今回ご紹介する言葉は、心理学用語の「社会的アイデンティティ理論(しゃかいてきあいでんてぃてぃりろん)」です。
言葉の意味、具体例、提唱者、英語訳、類義語についてわかりやすく解説します。
☆「社会的アイデンティティ理論」をざっくり言うと……
読み方 | 社会的アイデンティティ理論(しゃかいてきあいでんてぃてぃ) |
---|---|
意味 | 自分がどのような社会集団に所属しているのかという自己認識のこと |
提唱者 | H.タジフェル J.C.ターナー |
英語訳 | Social identity(社会的アイデンティティ理論) |
類義語 | 実存的アイデンティティ |
このページの目次
「社会的アイデンティティ理論」の意味をスッキリ理解!
「社会的アイデンティティ理論」の意味を詳しく
「社会的アイデンティティ」とは、自分がどのような社会集団に所属しているのかという自己認識のことです。
「自分がどういった社会的なカテゴリーに所属しているのか」という自分の考えのことです。
「社会的アイデンティティ」は「自己アイデンティティ」のひとつです。
「自己アイデンティティ」とは「自己同一性」や「自我同一性」とも呼ばれ、「自分がどのような存在であるのか」という認識のことです。
この「自己アイデンティティ」の中で、「社会」という枠組みの中で「自己」を考えるのが「社会的アイデンティティ」です。
「社会的アイデンティティ理論」の具体例
「社会的アイデンティティ」は、「自分が社会的なカテゴリーの中のどこに位置しているか」という認識のことです。
そして、それらの社会的なカテゴリーはさまざまな範囲のものを含みます。
たとえば、「自分はA大学の学生である」「自分はB社の社員である」という認識が「社会的アイデンティティ」です。
また、より広い範囲で考えれば、「自分は日本人である」「自分はアジア人である」などの国籍についての認識も「社会的アイデンティティ」になります。
一方で、「自分は明るい性格だ」や「自分は家族を大切にする」などの認識は「社会的アイデンティティ」ではありません。
これらは、「社会的カテゴリー」とは関係がないからです。
「社会的アイデンティティ理論」の提唱者
「社会的アイデンティティ」は、社会心理学者であるH.タジフェルとJ.C.ターナーが提唱しました。
それまでの理論では、集団行動を「集団同士の利害の対立」などの構造的な考え方で説明していました。
集団間行動を、集団間の実際的利害の対立といった構造的な要因によって説明はしておらず、個人内の認知的・動機的概念によって捉えた点が特徴的です。
「社会的アイデンティティ理論」の英語訳
「社会的アイデンティティ理論」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Social identity
(社会的アイデンティティ理論)
「社会的アイデンティティ」の類義語
「社会的アイデンティティ」の類義語として「実存的アイデンティティ」という言葉があります。
「実存的アイデンティティ」とは、「自分の思想的あるいは観念的な意味、位置の認識」のことです。
「社会的アイデンティティ」も「実存的アイデンティティ」も「自己アイデンティティ」の中のひとつですが、意味が違います。
「実存的アイデンティティ」は、「自分がどの集団に所属しているか」「他人からどのような人間として評価されているか」という社会的な位置づけは関係ありません。
あくまで、「自分が自分をどのような個性や価値観を持つ存在であると思っているのか」という考えのことです。
まとめ
以上、この記事では「社会的アイデンティティ理論」について解説しました。
読み方 | 社会的アイデンティティ理論(しゃかいてきあいでんてぃてぃ) |
---|---|
意味 | 自分がどのような社会集団に所属しているのかという自己認識のこと |
提唱者 | H.タジフェル J.C.ターナー |
英語訳 | Social identity(社会的アイデンティティ理論) |
類義語 | 実存的アイデンティティ |
「社会的アイデンティティ」は、「自分がどのような人間なのか」を考えるときに必ず必要になる考え方です。しかし、だけでは自分自身の認識をすることはできません。
「社会的アイデンティティ」だけを重視しすぎないように気を付けましょう。