「シロクマ」と「ホッキョクグマ」の違いとは?名称の由来まで解説

違いのギモン

動物園や水族館の人気者、ホッキョクグマ。かっこよくて、どこか愛くるしい彼らの前には、大人子供問わず、いつも人だかりができていますよね。

そういえば皆さん、「シロクマ」と「ホッキョクグマ」の違い、ご存知ですか?意外と、わからないのではないでしょうか。

この記事ではそんな「シロクマ」と「ホッキョクグマ」の違いをわかりやすく解説していきます!

結論:「シロクマ」は本来は黒や茶色、「ホッキョクグマ」は元から白色

「ホッキョクグマ」は北極に生息する体が白い熊であり、現在では、「ホッキョクグマ」の通称として「シロクマ」が使われています。

しかし、厳密には、ツキノワグマなどが遺伝子疾患で体が白くなって生まれてきたものを「シロクマ」と呼びます。

つまり、もとから体が白い種類の熊である「ホッキョクグマ」に対し、「シロクマ 」はもともと黒や茶色のはずの種類の熊が遺伝子の異常で白くなってしまった珍しい個体を指します。

「ホッキョクグマ」をもっと詳しく

「ホッキョクグマ」とは北アメリカ大陸北部、ユーラシア大陸北部、そして北極圏に生息する、体が真っ白な熊です。

英語では、その生息地をもとに“Polar Bear(=北極の熊)”と表現します。

体長はオスで2.0〜2.5m、メスでも1.8〜2.0mほどあります。体重はオスで800kgにのぼることもありますが、近年は地球温暖化の影響もあって体が小さくなってきています。

長い首や流線型で小さな頭のおかげで、長時間氷海を泳ぐことができます。また、時には流氷に乗って長い間移動することもあります。

 

ホッキョクグマは全身が白く見えるため、通称「シロクマ」と呼ばれています。

日本語での俗称と同じように、英語でも”White Bear(=白い熊)”という別名があります。

多くの哺乳類は体毛が白くても光を透過しないのに対して、ホッキョクグマの体毛は光を透過し、その内部が空洞になった特殊な構造をしているため、体が白く輝いて見えます。

ただ、動物園や水族館で飼育されているホッキョクグマは、空洞に汚れが入って黄色っぽく変色してしまったり、空洞に藻が繁殖して緑っぽくなってしまうこともあります。

「シロクマ」をもっと詳しく

「シロクマ」は、ツキノワグマなどの、もともと茶色や黒っぽい色をした種類の熊が、遺伝子疾患のせいで白い体になってしまったものを指します。

「ホッキョクグマ」の愛称としての「シロクマ」はなじみ深いですが、実際には別の起源があるのです。

どうして遺伝子疾患で体が白くなるの?

動物は「メラニン」という色素を持っています。簡単にいってしまえば、人間などの動物はメラニンを持っているため、太陽からの紫外線で日焼けをしています。

しかし動物は、稀に遺伝子の異常によってこのメラニンを持たない赤ちゃんが生まれることがあります。メラニンがない、つまり体の色素なくなるため、体は白くなります。この症状を「先天性白皮症」や「先天性色素欠乏症」、「白子症」と呼びます。

そして、この症状を患っている個体のことを「アルビノ」や「白化個体」、「白子」などと呼びます。

どうして「シロクマ」と呼ばれているの?

「ホッキョクグマ」が「シロクマ」と呼ばれるようになった起源は、上野動物園での職員の対応にあります。

1899年、新潟県でアルビノのニホンツキノワグマが捕獲されました。このツキノワグマは前足に一部赤褐色の毛があるだけで、残りの体毛は全て真っ白でした。その後、このアルビノのツキノワグマは上野動物園にて飼育されます。

しかし、その3年後の1902年、なんとドイツから北極産の白い熊が上野動物園に送られてきました。

区別に困った動物園の職員は、北極産の白い熊を英語名である「Polar Bear」をそのまま日本語訳して「ホッキョクグマ」と呼び、元からいるアルビノのクマを「シロクマ」と呼ぶことにしました。

こうして、「シロクマ」と「ホッキョクグマ」の区別がされるようになったのです。

まとめ

以上、この記事では、「シロクマ」と「ホッキョクグマ」の違いについて解説しました。

  • シロクマ:元々黒や茶色の種類の熊のアルビノ個体。
  • ホッキョクグマ:北極などに生息する元々白い体の種類の熊。

みなさん、違いがわかりましたか?「シロクマ」は「ホッキョクグマ」の愛称であるだけでなく、別に起源がある動物だったのです。

ぜひ友達や家族にも教えてあげてくださいね。