今回ご紹介する言葉は、熟語の「拝読(はいどく)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「拝読」をざっくり言うと……
読み方 | 「拝読」(はいどく) |
---|---|
意味 | 謹んで読むこと |
語源 | 「相手をつつしみ敬う」「読む」という意味の漢字から |
類義語 | 拝見、拝聴、拝誦など |
対義語 | 書かせていただく、お書きします、お読みになるなど |
英語訳 | read |
「拝読」の意味をスッキリ理解!
「拝読」の意味を詳しく
「拝読」は、謹んで読むことという意味です。
「拝読」は「読む」の謙譲語です。自分自身が何か書物を読む動作をへりくだって言う際に使う言葉です。
また、敬意の対象は書物を書いた人になります。上司から送られてきたメールに対して「拝読しました」と返信すれば、上司に敬意を払っていることになります。しかし、上司から借りた本を「拝読しました」と伝えると、上司ではなく本の作者を敬っていることになります。
以下に「拝読」を使う代表的な場面を紹介します。
- 目上の人の資料や文書を読んだことを伝える場面
- 本や論文の著者に感想などを伝える場面
①はビジネスシーンにおいて、上司や取引先などの目上の人から送られてきたメールや手紙、資料などを読んだことを伝える場面が代表的であると考えられます。
②は本や小説、論文などの著者に挨拶をしたり、手紙やメールを送る場面が想像できます。
「拝読」の使い方
- 御社からいただいた企画書を拝読しました。
- 先ほどメールを拝読しました。後ほど返信させていただきます。
- いつも楽しみに拝読しております。
①、②の例文は、目上の人の資料や文書を読んだことを伝える場面です。
目上の人に「拝読する」を使う場合には、謙譲語の「拝読」と丁寧語の「ます」を組み合わせた「拝読します」が正しい表現です。
③の例文は、本や論文の著者に感想などを伝える場面です。
「いつも拝読しております」は連載をしている人などに対して使い、読む行為を継続していることを伝えることができます。
「拝読」を使う上での注意点を説明します。
- 二重敬語にならないようにすること
- 相手の読む行為に対して使わないこと
二重敬語の誤りの例として、「拝読いたします」「拝読させていただきます」などが挙げられます。「いたす」「いただく」はいずれも謙譲語であるので、「拝読」という謙譲語と合わせて使うと二重敬語になってしまいます。
「拝読いたします」「拝読させていただきます」は、文法的には誤りですが、ビジネスシーンにおいて頻繁に用いられているのが現状です。
相手の読む行為に対して使う誤りの例としては、「拝読ください」が挙げられます。謙譲語は自分自身の行為を謙る表現であるため、こちらの誤りは失礼にあたります。注意しましょう。
目上の人に文書を読んでもらいたい時には、「お読みになられましたか」となどと問うのが正しい表現になります。
「拝読」の語源
「拝読」を構成する漢字の意味は、それぞれ以下の通りです。
- 拝:相手をつつしみ敬う、おがむ
- 読:読む
ここから「拝読」は相手を敬って読むという意味であることが想像できます。
「拝読」の類義語
「拝読」には以下のような類義語があります。
- 拝見(はいけん):謹んで見ること
- 拝聴(はいちょう):謹んで聴くこと
- 拝誦(はいしょう):謹んで読むこと
- 閲読(えつどく):書物の内容を調べながら読むこと
- 閲覧(えつらん):書物をじっくりと調べたり、読むこと
「拝読」は書物や文書などを謹んで読むことという意味でしたが、「拝見」は絵や写真などを謹んで見ることという意味です。
「拝読」の対義語
「拝読」の明確な対義語として挙げられる熟語は存在しません。
しかし、「読む」という行為の反対は「書く」であることから、「書く」の謙譲表現である「書かせていただく」「お書きします」などが「拝読」の反対の意味を持つ表現として挙げられます。
また、謙譲語の反対と考えると、「読む」の尊敬語である「お読みになる」も候補としてあります。
「拝読」の英語訳
「拝読」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- read
英語には敬語は存在しないので、「拝読」は”read”と訳します。
「メールを見る」は”take a look at email”などと訳すこともあります。
まとめ
以上、この記事では「拝読」について解説しました。
読み方 | 「拝読」(はいどく) |
---|---|
意味 | 謹んで読むこと |
語源 | 「相手をつつしみ敬う」「読む」という意味の漢字から |
類義語 | 拝見、拝聴、拝誦など |
対義語 | 書かせていただく、お書きします、お読みになるなど |
英語訳 | read |
「拝読」が謙譲語であることを認識した上で使わないと、失礼な表現をしてしまうこともあります。正しい意味を理解して使いこなしましょう。