会、イギリス・ロンドン大会と続いていき、歴史の中でその形態や規模を変えながらも2018年にまで受け継がれているというわけです。

 

ちなみにですが、冬季オリンピックは1924年に行われたシャモニーオリンピックが第1回大会です。近年は夏季オリンピックと冬季オリンピックは別の年に行われていますが、それは1994年に行われたリレハンメルオリンピックからのことです。

それまでは、夏季オリンピックと冬季オリンピックは同じ年に開催されていました。

別年開催になった理由は公式からの発表がなく諸説あります。有力な説としては「別年開催にすることで冬季オリンピック単体での注目度を上げようとした」説や「夏季・冬季の両方に出場する選手への配慮」説などがあります。

「パラリンピック」についてもっと詳しく


「パラリンピック」と聞くと身体障害者が出る「オリンピック」という印象があると思いますが、冒頭に記したように厳密に言うと、それは少しだけ間違っています。

その理由の1つとして指摘できるのは、「聴覚障害」の人はパラリンピックとは別の「デフリンピック」というものが存在するからです。このことから、「パラリンピック」を単に「身体障害者が出るオリンピック」と捉えることには、事実と若干の齟齬があることがわかります。

「聴覚障害」を持つ人のための種目はパラリンピックには存在しないからです。

「パラリンピック」の起源

「パラリンピック」の起源はどこにあるのでしょうか。それは1948年にイギリスの首都、ロンドン郊外にあるストーク・マンデビル病院でル―ドウィッヒ・グッドマン医師の提案によって開催されたアーチェリー大会だと言われています。

当初は、戦争帰りの兵士のケアを目標としていました。

ただの一病院のアーチェリー大会でしかなかったものはその後、拡大していきます。その規模は発展を続け、1960年には国際ストマーク・マンデビル大会委員会が組織され、この年に開催されたロンドン大会が事実上の第1回パラリンピックとなっています。

 

この「パラリンピック」の「パラ」とはもともと、Paraplegia(下肢麻痺者)の頭をとって名付けられました。その後、規模が大きくなるにつれて、視覚障害、脳性麻痺等の障害を持つ人のための競技も執り行われるようになります。

つまり、「Paraplegia(下肢麻痺者)のオリンピック」ではなくなったわけです。そこで、現在では「Parallel(もう1つ)のオリンピック」という意味として、「パラリンピック」という言葉が用いられています。

具体的な「パラリンピック」の競技

夏季パラリンピックの種目

※2020年東京パラリンピックで実施予定のもの

  • アーチェリー
  • 射撃
  • バドミントン
  • 陸上競技
  • 自転車競技
  • 水泳
  • カヌー
  • ヨット
  • ボッチャ(パラリンピック専用の球技種目。「陸上のカーリング」という異名を持つ)
  • ゴールボール(視覚障害者を対象にした球技種目)
  • 馬術
  • 5人制サッカー
  • 柔道
  • テコンドー
  • パワーリフティング
  • 卓球
  • 車いすテニス
  • 車いすフェンシング
  • 車いすバスケットボール
  • ウィルチェアーラグビー
  • シッティング・バレーボール

冬季パラリンピックの種目

※2018年ピョンチャンパラリンピックで実施されたもの

  • アルペンスキー
  • バイアスロン
  • クロスカントリースキー
  • スノーボード
  • パラアイホッケー
  • 車いすカーリング

パラリンピック特有のルール「クラス分け」とは

パラリンピックにはオリンピックには存在しない「クラス分け」という制度があります。

「クラス分け」とは、競技を極力公平に行うために作られた制度です。なぜなら、100mを車いすで走る人と義足で走る人とが一緒に競争しても、それは条件が違いすぎて公平な勝負にならないからです。

また、同じ種類の障害であっても、その障害の程度によってもクラス分けが行われています。これも先ほど説明したものと同様に、競技の公平性を保つために行われています。

まとめ

以上、この記事では「オリンピック」と「パラリンピック」の違いについて解説しました。

  • オリンピック:身体障害を持たない人が出場する大会
  • パラリンピック:特定の身体障害を持つ人が出場する大会。障害の種類や程度によってクラス分けがなされ、別に競技が行われる。

「オリンピック」と「パラリンピック」の違いは「障害の有無」だと少しだけ間違っているという話でした。

そもそも「オリンピックとパラリンピックを別日程でやる必要がないのではないか」というような意見もあり、今後、「オリンピック」「パラリンピック」のルールは変わっていくかもしれません。