日本語は使い分けが難しいといわれる言葉がいくつもあると思いますが、その一つとして「思考」と「思想」があります。どちらの単語にも「思う」という漢字が用いられていますが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
「思う」ことも人それぞれ様々でしょう。日々の生活で思い悩んでいることや信じている宗教、政治に対して思うこともあると思います。それでは、その違いについて詳しく解説していきます。
結論:違いはまとめるかまとめないか
それに対して、「思想」とは人が社会や生きている現実世界に対して考えた事柄をまとめたものを指します。
「思考」を詳しくみてみよう!
思考とは考える行為そのものです。例えば、お母さんが夕飯に何を作るかを考える行動や、国語の問題で筆者の伝えたい事柄について考える行動を指します。英語では、 “think” “consider” などと訳されます。
哲学や心理学においては、感覚で捉えた事柄や心のうちで思った事柄をもとに判断したり推理したりする行為を思考と呼びます。
実は思考の過程を大まかに二つに分類することができます。一つは合理的思考です。それは問題を解決するために行う、論理的な考え方です。もう一つは、自閉的思考です。妄想や空想などのとりとめのない非現実的な考え方を指します。
思考の使い方の例
- 小論文で思考力と説明力を試される。
- 明日から始まる夏休みをどのように過ごすか、思考がまとまらない。
「思想」を詳しくみてみよう!
思想というのは、思考によって考えられた事柄を一つにまとめたものや意見です。意見というのは、政治や社会情勢などに対して人々が持つまとまった考えを指します。
例えば、社会主義や資本主義というのは、政治思想の一つといえます。また、英語では “thought” “idea” などと訳されます。
古代ギリシャの哲学者であるソクラテスが語ったとされる「無知の知」という言葉を知っていますか。簡単に説明すると、自分が知らないということを自覚するという意味なのですが、これは彼の思想のうちの一つなのです。
思想の使い方の例
- アリストテレスの哲学書を読んで、彼の思想に共感した。
- 高校の歴史の授業で、西洋思想と東洋思想の違いを学んだ。
まとめ
この記事では、「思考」と「思想」の違いについて詳しく解説していきました。
- 思考:考える行動そのもの。
- 思想:考えを一つにまとめたもの、あるいは意見。
「思考」と「思想」は同じ漢字を用いられているので混同しがちですが、言葉の意味は異なります。考えている行動であるか、その考えをまとめたものであるかという違いに十分注意して、言葉を使い分けましょう。