心象とは「心や意識に浮かんだ姿かたち」という意味です。
心象はどこかで聞いたような言葉でありながら、なんとなく意味がよくわからない言葉ですよね。
そこで、この記事では心象の意味から使い方、心証との違いまで詳しく解説しています。
☆「心象」をざっくり言うと……
読み方 | 心象(しんしょう) |
---|---|
意味 | 心や意識に浮かんだ姿や像・イメージ |
心象と心証の違い | 心象:自分の心の中に現れる姿かたち 心証:相手の心の中で受ける印象 |
心象と心像の違い | 心象:浮かぶイメージが抽象的 心像:浮かぶイメージが具体的 |
誤用表現 | ①心象を損ねる ②心象が悪い ③好心象 |
語源 | 心:精神・記憶・内 象:姿・形 |
類義語 | 印象 表象 想像 など |
対義語 | 現実 実態 |
英語訳 | mental image a mental picture |
このページの目次
「心象」の意味
心や意識に浮かんだ姿かたち
心象とは、自分が経験したことがベースとなって、心に現れる姿や像のことです。
心に現れる映像のことを指すことが多く、考えや言葉などのことを指すわけではありません。
「心象」と「心証」と「心像」の違い
この見出しでは、心象と似た漢字の心証、心像との違いについて詳しく見ていきます。
「心象」と「心証」の違い
心証とは、心に受ける印象のことです。
「心証が悪い(= 印象が悪い)」「心証を損ねる(= 印象が悪くなる)」という表現で使われることが多い言葉です。
- ぶつかった時に謝らないのは心証が悪い。
- ささいなマナー違反が彼女の父親の心証を損ねた。
心象と心証には以下のような違いがあります。
- 心象
自分の心の中に現れる姿かたち - 心証
相手の心の中で受ける印象
心象と心証では何に影響を与えているかが異なります。
心象は自分の心に影響を与えていますが、心証は相手の心に影響を与えています。
心証は法律用語で、「訴訟の証拠資料に基づく審理中に、裁判官が得る確信や認識」という意味でも使われます。
「心象」と「心像」の違い
心像は心理学で使われる用語で、過去の記憶や経験をもとに心の中に浮かぶ具体的なイメージのことです。
五感の形で生じることが多く、たとえば何かのニオイが思い浮かんだら「嗅覚心像」と呼ばれます。
心象と心像には以下のような違いがあります。
- 心象
浮かぶイメージが抽象的 - 心像
浮かぶイメージが具体的
心象は心像と比べてより抽象的なのです。
「心象」の使い方
心象は心の中に浮かんだものについて述べる時に用いられます。
よく使われる形は以下のとおりです。
- 心象風景
心の中に浮かんだ映像のこと - 心象的
心の中に浮かぶような
次に、具体的な例文で見ていきましょう。
- 彼氏に対する心象は昔から変わらない。
- 心象風景を浮かべながら小説を読む。
- 俳句は心象的な日本の文化である。
「心象」の誤用表現
心象の間違った表現には以下のようなものがあります。
- 心象を損ねる
- 心象が悪い
- 好心象
それぞれの表現について詳しく見ていきましょう。
誤用表現①:心象を損ねる
「心象を損ねる」は「心証を損ねる」の誤用表現です。
「心証を損ねる」は「印象が悪くなる」という意味の表現です。
誰かの相手からの印象が悪くなった時に用いられます。
誤用表現②:心象が悪い
「心象が悪い」は「心証が悪い」の誤用表現です。
「心証が悪い」は「印象が悪い」という意味です。
誰かの相手からの印象が悪い時に用いられます。
誤用表現③:好心象
好心象は好印象の誤用表現です。
好印象は「印象が良い」という意味です。
「心象」の語源
心象を構成する漢字には以下のような意味があります。
- 心:精神・記憶・内
- 象:姿・形
この2つの漢字を組み合わせて、心象は「精神の中に現れる姿」という意味になりました。
「心象」の類義語
心象には以下のような類義語があります。
- 印象(いんしょう)
人の心に対象が与える直接的な感じ - 表象(ひょうしょう)
今知覚していない現象や物事について描くイメージ - 想像(そうぞう)
知覚されていない物事を心の中に思い浮かべること - イメージ
心の中に思い浮かべる姿のこと - 形象(けいしょう)
姿や形のこと
「印象」の意味:人の心に対象が与える直接的な感じ
印象は人の心に対象が与える直接的な感じという意味です。
「印象が良い」「印象が悪い」などの表現で用います。
- 清潔感のある服装は面接官からの印象が良い。
- 今日会った男性は印象が悪かった。
心象と印象には以下のような違いがあります。
- 心象
何かを見たり聞いたりして、心の中に思い浮かべたもの - 印象
何かを見たり聞いたりして、抱いた感覚や感情
心象と印象では、感情があるかどうかが異なるのです。
心象では特に感情はありませんが、印象では何らかの感情を抱いています。
「表象」の意味:今知覚していない現象や物事について描くイメージ
表象は今知覚していない現象や物事について描くイメージという意味です。
「何かを象徴的に表すもの」という意味で用いられることもあります。
- この芸術作品は自由からの逃亡を表象している。
「想像」の意味:知覚されていない物事を心の中に思い浮かべること
想像は「知覚されていない物事を心の中に思い浮かべること」という意味です。
現実に存在するものを思い浮かべる時も、空想の産物を思い浮かべる時も用います。
- この小説には想像上の生き物がたくさん登場する。
心象と想像には以下のような違いがあります。
- 心象
何かを見たり聞いたりして、心の中に思い浮かべたもの - 想像
経験してない物事を心の中に思い浮かべること
心象は経験したものに対して思い浮かべたものを指しますが、想像は経験してないものを思い浮かべる時にも用いられるのです。
「イメージ」の意味:心の中に思い浮かべる姿のこと
イメージとは、心の中に思い浮かべる姿のことです。
- すべての欲望から解放された状態をイメージする。
- このアナウンサーには清純派のイメージがある。
「形象」の意味:姿や形のこと
形象とは、姿や形のことです。
哲学の用語になっています。
- この文章にはさまざまな形象が詰め込まれている。
「心象」の対義語
心象には以下のような対義語があります。
- 現実(げんじつ)
実際こうであるという状態・事実 - 実態(じったい)
実際の有様・状態
「現実」の意味:実際こうであるという状態・事実
現実は「実際こうであるという状態・事実」という意味です。
心で思い浮かべたものでなく、実際に存在しているものを表します。
- チームの士気は下がっているのが現実だ。
「実態」の意味:実際の有様・状態
実態は「実際の有様・状態」という意味です。
外側からはわからない、物事の本当の様子のことです。
- 危険な宗教組織の実態が明らかになった。
「心象」の英語訳
心象を英語に訳すと、次のような表現になります。
- mental image
(精神的なイメージ)
例:Various mental images come to mind when I see a work of art.
(芸術作品を見てさまざまな心象が思い浮かぶ。) - a mental picture
(心の中のイメージ)
例:There are many scenes in this movie that depict mental pictures.
(この映画は心象風景を描き出すシーンが多い。)
「心象」のまとめ
以上、この記事では心象について解説しました。
読み方 | 心象(しんしょう) |
---|---|
意味 | 心や意識に浮かんだ姿や像・イメージ |
心象と心証の違い | 心象:自分の心の中に現れる姿かたち 心証:相手の心の中で受ける印象 |
心象と心像の違い | 心象:浮かぶイメージが抽象的 心像:浮かぶイメージが具体的 |
誤用表現 | ①心象を損ねる ②心象が悪い ③好心象 |
語源 | 心:精神・記憶・内 象:姿・形 |
類義語 | 印象 表象 想像 など |
対義語 | 現実 実態 |
英語訳 | mental image a mental picture |
心象は自分の経験に基づいた「頭や心に浮かぶ姿や形」を意味した熟語です。
似た意味の熟語も存在しているため、微妙なニュアンスの違いをしっかりと理解して使いましょう。