ビジネスシーンでよく使われる「来社」と「来訪」という言葉があります。これらはほぼ同義で使われますが、実は明確な違いもあります。
この記事ではよく似た「来社」と「来訪」について違いをわかりやすく解説していきます。
結論:「来社」は、自社に、「来訪」は、自社または商談場所に訪れること
一方で、「来訪」は、自社に限定せず、相手が商談場所を訪ねてくることを意味します。
「来社」をもっと詳しく
「来社」とは、相手が自分の会社に訪れることを意味します。目上の人やお客様が訪れる時は、接頭語の「ご」をつけ、「ご来社」と使うことが多いです。
「社」という漢字から分かるように、自社に訪れる場合のみ使用できる言葉であるため注意が必要です。
「来社」の使い方の例
- 本日は、ご来社いただき、誠にありがとうございます。
- 14時に田中様がご来社になりました。
- 10日にご来社いただくことは可能でしょうか?
- 明日のご来社お待ちしております。
②は、お客様が来られたことを、上司など目上の人に伝える場面で使われます。この時、「ご来社になられました」というと、二重敬語(同じ種類の敬語を二回使うこと)になってしまうので避けましょう。
③・④は、相手に自社に来てもらう時など、丁寧にお願いする場面に使えます。
「来訪」をもっと詳しく
「来訪」とは、相手が目的を持って訪ねてくることを言います。ビジネスシーンでは、社外の人に使う言葉です。目上の人やお客様に対して、接頭語の「ご」をつけて、「ご来訪」と使います。
「来訪」は、自社に限定せず、カフェや、展示場、イベントなど、どのような場所でも、相手に訪ねて来てもらう時に使うことができます。
「ご来訪」の使い方の例
- この度はお忙しい中、ご来訪いただきありがとうございます。
- ご来訪に感謝いたします。
- 田中様がご来訪になりました。
- 明日のご来訪、お待ちしております。
①や②では、お客様に直接言うことも、感謝のメールなどで送る文面にも使うことができます。
③は、「来社」と同じように、「ご来訪になられました。」や、「ご来訪されました。」といった、二重敬語にならないように注意が必要です。「されました」という尊敬語を使う場合は、「来訪されました」として、接頭語なしで使いましょう。
類義語
「来社」や「来訪」と意味が似ている言い回しとして、「ご足労いただく」や、「お越しいただく」という表現があります。
また、会社ではなく、店舗に来てもらう時は「ご来店」、会場に来てもらう時は「ご来場」といったように、場所によって他の言い方もあるので覚えておきましょう。
対義語
逆に、自分が行く時は、「来社する」や、「来訪する」という使い方はできません。
この場合、「往訪(おうほう)します。」や、「伺います。」と言います。また、特に目上の人に丁寧にいう場合は、「ご訪問させていただきます。」といった言い回しが使われることもあります。
英語訳の違い
「来社」と「来訪」の違いは、英語訳にも表れます。それぞれの英語訳は、以下の通りです。
- 来社:visit to our company
- 来訪:visit
「来社」は、会社に来てもらうことであるため、company や office が英訳に含まれます。また、相手方の行為であるため、our など、自分たちの会社であることを意味する単語がつきます。
「来訪」は、出向く先を限定している表現ではないため、visit のみが英訳となります。
まとめ
以上、この記事では、「来社」と「来訪」の違いについて解説しました。
- 来社:目上の人が自社に訪れること。
- 来訪:目上の人が自社またはその他、商談場所に訪れること。