日本語にはまぎらわしい表現がたくさんあり、日本人はそれらを無意識に使い分けることができます。しかし、日本語を学んでいる外国人はそうもいきません。ネイティブではない人はきちんと理屈で違いがわかっていないと使い分けることができないのです。
そして、日本人は似ている言葉の違いを感覚で使い分けているため、理屈では分かっていない場合が多いです。でも、外国人に質問された時に答えられないとネイティブとして恥ずかしいですよね。
そして、そんな言葉の1つに「丸い(まるい)」と「円い(まるい)」があると思います。そこで、今回は「丸い」と「円い」の違いについて解説していきたいと思います。
結論:丸いは球、円いは円
そして、その中でも「丸い」は球体のような形をしているものや状態を表しています。
一方、「円い」は物体が円形のような形をしているという意味を表しています。
「丸い」をもっと詳しく
「丸い」とは、ものが球体のような形をしているという意味です。
別の言い方をするならば、どの角度から見ても形があまり変わらずまるいということです。
また、物体だけでなく、状態や状況が穏やかである時にも「丸い」という表現が用いられることがあります。
例えば、そのいざこざは丸く収まった、などのように使われます。これはいざこざが角の立たない穏やかな状態で解決したという意味ですよね。
その他にも、「丸い」にはきりがいい、という意味があります。
ちなみに、そんな「丸い」は円形のものにも用いられることがあり、「円い」に比べて一般的で、広い意味を持っていると言えるでしょう。
また、「丸」という漢字は短刀と彫刻刀が組み合わせてできた会意文字(※1)です。これは、刃物で物体を丸くするというイメージだそうです。
- 会意文字(※1):2つ以上の漢字の字の形や意味を組み合わせてできた漢字。
「円い」をもっと詳しく
「円い」とはものが円の形をしているという意味です。
別の言い方をするならば、1つの視点から見ればまるいが、他の視点から見るとまるくないものが「円い」ものです。例えば、ビンのふたは真横から見ると円形ではないですよね。
そして、「円い」は「丸い」と比べて意味が狭く、あまり一般的には使われません。
ちなみに、「円」という漢字は「口」と「員」を組み合わせてできた形成文字(※2)です。円はもともと「圓」という漢字でしたが、これが簡単になり、現在では「円」になりました。
- 形成文字(※2):事物の意味を表す記号と発音を表す記号とを組み合わせてできた漢字。日本にある漢字の90%ほどがこれに当たる。
「丸い」と「円い」の使い分け例
これまで見てきたように、基本的には球体のものが「丸い」で円形のものが「円い」ですが、実際に使う時にはそう一筋縄にはいきません。例外も存在します。
例えば、月は天体ですから、本来は「丸い」形をしていますよね。しかし、私たちが夜空を見上げると、満月は「円く」見えます。満月のことを円月と言うこともあります。つまり、「丸い」ものでも「円い」と言うことがあるのです。
また、逆もあります。例えば、まる付けと言った時、使われる漢字は「丸」です。しかし、多くの場合まる付けは円を描きますよね。
そして、このような例外をすっきりと解決する方法はなく、外国人が日本語を学ぶ時には覚えるしかありません。
まとめ
以上、この記事では、「丸い」と「円い」の違いについて解説しました。
- 丸い:物体が球体のような形をしていること
- 円い:物体が円のような形をしていること
このように、「丸い」と「円い」は似て非なる言葉です。間違えないように使い、外国人に聞かれた時にはきちんと説明できるようにしておきたいものですね。