今回ご紹介する言葉は、熟語の「普遍的(ふへんてき)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「普遍的」をざっくり言うと……
読み方 | 普遍的(ふへんてき) |
---|---|
意味 | すべてのものに共通しているもの・広く行き渡ること |
語源 | 「広い範囲に行き渡ること」を意味した象形文字の組み合わせから。 |
類義語 | 全般的、おしなべる、世界的、遍く(あまねく)など |
対義語 | 独特、特徴的、特殊など |
英語訳 | omnipresence、universal、ubiquity |
「普遍的」の意味をスッキリ理解!
「普遍的」の意味を詳しく
「普遍的」は、広くいきわたること・すべてのものに共通していることを意味します。
「普」「遍」の両方とも広く行きわたるという意味を持っています。2つの漢字を組み合わせた「普遍的」は、「多くのものごとにあてはまる様子・すべてのものに行き渡る様子」を意味します。
一般的と普遍的の違い
「一般的」は、「普遍的」と似た意味を持っていますが、「対象にするもの」に違いがあります。
- 一般的:全てには当てはまらないが、広く知れ渡っていること
- 普遍的:すべてのものに共通すること
学校や部活などのコミュニティーのなかでの共通事項は、時間が経過したり、違う場所に行くと通用しないことがあります。このように、「すべてに当てはまらないが、狭いコミュニティで通用するもの」を指すのが「一般的」です。
例文で使い方を見ていきましょう。
上記は、日本という一部の国で通用する「桜」を「一般的」と表しています。他の国に行ったら「桜」は有名ではなく、知られていない可能性もあります。このように、特定された一部分で共通認識のある事柄を指す際に「一般的」は使用されます。
「普遍的」の哲学的な意味
「普遍的」には、哲学用語として2つの意味があります。
- 宇宙や世界の全体に関していえること。
- 特殊な物に対し、ある範囲のすべての事物に共通する性質。
- ニュートンはりんごが落ちた事実から、万有引力という普遍的法則を唱えた。
ニュートンは「りんごが落ちた」という事実から、どんな場合にも共通する「万有引力」の法則を見つけました。数学、物理学、化学といった分野で使用されることが多くなっています。
②の「普遍的」は、時代が変わっても、変わらずに人気がある芸術、デザインなどに対して使われます。
- 日本の文化遺産には、普遍的な価値がある。
- 時代を超えても変わらない普遍的なデザインが売りだ。
上記の例文以外にも、「普遍的な事実」「普遍的な現象」のように、時代や環境などに左右されない事柄を指す場合にも使用されます。
「普遍的」の使い方
- 生きている人が死んでしまうのは普遍的なことだ。
- 日本の普遍的な魅力について語る。
①、②の例文は、時代や環境が変わっても、変わらない共通の事柄を「普遍的」で表しています。
①は、「人が死ぬという変わらない事実」に対して「普遍的」が使用されています。
②は、「時代を超えても愛され続ける芸術やデザイン」を「普遍的」で表現しています。
押さえておきましょう。
「普遍的」の語源
「普」という漢字は「太陽の上に人が2人立っている」中国の象形文字に由来しています。「太陽の恩恵が広い範囲に行き渡る様子」を表しています。
「遍」も古代中国で生まれた象形文字です。「戸の前に編んだひもでつるした札が掲げられている様子」を表現しています。「札」のように平たいことから「平たく行き渡る」という意味になりました。
2つの漢字を合わせた「普遍」は、すべてのものに広く行き渡るという強い意味になりました。
「普遍的」の類義語
普遍的には以下のような類義語があります。
- 全般的:物事の全体
- おしなべる:全体に渡る様子
- 世界的:世界全体にかかわる様子
- 遍く(あまねく):すべてに広く行き渡るさま
「全般的」と「おしなべる」は、類義語の中でも似たような意味をもっています。「広い範囲」を表すため、「普遍的」と一番近い言い換えとして使用できます。
「世界的」は、「今の世界」と物事を比較する際に用いられます。現状を世界と比較して表現したい場合には、「世界的」を使用した方が意味が伝わりやすくなります。
「遍く」は、「普遍的」に比べて「細かい部分まで影響が及ぶこと」を言います。
「普遍的」の対義語
普遍的には以下のような対義語があります。
- 独特:そのものだけが特別に持っているもの
- 特徴的:他の物と異なって際立っているもの
- 特殊:限られた範囲や物だけしかあてはまらないこと
「普遍的」の英語訳
普遍的を英語に訳すと、次のような表現になります。
- omnipresence
(遍在する)
- omnipresence
例:God is omnipresent.(神は普遍である)
- universal
(普遍)
- universal
例:That’s a universal truth.(それは普遍的な真実だ)
- ubiquity
(普遍的)
- ubiquity
例:The ubiquitous network society is only a dream.(広範なネットワーク社会は単なる夢にすぎない)
まとめ
以上、この記事では「普遍的」について解説しました。
読み方 | 普遍的(ふへんてき) |
---|---|
意味 | すべてのものに共通しているもの・広く行き渡ること |
語源 | 「広い範囲に行き渡ること」を意味した象形文字の組み合わせから。 |
類義語 | 全般的、おしなべる、世界的、遍く(あまねく)など |
対義語 | 独特、特徴的、特殊など |
英語訳 | omnipresence、universal、ubiquity |
「普遍的」は、「広い範囲に行き渡ること」を表し、哲学的な意味を持ちます。デザイン、美術といった古くから変わらない「美しさ」を表す言葉でもあります。
深い意味を理解し、「普遍的」な事柄へ適切に使用できるように心がけていきましょう。