独特の風味が人気の野菜といえば、「パクチー」ですよね。タイ料理などの東南アジア料理に欠かせない薬味です。
一方、スパイスとしておなじみの「コリアンダー」や、中華料理で使われる「シャンツァイ(香菜)」も、スーパーや飲食店でよく見かけます。
これらの違いは何でしょうか。
結論:全部同じ野菜の呼び名
ただし、料理によって呼び分けられることが多いです。
「パクチー」は東南アジア料理、「コリアンダー」は西洋料理やインド料理、メキシコ料理など、「シャンツァイ(香菜)」は中華料理で呼ばれることが多いです。
コリアンダー(パクチー/シャンツァイ)ってどんな野菜?
コリアンダー(この節ではパクチー・シャンツァイ[香菜]も合わせた名前)は、地中海原産のセリ科の一年草の植物です。”Coriandrum sativum L.” というコリアンダーに似た学名がつけられています。
20℃ 前後の気温で発芽するので、日本では春・秋まきが一般的です。およそ6週間で 40~60cm に成長し、収穫期を迎えます。5月から6月頃には、白い花を咲かせます。
コリアンダーは、葉や茎だけでなく、根や種も食用にされています。葉や茎は生食に、根は煮込み料理に、種は乾燥させてスパイスに、主に使われています。
好みが分かれるコリアンダーですが、その独特の香りによって、肉や魚の臭み消しや薬味などとして世界各地で大活躍しています。
3つの呼び名、どう呼び分ける?
世界中で使われているコリアンダー。日本で呼ばれている3つの呼び名は、料理によって使い分けられています。
「パクチー」:東南アジア料理
タイ料理など、東南アジア料理に欠かせない野菜が「パクチー」です。写真の通り、世界三大スープの一つとされるトムヤンクンにも、パクチーが添えられています。
「パクチー( “ผักชี” )」というタイ語の名前が日本で広まったのは、パクチー料理専門店「パクチーハウス東京」の存在によるところが大きいでしょう。
「パクチーハウス東京」は 2007年に佐屋恭氏がオープンしたレストランで、2018年3月に閉店しました。佐屋氏は「日本パクチー狂会」も立ち上げ、パクチー料理の普及に今も尽力しています。
こうして日本で定着したパクチーですが、本場・東南アジアでの使われ方には日本での使われ方との違いが二つあります。
- パクチーがメインになる料理はない
- 葉や茎だけでなく根も使う
「コリアンダー」:西洋料理・メキシカン・インド料理など
「コリアンダー」と聞いて、生の野菜よりも、スーパーのスパイス売り場に並んでいるものを思い浮かべる人の方が多いでしょう。
コリアンダーの種を乾燥させたスパイスを「コリアンダーシード」といい、インドや中央アジアから欧米まで、幅広く使われています。
コリアンダーシードは、カレーやタコスなど、西洋料理以外でも使われているのです。写真のようにメキシコ料理でも欠かせないコリアンダーですが、スペイン語では「シアントロ」と呼ばれています。
「シアントロ」は、中南米やアメリカ合衆国で定着している呼び名です。
コリアンダーシードは生のコリアンダーと香りが全く違います。「パクチーの香りが嫌い」と思っている人のほとんどが、カレーなどで気づかずに口にしているでしょう。
コリアンダーシードにはデトックス効果や鎮静効果があるとされ、健康への影響も期待できます。
「シャンツァイ(香菜)」:中華料理
「シャンツァイ(香菜)」は、中華料理で使われる生のものを指す呼び名です。
四川料理やウイグル料理などで、牛肉や羊肉を使った料理に使われています。写真のような牛肉や羊肉の入った麺料理の他にも、火鍋のタレなど様々なシャンツァイを使った料理があります。
日本では、2000 年代の火鍋ブームに続いて、蘭州牛肉麺(蘭州ラーメン)ブームが起こっています。シャンツァイを使った中華料理が身近になってきていると言えます。
まとめ
以上、この記事では、「パクチー」「コリアンダー」「シャンツァイ(香菜)」の違いを解説しました。
- パクチー:東南アジア料理
- コリアンダー:欧米料理、インド料理、メキシコ料理など
- シャンツァイ(香菜):中華料理
東南アジア料理だけでなく、世界中の料理に使われているコリアンダー。思っているよりも頻繁に食べていることでしょう。
ふだんの食事にコリアンダーが入っていないか気にしてみてください。