「自立した人間になりなさい」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。また「独立して働く」という言葉も雑誌などで目にする機会があります。「自立」と「独立」、この2つの言葉はどのように違うのでしょうか。
今回は「自立」と「独立」の違いについて解説します。
結論:ニュアンスが違う
一方、「独立」は「会社から独立して働き始める」のように、他の支配を受けなくなり物理的に距離をおいて活動を行うことを指します。
「自立」をもっと詳しく
自立とは、他のものへの従属を離れて一人立ちすることを指します。必要以上に他からの助けを得ないという意味の言葉です。
この意味で用いられる例としては、「自立するバッグ」などがあります。
代表的な自立として、「生活的自立」「精神的自立」「経済的自立」の3つが存在します。
生活的自立
人間は生まれて間もない頃はおしめを自分で変えることもできず、食事や洗濯を自分の力で行うこともできません。しかし年齢を重ねて人生経験を積む中で、親の力を頼ることなく生活に関するさまざまな活動を自分の手で行うことができるようになります。
このような食事など生きていく上で最低限必要な行程が自分の力で行えるようになることを、生活的自立といいます。
精神的自立
幼い頃は行動する際、「親が〇〇しなさいと言ったからその通りにする」というような、人の決断に従って自分の行動を決めるということをよくします。
しかし年齢を重ねていく中で、「自分がこれをやりたいからやる」というように自分の意見に従って自分の行動を決めることが可能となります。
このような、他人にただ従うのではなく自分の意思を持って物事を行えるようになることを精神的自立といいます。
経済的自立
働き始めるまでは収入がないため、生活をしていくために必要なお金は親から出してもらうものです。
しかし高校卒業や大学卒業を契機として自らの力で収入を得ることができるようになると、親の収入を頼ることなく自分で稼いだお金で生活を営むことが可能となります。
このような自ら収入を得て生活を行うことができるようになることを、経済的自立とよびます。
自立している人間とは
教育番組などでよく、「自立した人間になる」ということが謳われることがあります。ここでは自立している人間の代表的な特徴について説明します。
自分の考えが備わっている
自立している人間は、思考面で何にも依存していません。そのため、確固たる自己ができあがっています。
自分の中にある信念に従って一貫性のある行動をするため、周りの人からは「自分の考えがある人だ」という評価をされやすいのです。
責任感が強い
自立している人間は人を頼ることもありますが、基本的には自己の考えに従って行動します。自分で考えて行動するということは、失敗した際には責任がつきまとうということです。
自立している人間はそのことをよく理解しているため、責任感が強くなるのです。
「自立」の使い方の例
- 新入社員の時は先輩に仕事を聞くことも多かったが、今では自立して仕事を行うことができる。
- 親からの仕送りを貰うことなく、自立した生活を行っている。
このような一人立ちを表す際に、「自立」という表現は使われます。
「独立」をもっと詳しく
独立とは、他のものから離れて別になっているという意味の言葉です。
「この機械の中で足だけが独立して動かせる」というように、他のものの支配を受けなくなることを表す際に使われる表現です。
元々の国家からの支配を受けないような新しい国を作っているため、「自立」ではなく「独立」が使われています。
「独立」の使い方の例
- フリーランスとして独立して働く
- 起業するため、今の仕事を辞めて独立する。
英語について
今まで述べてきたように、「自立」と「独立」は使い分けをすることができます。
しかし、英語の場合はどちらも “independence” という表現が使われます。
まとめ
以上、この記事では、「自立」と「独立」の違いについて解説しました。
- 自立:他のものに支配されず、一人立ちすること
- 独立:他のものから離れて別になっていること