今回ご紹介する言葉は、熟語の「散見(さんけん)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「散見」をざっくり言うと……
読み方 | 散見(さんけん) |
---|---|
意味 | あちこちに見えること。ちらほら目につくこと。 |
語源 | 「ちる。ちらす。ちらばる。」と「みる。目でみわける。みえる。」という意味の漢字から |
類義語 | 往々、窺えるなど |
英語訳 | see 〜 here and there、There is 〜 here and there(散見) |
「散見」の意味をスッキリ理解!
「散見」の意味を詳しく
「散見」とは、「あちこちに見えること。ちらほら目につくこと。」という意味です。
必ずしも視覚的なことを意味するわけではなく、他人からの評価や意見などの目に見えない事柄に対しても使用することができます。
「散見」の使い方
「散見」は、「人」ではなく「物事」が主語になります。「彼女を散見する」とは言わず、「(物が)みられる」や「(物が)目に映る」という意味で使われます。
例文は以下の通りです。
- 新商品の使用感のレビューには、批判的な声も多い一方で、好意的な意見も散見された。
進行中のプロジェクトにはまだまだ課題が散見している。
細かいミスが散見していて、上司に注意力が足りないと注意を受けた。
情報リテラシーが低い傾向は、比較的若い世代に多く散見している。
例文のように、「~に散見する」「~が散見される」といった表現で使用されることが一般的です。
しかし、「散見される」という言い回しは間違った使い方になります。前に述べたように、「散見」は物を主語とし、「(物が)みられる」という意味になります。そのため、「散見される」という使い方をすると、「れる」という受け身表現が重複してしまいます。
ただし、現代では「散見される」という表現の使用は容認されています。そのため、日常的に使用しても構わないでしょう。
しかし、より正確に表現したい場合には、「~に散見する」のように重複表現を避けて使用するといいでしょう。
また、「散見」はあちこちに見えることという意味ですが、具体的にどの程度目に留まるのかについて明確な定義があるわけではありません。そのため、頻度に対して言及したい場合には適しません。
頻度について言及したい場合は、「数多く見られる」「多く見る」「至る所に見られる」と表現した方が良いでしょう。
「散見」の語源
「散見」を構成する漢字の意味は、それぞれ以下の通りです。
- 散:ちる。ちらす。ちらばる。
見:みる。目でみわける。みえる。
それぞれの漢字の意味から、散らばっているものが見えること、つまり「あちこちに見えること。ちらほら目につくこと。」という意味だと解釈できます。
「散見」の類義語
「散見」には以下のような類義語があります。
- 往々:物事がしばしばあるさま
- 窺える:多く、推察できる、感じ取ることができる
「散見」は「往々」に置き換えて表現できますが、以下の点に注意して使い分けるといいでしょう。
- 往々:頻度の様子を表すときに使われる
散見:あちらこちらのように存在する様子を表すときに使われる
より自然な文章を心掛けるなら、「往々」は頻度の様子を表すときに、「散見」は存在する様子を表すときにと使い分けるほうが良いでしょう。
補足ですが、「往々」は会議やプレゼンなどビジネスシーンで使う場面が多いです。目上の人に対して使用したい場合には、「往往にしてございます」と伝えましょう。
「窺える」は、「聞く」「尋ねる」「訪問する」の謙譲語である「伺える」と同じ読みであるため、間違えないように注意しましょう。
「散見」の英語訳
「散見」は、上で述べてきたように「あちこちに見えること」という意味です。
英語で「あちこちに」は、 “here and there” です。
そのため、「散見」は以下のように言い表すことができます。
- see 〜 here and there
- There is 〜 here and there
(散見)
例文は以下の通りです。
- In this book, there are lots of typos here and there.
(この書籍には誤字脱字が散見される。)
まとめ
以上、この記事では「散見」について解説しました。
読み方 | 散見(さんけん) |
---|---|
意味 | あちこちに見えること。ちらほら目につくこと。 |
語源 | 「ちる。ちらす。ちらばる。」と「みる。目でみわける。みえる。」という意味の漢字から |
類義語 | 往々、窺えるなど |
英語訳 | see 〜 here and there、There is 〜 here and there(散見) |
「散見」は、ビジネスシーンでよく耳にする言葉です。間違った使い方をしないよう、主語は「人」ではなく「物」であることを覚えておきましょう。