「わからない」という意味を持つ、「不詳」と「不明」という言葉があります。みなさんは、この2つの言葉の使い分けができますか?
そこで今回は、「不詳」と「不明」の違いについて、詳しく解説します。
結論:わからないの程度の違いで、使い分ける。
一方で、「不明」は、「まったくわからないこと」を言います。
たとえば、東京都足立区に住んでいる山田さんがいたとします。「住所不詳」であれば、山田さんが東京に住んでいることはわかっていますが、住所の詳細まではわからないことを表しています。
一方で、「住所不明」であれば、山田さんが日本にいるのかどうかもわからず、調べる方法もない時に使われます。
「不詳」をもっと詳しく
「不詳」は、「調べればわかるかもしれないが、現時点ではわからないこと」です。より細かく言うと、「今後明らかになるかもしれないが、現時点では明確ではないこと」や「今は一部しか、わからないこと」といったニュアンスがある言葉です。
さらに、「詳」という文字には、「細かいところまで、行きとどていて、くわしい」や「詳しく調べがついている」という意味が、含まれています。つまり、「不詳」は、調べがついていなくて明らかでないことを指すのです。
「不詳」の対義語と類義語
次に、「不詳」の対義語と類義語を紹介します。
対義語
- 見出す:見つけ出すこと。
- 理解:正しくわかること。意味・内容を飲み込むこと。
類義語
- 曖昧:態度やものごとが、はっきりしないこと。
- 不明瞭:はっきりしないこと。あいまいなこと。
「不詳」の使い方の例
- 大変有名ではあるのですが、実はこの作品の作者は不詳なのです。
- 彼はいつまでたっても少年のように無邪気で、年齢不詳なところがあるね。
- この研究結果は、出自が不詳なところがあり、信用できない。
①の文は、作者がいることはわかっているものの、現時点では誰であるかがわからないことを表しています。
②の文は、彼の見た目の年齢はわかるものの、無邪気でいるため正確な年齢がわからないという意味です。
③の文の「不詳」は、「あいまい」という意味で使われています。したがって、研究結果の出どころがあいまいであるため、信用できないということです。
「不明」をもっと詳しく
「不明」は、「まったくわからないこと」を言います。また、「物の道理がわからないこと」や「愚かなこと」、あるいは「物事を見抜く力がないこと」という意味もあります。
さらに、「明」という文字には、「事がはっきりしている」、また「物事を見通す」という意味が含まれています。つまり、「不明」は、事がはっきりしなくて事情をつかめないこと、また先を見通す力がないことを意味します。
「不明」の対義語と類義語
次に、「不明」の対義語と類義語を紹介します。
対義語
- 未解明:未だ、はっきりできていないこと。
- 漠然とした:ぼんやりしていてはっきりできないさま。
類義語
- 明確:はっきりしていて、確かなこと。
- 明白:はっきりしていて、疑いのないこと。
「不明」の使い方の例
- あれから11日も経つが、登山グループはいまだ行方不明のままだ。
- このような事態となり、自らの不明を恥じます。
- 不明な教師をからかう生徒たち。
①は、登山グループが今現在どこにいるか、予想もつかないことを表しています。
②で用いられている「自らの不明を恥じる」という言葉は、物事を見極める能力や資質がないことを、恥じることを意味する表現です。事態の原因が、自分の能力のなさを指していることがわかります。
③の文の「不明」は、「愚かである」と言う意味で使われています。したがって、愚かな教師に対して生徒がからかっていることを表しています。
まとめ
以上、この記事では、「不詳」と「不明」の違いについて解説しました。
- 不詳:調べればわかるが、現時点ではあまりわからないこと。
- 不明:まったくわからないこと。