「周」という漢字は、普段「周り」として頻繁に使われています。実は動詞としても使うことを知っていましたか?
「周る」と使うことができますが、今度は「回る」との違いをギモンに思うでしょう。
今回はさらに「廻る」を加えた、「回る」「周る」「廻る」の違いについて解説します。
結論:「回る」と「廻る」は同じ、「周る」は違う意味
「廻る」は「回る」と同じ意味ですが、常用漢字外です。
「回る」をもっと詳しく
「回る」は、物体がある点を中心として円を描くように動くことを指します。その他、多くの意味を持ちますが、すべてこの円形の運動から派生した意味です。
以下に、代表的な意味をまとめました。
- 何か所かを順に移動して、出発点に戻る。
- 直接行かないで、別の場所を経由する。
- 別の位置、立場に移る。
- ある範囲に行きわたる。
- 十分にはたらく。
「回る」の使い方の例
「回る」を使用した例文を以下に示します。
- あと五分もしたら、毒が回って気絶してしまうだろう。
- そんな慌てることないよ、急がば回れというじゃないか。
- ついに給食当番が回ってきた。
- 弁護士は、よく舌が回る人が向いていると思います。
- 血液は、常に体の中を回っている。
①は、毒が体に行きわたるという意味で「回る」が使われています。
②はことわざの「急がば回れ」が引用されています。この「回れ」は、直接行かないで別の場所を経由するという意味です。
③は給食当番という立場・役割に移ることを表します。
④の「舌が回る」という表現は、舌が十分にはたらく、つまりよどみなく喋ることを指します。
⑤の「回る」は、何か所かを順に移動して、出発点に戻るという意味で使われています。
「周る」をもっと詳しく
「周る」は、「まわる」と読まれることもありますが、一般的には「めぐる」と読みます。意味は、ぐるりとひと回りすることです。
先ほどご紹介した、「回る」の「何か所かを順に移動して、出発点に戻る」という意味と似ています。「回る」は繰り返しであるのに対して、「周る」はひと回りのニュアンスがあります。
また、「周る」は広い範囲を取り囲むような意味合いが強いです。
「周遊」や「円周」などの熟語をイメージすると意味がとらえやすくなります。
「周る」を「まわる」と読むようになったのは最近です。昭和48年に改訂された当用漢字音訓表で「まわる」という訓読みが追加されました。
ただ、現在では削除されているため、「周」の正しい訓読みは「めぐる」です。
「周る」の使い方の例
「周る」を使用した例文を以下に示します。
- 人生に飽きてきたため、世界を周ろうと思う。
- ベストシーズンのヨーロッパ周遊の旅はさすがに高いね。
①は、世界をぐるりとひと回りする意味で「周る」が使われています。
②の「周遊」は、ヨーロッパの各地を順に訪れるという意味です。
「廻る」をもっと詳しく
「廻る」は「回る」と同じ意味です。移動を表す”えんにょう”をつけることで、「巡る」というニュアンスが強くなっています。
ただ、常用漢字外であるため、普通は「回る」に置き換えられます。そのため、見かける機会は、特別な熟語に限られるでしょう。
「廻る」を使った熟語には、「輪廻(りんね)」や「廻船(かいせん)」などがあります。「輪廻」は生まれかわりを繰り返すという思想を、「廻船」は人や貨物を運びまわる船を指します。
まとめ
以上、この記事では、「回る」「周る」「廻る」の違いについて解説しました。
- 回る:物体がある点を中心として円形の軌跡を描くように動くこと
- 周る:ぐるりとひと回りすること
- 廻る:「回る」に同じ
「周る」を「めぐる」と読むようにすれば、誤用が減ります。