アンタッチャブルとは「関係を持ったり、言及したりしてはいけない存在や領域」という意味です。
アンタッチャブルは、日常会話の中で耳にすることがある単語ですが、具体的な意味を知らない人も多いでしょう。
この記事では、アンタッチャブルが持つ複数の意味を詳しく解説します。
☆「アンタッチャブル」をざっくり言うと……
英語表記 | アンタッチャブル(アルファベット) |
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意味 | 関係を持ったり、言及したりしてはいけない存在や領域 |
語源 | 「触れることができない」という意味の英単語 “untouchable” |
類義語 | 聖域 禁断の領域など |
対義語 | 公共 |
このページの目次
「アンタッチャブル」の意味
関係を持ったり、言及したりしてはいけない存在や領域
例:ここでは、その話はアンタッチャブルだよ。
なぜ言及してはいけないのか、関係を持ってはいけないのか理由は問いません。
アンタッチャブルは、良い意味でも悪い意味でも使われます。
良い意味では、「手出しができない」「無敵だ」という意味で使われます。
悪い意味では、「不正や汚名によって言及してはいけないことになってしまった」という意味で使われます。
「アンタッチャブル」の専門的な意味
アンタッチャブルは、以下のような専門的な意味で使われることが多いです。
- ディフェンス力の優れたボクサー
- 賄賂(わいろ)が通用しない相手
- 不可触民(ふかしょくみん)
意味➀:ディフェンス力の優れたボクサー
アンタッチャブルには、ディフェンス力の優れたボクサーという意味があります。
動体視力やスピードが優れたボクサーは、相手からのパンチを食らいません。
ここから、「触れることができない選手」という意味から「ディフェンス力の優れたボクサー」という意味で使われるようになりました。
非常にディフェンスが上手かったアルゼンチンのプロボクサー、ニコリノ・ローチェへの敬称として使われたのがきっかけです。
意味➁:賄賂が通用しない相手
アンタッチャブルは、賄賂が通用しない相手を表すことがあります。
賄賂に屈しないような、お堅い相手のことを比喩的に表現しています。
具体的には、FBI(アメリカ連邦捜査局員)のことを指すために使われることが多いです。
賄賂が通用しない相手の例
FBIの酒類取締局職員であったエリオット・ネスらの特別捜査班が、容疑者らからの賄賂を一切受け取らなかったことから使われるようになった表現です。
エリオット・ネスはシカゴ最大のマフィアであったアル・カポネを逮捕するために、尽力していました。
追い詰められたアル・カポネは賄賂で特別捜査班らを買収しようとしました。
しかし、エリオット・ネス側は賄賂に応じず、その事実を公表し真っ向から戦ったのです。
意味➂:不可触民
アンタッチャブルは、不可触民という意味があります。
不可触民とは、インドのヒンドゥー教社会で用いられているカースト制度の中で差別されている人々のことです。
カースト制度では、以下のようなピラミッド型の身分制度が敷かれています。
- バラモン
- クシャトリア
- ヴァイシャ
- シュードラ
そして、上記のような階級制度の中にすら入ることのできない人々をアンタッチャブルと呼ぶのです。
カースト制度に入らない人々を表すアンタッチャブルは以下のように言い換えることができます。
不可触民、アチュート、指定カースト、ダリット
「アンタッチャブル」の使い方
アンタッチャブルは、以下のようにさまざまなニュアンスで使われます。
- いい意味:「手出しができない」「無敵だ」
- 悪い意味:「不正や汚名によって言及してはいけないことになってしまった」
具体的な例文と共に、使い方を見ていきましょう。
- 彼は凶悪犯罪を犯したので、彼の話題はアンタッチャブルになっている。
- 彼らはアンタッチャブルだから、賄賂はきっと受け取ってくれないよ。
- ヒンドゥー社会の中で、アンタッチャブルたちはひどい差別を受けている。
➀のアンタッチャブルは、「触れられない」「触れてはいけない」という意味で使われています。
➁のアンタッチャブルは、「賄賂が通用しない」という意味で使われています。
➂のアンタッチャブルは、「不可触民」という意味で使われています。
「アンタッチャブル」の語源
アンタッチャブルの語源は英語の “untouchable” です。
“untouchable” は、以下のような意味の言葉で構成された単語です。
- un
否定を意味する接頭語 - touch
触れるという意味の動詞 - able
~できるという意味の言葉
つまり、 “untouchable” は直訳すると「触れることができない」という意味の英単語です。
ここからさまざまな意味に派生して、現在のようなカタカナ語で使われるようになりました。
「アンタッチャブル」の類義語
アンタッチャブルには以下のような類義語があります。
- 聖域
神聖な場所。転じて手を触れてはならない分野のこと - 禁断の領域
接触や侵入が禁じられている場所 - タブー
禁じられていること - 禁忌
禁じられていること - 不可侵領域
侵入してはいけない場所や分野
聖域はプラスの意味で使われることが多く、禁忌やタブーはマイナスの意味で使われることが多いです。
「アンタッチャブル」の対義語
アンタッチャブルには以下のような対義語があります。
- 公共
広く開かれていること
誰に対しても開かれている状態を表します。
例えば、誰でも利用できる空間を公共空間と呼びます。
誰でもアクセスできる、触れることができるという点でアンタッチャブルの対義語と言えます。
その他の「アンタッチャブル」の意味
アンタッチャブルには、他にも以下のような意味があります。
- アメリカ制作のテレビドラマ
- 人力車に所属するお笑い芸人
アメリカ制作のテレビドラマという意味の「アンタッチャブル」
原題は『The Untouchables』で、日本で公開される際に『アンタッチャブル』という題になりました。
禁酒法時代のシカゴを舞台に、禁酒法時代のアメリカ・シカゴを舞台に、ギャングとアメリカ財務省捜査官のチームの対決を描いています。
意味の項でも説明した、エリオット・ネスらの事件がモデルになっています。
また、このドラマは1987年にアメリカでリメイクされ、映画にもなりました。
人力車に所属するお笑い芸人という意味の「アンタッチャブル」
アンタッチャブルは、柴田英嗣(しばたひでつぐ)と山崎弘也(やまざきひろなり)で構成されたコンビです。
コンビ名は、上記の1987年にアメリカで公開された映画『アンタッチャブル』からとっています。
「アンタッチャブル」のまとめ
以上、この記事ではアンタッチャブルについて解説しました。
英語表記 | アンタッチャブル(アルファベット) |
---|---|
意味 | 関係を持ったり、言及したりしてはいけない存在や領域 |
語源 | 「触れることができない」という意味の英単語 “untouchable” |
類義語 | 聖域 禁断の領域など |
対義語 | 公共 |
アンタッチャブルには、複数の意味があることがわかりましたね。
文脈から、どの意味で使われているのかを判断できるようになりましょう。