みなさんは髪を切りに行く時、どこに行くでしょうか。多くの人は床屋か美容室に行くと思います。そして、床屋には理容師さん、美容室には美容師さんがいますよね。
ところで、床屋は男性が、美容室は女性が行くというイメージがあると思いますが、理容師と美容師の違いは何なのでしょうか。よく考えたら知らない、という方も多いと思います。
そこで、今回は「理容師」と「美容師」の違いについて解説していきたいと思います。
結論:必要な免許が違う
理容師になるには理容師免許が必要なのに対して、美容師になるには美容師免許が必要なのです。
「理容師」をもっと詳しく
理容師とは、理容師免許を持っている人のことを指します。そして、そのほかにも美容師との間にはさまざまな違いが存在します。
まず、理容師になるためには理容師免許という国家資格が必要なのですが、これを取得するためにはまず、国が指定する理容師の養成学校に入学し、2年間学ばなければなりません。ちなみに、通信教育の場合は3年かかります。
そして、理容師免許を取るため、国家試験に合格する必要があります。ちなみに、国家試験の内容は筆記試験と実技試験とに分けられます。
まず、筆記試験は理容師試験と美容師試験とで範囲は変わりません。関係法令、衛生管理、美容保健、物理・化学、美容理論などについて問われます。
次に、実技試験では美容師試験と異なるところと同じところとがありますが、まず同じところはカッティング(髪を切ること)と衛生上の取り扱いです。一方、シェービングと整髪は美容師試験にはない内容です。
そのうち、シェービングとはヒゲや産毛(うぶげ)などをシェーバーなどを用いてそり、顔をすべすべにすることです。また、整髪とは髪の毛を刈って形を整えることです。
この試験は年に2回行われ、1000人から2000人ほどが受験し、そのうち50%~70%程度が合格します。
ちなみに、理容師がいる髪を切る施設を床屋といいますが、床屋は厚生労働省の調査では現在、全国に13万店舗ほどがあります。
理容師免許を持つ人は床屋で働いていることが多いでしょう。
ところで、理容師ができることは理容師法という法律の上で決まっています。
そして、理容とは頭髪の刈込み、顔そりなどで容姿を整えること、という意味です。そのため、美容師と違って理容師はお客さんの髪を整えるという役割が強いです。
このことから、美容師とは業務上行っていいことが微妙に異なります。
まず、理容師には試験の内容にもあった通り、顔そりを行ってよいという特徴があります。ちなみに、顔そりはまず熱いタオルを顔にのせ、毛穴を開かせてから、かみそりなどを用いて毛をそります。
一方、理容師は女性客にパーマを行ってはいけません。ちなみにパーマとは、薬や電気などを用いて、髪が長時間ウェーブするようにすることです。
また、これは法律上で決まっていることではありませんが、多くの床屋さんでは散髪台の前を開けるとシャンプー台が出てくるようになっています。そして、髪の毛を洗う時にはお客さんが前かがみになります。下の写真のようなイメージです。
そんな理容師がいる床屋に来るお客さんは、やはり男性が多いです。そして、昔ながらの髪型を要望してくるお客さんも多いので、理容師には髪型についての詳しい知識が必要です。
また、最近は個性的な髪型を要望してくるお客さんも増えてきています。
「美容師」をもっと詳しく
美容師とは、美容師免許を持っている人のことを指します。
まず、美容師になるためには、美容師を養成する学校に2年間通い(通信教育なら3年間)その後に国家試験を受ける必要があります。
その国家試験の内容は理容師と同じように筆記試験と実技試験とにわかれ、筆記試験の範囲は理容師試験と同じです。
そして、実技試験はカッティングと衛生上の取り扱いについては理容師と同じですが、ワインディングとオールウェーブセッティングは理容師試験にはない項目です。
まず、ワインディングとは頭髪にロッドなどを巻く作業のことです。
次に、オールウェーブセッティングとはウェーブをかける特殊なセットの作業のことです。
そして、美容師試験も年に2回開催され、1万~2万人が受験し、60%~80%程度が合格します。
ちなみに、合格した後は美容室で勤務する人も多いですが、中にはブライダル業界、ファッション業界などで活躍する人もいます。理容師より活躍できる範囲は広めだと言えるでしょう。
そして、美容室は厚生労働省の調査では現在、全国に23万店舗ほどがあります。
そんな美容師の業務内容は美容師法という法律で決まっています。そして、美容とはパーマネントウェーブ(人工的に髪をウェーブさせること)や結髪(髪を結ぶこと)、化粧などで容姿を美しくすることです。
つまり、美容師はお客さんを美しくするという役割が強いです。
そして、美容師の業務内容で、理容師と大きく異なる点としてはまず、パーマをかけることができるという点があげられます。
また、顔そりを行うことは原則、禁止です。美容師が顔そりを行っていいのはメイクするにあたって必要不可欠だと判断された時だけです。しかし、これについては基準があいまいなため、美容師が顔そりを行っていても、黙認されていることが多いでしょう。
そのほかにも、多くの美容室ではお客さんの髪を洗う時、シャンプー台に移動して仰向けになってもらい、顔に水がかからないように髪の毛を洗います。
詳しくは以下の写真の通りです。
また、以前は男性客が美容室を訪れた時、散髪だけのサービスを受けることが禁止されていましたが、これは現在では認められています。
つまり、以前は男性が美容室を訪れる際、散髪だけでなく髪を染めたり、パーマをかけたりしなければ、違法ということになっていたのです。
そんな美容室を訪れる人はやはり現在でも女性のほうが多いでしょう。
そして、ヘアスタイリング(髪型を自分が好きなように整えること)のほか、着付けも美容師の仕事の1つであるため、美容室によっては着物などの着付けを行ってくれるところもあります。
また、美容師は流行に敏感である必要があるでしょう。
まとめ
以上、この記事では、「理容師」と「美容師」の違いについて解説しました。
- 理容師:理容師免許を持つ人のこと
- 美容師:美容師免許を持つ人のこと
理容師と美容師は似ているようで違うところも多い職業だったんですね。しかし、現在では床屋が美容室で行っているようなサービスを取り入れてみたり、美容室が床屋で行っているようなサービスを取り入れてみたりしています。
そのため、美容師と理容師の違いはだんだんなくなってきていると言えるでしょう。