今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「モラルハザード」です。
「モラルハザード」の意味、使い方、語源についてわかりやすく解説します。
☆「モラルハザード」をざっくり言うと……
英語表記 | モラルハザード(moral hazard) |
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意味 | 保証があるという安心感から、リスクを伴う行動をとりやすくなること |
語源 | 「道徳心」の意味の“moral” と「危険」という意味の “hazard” |
「モラルハザード」の意味をスッキリ理解!
「モラルハザード」の意味を詳しく
「モラルハザード」とは、保証があるという安心感から、リスクを伴う行動をとりやすくなることです。
「モラルハザード」には3つの意味がありますが、本来は、保険業界で使われていた上のような意味でした。
「モラルハザード」の3つの意味とは以下のものです。
- 意味①:保証があるという安心感から、リスクを伴う行動をとりやすくなること
- 意味②:情報の不均衡によって、情報を持つ者が不正に得をし、他方は損をすること
- 意味③:倫理の欠如
それぞれの意味を見ていきましょう。
意味①:保証があるという安心感から、リスクを伴う行動をとりやすくなること
「モラルハザード」のもともとの意味は、「保証があるという安心感から、リスクを伴う行動をとりやすくなること」です。
たとえば、車の保険に入った人は、「事故を起こしても保証される」という安心感から、荒い運転をすることが多くなります。
また、医療保険に入ると、医療費の半分以上が保険で支払われるため、加入者が健康維持の注意を怠って、かえって病気にかかりやすくなることがあります。
これらが保険業界で言われる「モラルハザード」です。
意味②:情報の不均衡によって、情報を持つ者が不正に得をし、他方は損をすること
情報や知識を持っている専門家やプロなどが、その情報を利用して、得をすることを「モラルハザード」と言います。
具体的には、医者が患者に対して不必要に多くの薬を出して医療費を多くとろうとする行為などです。これは、情報を持たず、何が正しいかわからない患者に対して、医者が自分の持っている知識や情報を利用して、不正に利益を得ています。
情報を持っている人が持っていない人よりも得をするのは当然です。その知識を正しく利用して得をするのは「モラルハザード」ではありません。
情報を利用して、情報弱者に損をさせるような不誠実な利益の得方をするのが「モラルハザード」です。
意味③:倫理の欠如
「モラルハザード」には、「節度を失った非道徳的な利益追求」を表すこともあります。
具体的には、「追及されないのをいいことに給食費を払わないこと」や「マスクを転売して利益を得ること」などがこれに当たります。
ただし、この意味はカタカナ語の「モラルハザード」にしか含まれません。もともと海外で使われていた「モラルハザード」の意味は上のふたつのみなので注意しましょう。
「モラルハザード」の使い方
「モラルハザード」には以下のような使い方があります。
- 大統領は、この法案によりモラルハザードが起きることを懸念している。
- モラルハザードを防ぐためにも最低限の知識は身に着けたい。
- マスク不足によってモラルハザードが起きている。
➊の「モラルハザード」は、「保証があるという安心感から、リスクを伴う行動をとりやすくなること」という意味で使われています。
➋の「モラルハザード」は、「情報の不均衡によって、情報を持つ者が不正に得をし、他方は損をすること」という意味で使われています。
➌の「モラルハザード」は、「倫理の欠如」という意味で使われています。
「モラルハザード」の語源
「モラルハザード」の語源は英語の “moral hazard” です。
“moral” は「道徳」「道徳心」という意味、 “hazard” は「危険」という意味があります。
英語の “moral hazard” の意味は以下のふたつです。
- 意味①:保証があるという安心感から、リスクを伴う行動をとりやすくなること
- 意味②:情報の不均衡によって、情報を持つ者が不正に得をし、他方は損をすること
ただし、「倫理観の欠如」という意味はありません。
まとめ
以上、この記事では「モラルハザード」について解説しました。
英語表記 | モラルハザード(moral hazard) |
---|---|
意味 | 保証があるという安心感から、リスクを伴う行動をとりやすくなること |
語源 | 「道徳心」の意味の“moral” と「危険」という意味の “hazard” |
「モラルハザード」には、複数の意味があるので、場面によってどの意味なのか見分ける必要があります。