「改名」と「襲名」の違いとは?わかりやすく解説

違いのギモン

2020年、歌舞伎俳優の市川海老蔵さんが「市川團十郎」を襲名することで注目を集めています。

みなさんは、そんな歌舞伎界でよく聞く「襲名」の正しい意味をご存知ですか?「名前を変えること」のように見えますが、では「改名」とはどう違うのでしょうか。

この記事では、そんな「改名」と「襲名」の違いをわかりやすく解説していきます。

結論:「改名」は名前を変えること、「襲名」は名前を受け継ぐこと

「改名」は、名前を変えることを指します。

一方、「襲名」は先祖や師匠が名乗っていた名前を受け継ぐことです。

「改名」をもっと詳しく

「改名」とは名前を変えることを指します。

この場合の「名前」とは、姓名だけでなく、芸名やプロ野球選手の登録名など、戸籍と関係のないものも含まれます。タレントの磯野貴理子さんのように、芸名をよく改名する芸能人は何人かいますよね。

姓名はどうやったら「改名」できるの?

みなさんの周りには、苗字や名前を「改名」したことがある人はいますか?

名前がキラキラネームだから、結婚や離婚をしたから、など、改名したい理由は人さまざまですが、改名には正式な手続きが必要です。

苗字は先祖代々受け継いだもの、名前は親につけてもらった大切なものですので、改名するのが難しいのは当然です。

 

改名をするには、基本的に家庭裁判所の許可が必要となります。

苗字の場合、改名はやむを得ない場合のみ許可されます。たとえば、奇妙なもの、正確に読まれないものなどがそれに当たります。ただし、結婚や離婚、配偶者との死別や、養子縁組を結んだ場合などは、裁判所の許可なく変更することができます。

一方で名前の場合、改名は正当な理由がある場合のみ許可されます。たとえば、苗字と同じく、奇妙なものや読み方が難しいものが挙げられます。また、同姓同名の人がいて紛らわしい場合や、外国人と間違えられやすい、異性に間違えられる場合、出家した場合も改名が許可されます。

「襲名」をもっと詳しく


「襲名」とは、先祖や師匠が以前しようしていた名前を受け継ぎ、名乗ることを指します。

「襲名」の「襲」は「襲う」という意味でよく使われるので、この意味は少し変に感じられる方もいるかもしれません。しかし、実は「襲」には「かさねる」という意味もあるので、「襲名」は「名前をかさねる」という意味になるのです。

襲名は、現在では歌舞伎界や落語界など、日本の伝統芸能、古典芸能の世界において目にすることができます。

襲名すると◯代目△△という名前になります。たとえば、2020年に市川海老蔵さんは十三代目市川団十郎白猿を襲名します。

「襲名」するのはどんなとき?

「襲名」は私たちが日常で目にする普通の名前ではなく、「名跡(みょうせき)」と呼ばれる由緒ある名前がほとんどです。その中でも特にビッグネームは「大名跡(だいみょうせき)」などと呼ばれます。

「名跡」は武士の時代からあるような古い名前に限らず、一代でビッグネームになればそれが名跡となり、受け継がれていくこともあります。

また、主に伝統芸能や古典芸能の世界では、名跡を襲名するとき、「襲名披露」というイベントを行います。特に歌舞伎の名家の襲名披露は非常に大きなイベントで、とても重々しく、儀式的に執り行われます。

ちなみに、死後に名跡を送られることを「追贈(ついぞう)」と言います。人形浄瑠璃文楽の吉田幸助さんはが「吉田玉助」を襲名するときには、亡くなった父の玉幸さんに四代目吉田玉助を追贈し、ご自身は五代目となりました。

まとめ

以上、この記事では、「改名」と「襲名」の違いについて解説しました。

  • 改名:名前を変えること。
  • 襲名:先祖や師匠が名乗っていた名前を受け継ぎ、名乗ること。

「改名」と「襲名」の違い、わかりましたか?

これからはぜひ、歌舞伎役者や落語家などの襲名披露に注目してみてくださいね。