今回ご紹介する言葉は、熟語の「拝啓(はいけい)」です。
言葉の意味・使い方・語源・「拝啓」以外の頭語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「拝啓」をざっくり言うと……
読み方 | 拝啓(はいけい) |
---|---|
意味 | 「つつしんで申し上げます」という意味の手紙の初めに書くあいさつの語 |
語源 | 「うやまって申し上げる」という意味の漢字 |
英語訳 | Dear Sir(拝啓) |
「拝啓」の意味をスッキリ理解!
「拝啓」の意味を詳しく
「拝啓」とは、「つつしんで申し上げます」という意味の手紙の初めに書くあいさつの語です。
手紙は、以下のように構成されています。
- 前文:頭語・時候の挨拶・相手への安否伺い
- 主文:本文
- 末文:結びの言葉・結語
- 後付:日付・署名・宛名
「拝啓」は、この中でも、フォーマルな手紙の書き出しに用いる「頭語」とよばれる部分に当たります。「頭語」とは、手紙の最初に書く決まり文句のようなものです。
対面での会話で言うと「こんにちは」「ごめんください」などの最初の声掛けのようなものだと思っていいでしょう。「これから、あなたへの手紙の内容を始めますよ」という合図のようなものでもあります。
そして、「拝啓」自体の意味は「へりくだって申し上げる」「つつしんで申し上げる」です。
「拝啓」の使い方
- 拝啓 春暖の候 皆様にはお変わりなくお過ごしのこととお喜び申し上げます。
手紙の冒頭の「拝啓」の後は、一字開けて時候の挨拶を続けます。改行は必要ありません。
「拝啓」の語源
「拝啓」の漢字を分解して考えてみましょう。
「拝」は「拝む」という意味の漢字です。「うやまって礼をする」「左右の手のひらを合わせて礼をする」などの動作を表します。
「啓」には複数の意味がありますが、ここでは 「申す」「申し上げる」という意味で使われています。
つまり、ふたつ合わせて「うやまって申し上げる」という意味の熟語です。
「拝啓」以外の頭語
手紙の始めに書く頭語は、「拝啓」以外にも、さまざまなものがあります。その中でも、場面に合わせて以下のように使い分けをします。
- 一般的な手紙に使う頭語:拝啓・拝呈
- 改まった手紙に使う頭語:謹啓・粛啓・謹呈・恭啓
- 返信のときに使う頭語:拝復・復啓・敬復・謹復
- 簡単な挨拶のときに使う頭語:前略・略啓・冠省・啓上
- 急用のときに使う頭語:急啓・急呈・急白
- 手紙を重ねて出す際に使う頭語:再啓・再呈
それぞれの意味を詳しく見ていきましょう。
一般的な手紙に使う頭語
「拝啓」はもっとも一般的な頭語です。そして、もうひとつの一般的な手紙に使われる頭語が「拝呈(はいてい)」です。
「拝呈」は、「つつしんでものを送る」という意味の熟語です。
普通に手紙を出す際には「拝啓」か「拝呈」を使えばいいでしょう。
改まった手紙に使う頭語
「拝啓」や「拝呈」よりも、より高い敬意を表す頭語が以下の3つです。
- 謹啓(きんけい)
- 粛啓(しゅくけい)
- 粛啓(しゅくけい)
ビジネスの際や、目上の人への手紙には、これらの頭語を使ってもいいでしょう。
返信のときに使う頭語
自分から手紙を出すのではなく、受け取った手紙に返事を書く際に用いる頭語が以下の3つです。
- 拝復(はいふく)
- 復啓(ふくけい)
- 敬復(けいふく)
どれも、「つつしんで返事をする」という意味があります。
簡単な挨拶のときに使う頭語
親しい相手への手紙などで、それほど改まる必要のないときに使う頭語が以下の4つです。
- 前略(ぜんりゃく)
- 略啓(りゃくけい)
- 冠省(かんしょう)
- 啓上(けいじょう)
「前略」は、時候の挨拶を省く場合の断りとして用いる頭語です。目上の人への手紙で使うのは避けましょう。
また、「啓上」は、男性が使うことが多い頭語です。
「前略」についての詳しい意味はコチラをご覧ください。
急用のときに使う頭語
急いでいる要件のときに使う頭語が以下の3つです。
- 急啓(きゅうけい)
- 急呈(きゅうてい)
- 急白(きゅうびゃく)
緊急の手紙を書くときに用いられる頭語で、「取り急ぎ申し上げます」という意味を表します。
手紙を重ねて出す際に使う頭語
同じ要件で、もう一度手紙を送る際に使われる頭語が以下のふたつです。
- 再啓(さいけい)
- 再呈(さいてい)
「拝啓」の英語訳
「拝啓」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Dear Sir
(拝啓)
まとめ
以上、この記事では「拝啓」について解説しました。
読み方 | 拝啓(はいけい) |
---|---|
意味 | 「つつしんで申し上げます」という意味の手紙の初めに書くあいさつの語 |
語源 | 「うやまって申し上げる」という意味の漢字 |
英語訳 | Dear Sir(拝啓) |
「拝啓」以外にも頭語はたくさんあるので、使い分けができるといいですね。