「視線」と「目線」、普段何気なく使い分けている熟語ではないでしょうか?
この二つの熟語は意味が明確に違いますが、その違いを説明できる人は少ないでしょう。
本記事では、「視線」と「目線」の違いを、わかりやすく例を挙げて解説していきます。
結論:「視線」は目で見ている方向、「目線」はものを見る立場
「視線」をもっと詳しく
「視線」とは、見ている方向、他人を、もしくは他人が見る目付きを表します。
「見ている方向」の意味であれば、「視線が合う」「視線をそらす」などの表現で使われます。
「他人を、もしくは他人が見る目付き」の意味であれば「世間の視線」「哀れみの視線」などの表現で使われます。
どちらの意味で使われるかは文脈によります。以下の例文で意味を確認しましょう。
「視線」の使い方の例
「視線」を使用した例文を以下に示します。
- 気になるあの子と何回も視線が合ってしまい、ドキドキした。
- 哀れみの視線を向けられるため、半年入院していたことはあまり人に話さない。
- 悪そうな少年と目が合ってしまったため、あわてて視線をそらした。
②は「他人が自分を見る目付き」という意味で「視線」が使われています。
③の「視線をそらす」は「目を背ける、目の向きを変える」という意味で使われています。
「目線」をもっと詳しく
「目線」は、ものを見る立場、または目の向きを表します。
それぞれの意味について解説していきます。
意味①:「ものを見る立場」
「ものを見る立場」の意味は、「視点」「観点」などと言いかえられます。
「消費者の目線」や「上から目線」のように、「その立場での思考、考え方」を意味します。
意味②:「目の向き」
「目の向き」は映画・演劇・テレビ・ファッションなどの業界で使われていた意味です。
例えば、カメラマンが「目線ください」と言えば「目の向きを自分のカメラに合わせてください」という意味になります。
つまり、「視線」とは何かを見ることが目的であるのに対して、「目線」は写真写りが目的であるという違いがあります。
もともとは「目の向き」の意味でのみ使われていましたが、最近になって「ものを見る立場」としての意味でも使用されるようになりました。
「目線」は俗語としては「視線」と同じ意味で使用されることがあります。つまり「視線が合う」を「目線が合う」と言い換えても問題はありません。
「目線」の使い方の例
「目線」を使用した例文を以下に示します。
- 彼は先輩と話すときでさえも上から目線だが、誰よりも優秀で努力しているため文句を言えない。
- 昭和の女優として名高い彼女は、演技中の目線の使い方が際立っていた。
- 商品開発では、消費者の目線に立つことがなによりも重要である。
- 先生と目線が合ったため、指名されてしまった。
①の「上から目線」は、「上の立場からの視点」という意味で皮肉として用いられます。
②の「目線」は「目の向き」を表しています。
③は「消費者の目線に立つ」で「消費者としての視点を持って考えること」を指しています。
④の「目線が合う」は「視線が合う」と同じ意味で、「お互いに見つめる」ということを表します。
まとめ
以上、この記事では、「視点」と「目線」の違いについて解説しました。
- 視線:目で見ている方向、または他人を、もしくは他人が見る目付き
- 目線:ものを見る立場、または目の向き
「視線」と「目線」のニュアンスの違いをつかんで、最適な言葉を選べるようになりましょう。