心理学用語「スリーパー効果」とは?意味と具体例を解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、心理学用語の「スリーパー効果(すりーぱーこうか)」です。

言葉の意味・具体例・提唱者・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「スリーパー効果」をざっくり言うと……

読み方スリーパー効果(すりーぱーこうか)
意味時間の効果と共に情報の発信源への信用度が変わること
提唱者カール・ホブランド氏
英語訳Sleeper effect(スリーパー効果)

「スリーパー効果」の意味をスッキリ理解!

スリーパー効果(すりーぱーこうか):時間の経過と共に、情報の発信源への信用度が変わること

「スリーパー効果」の意味を詳しく

スリーパー効果は、時間の経過とともに情報源は忘れられ、その情報の内容のみが頭に残ることを指します。これはコミュニケーション効果の1つとされています。また、別名「居眠り効果」や、「仮眠効果」と言われることもあります。

コミュニュケーション効果:意見や態度の変化をもたらす効果のこと

基本的に、人間は情報を知った際に、「その情報の発信源は何であるか」、「その情報の中身はどのようなものか」、という2つの観点から情報の信憑性を判断します。

このとき、情報を聞いた当初は「その情報の発信源は何であるか」ということに強く関心が向き、そちらで主に情報の信憑性は判断されます。

しかし、およそ1ヶ月が経過すると次第に情報の発信源が何であるかということは忘れられてしまいます。そのため、発信源の信用度が低かった情報であっても、次第に正しいと思うようになります。

このように、たとえ発信源に対する信用度が薄くても、一定の時間の経過によって、情報の中身が本当らしく思えてくる効果のことを、「スリーパー効果」と言います。

 

スリーパー効果が起きるには、一般的に2つの条件が必要だと言われています。その条件とは、「情報源に対して信頼性が低いこと」、そして、「情報のインパクトが大きいこと」です。

情報のインパクトが小さい場合、情報の内容まで一気に抜けてしまうことがあるため、スリーパー効果は発生しにくくなります。

「スリーパー効果」の具体例

スリーパー効果は、ビジネス面などさまざまな場面で使われています。

例として、週刊誌やワイドショーが挙げられます。これらの中では芸能人のスキャンダルが取り上げられることが多いですが、仮にその中に、根拠の弱い情報が含まれていたとします。

当然、人は一旦はその情報を信じません。しかし、テレビなどで繰り返し取り上げられる中で、情報のインパクトに引き寄せられ、根拠の弱さが気にならなくなることがあるのです。

 

また、同じような例として都市伝説が挙げられます。これも、はじめは人伝えに聞いただけといった信頼性が低い情報であることがほとんどです。しかし、時間が経つにつれてその情報が気になりはじめ、本当ではないかと確認しにいく、といった例があります。

このように、スリーパー効果は身近なところにもよく使われています。

「スリーパー効果」の具体例のまとめ

  • ワイドショー
  • 選挙活動での他政党批判
  • 「〇〇だけで痩せる」といった広告
  • 都市伝説

「スリーパー効果」の提唱者

この言葉を提唱したのは、アメリカの心理学者カール・ホブランド氏です。

スリーパー効果が明らかになった背景には、第二次世界大戦があります。アメリカでは、敵国側に対する反感を抱かせるために、『Why We Fight』というプロパガンダ映画が兵士たちに向けて上映されました。

プロパガンダ:ある思想や行動に他人を向けさせようとする行為のこと

上映直後は、戦争を積極的に行う意識をあおっていることが見え見えであり、兵士にとってプロパガンダとしての効果はありませんでした。しかし、上映から9週間経つと、製作者の意図は忘れ去られ、兵士の頭の中には映画のメッセージが強く残りました。

つまり、時間の経過によって、情報の発信源への意識が薄れ、情報そのものを心に留める効果が表れたのです。

 

また、時間と情報源への信頼度の関係性については、1951年のホブランド氏とジャニス氏の実験でも明らかになっています。

この実験では、まず初めに、ある題材について、学生たちに自分の意見とは反対の意見が書かれている記事を読ませました。その後、読ませた記事の信憑性が高いと説明したグループと、その記事の信憑性が低いと説明したグループに分けました。

すると、読ませた記事の信憑性が高いと説明したグループに所属していた人の23%が意見を変更したのに対し、信頼性が低いとされた記事を読んだグループに所属していた人は、7%しか意見を変えませんでした。

 

しかし、時間を置いた後に再び意見が変わったかを聞くと、2つのグループ間でそれほど差は見られなくなりました。

このことから、時間の経過に伴って、情報の発信源に対する印象が次第に薄れていくということが明らかになりました。

「スリーパー効果」の英語訳

スリーパー効果を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • Sleeper effect
    (スリーパー効果)

まとめ

以上、この記事では「スリーパー効果」について解説しました。

読み方スリーパー効果(すりーぱーこうか)
意味時間の効果と共に情報の発信源への信用度が変わること
提唱者カール・ホブランド氏
英語訳Sleeper effect(スリーパー効果)

このように、情報の発信源というものは時間の経過とともに忘れやすくなっています。そのため、スリーパー効果があるということを意識し、信憑性をきちんと判断しましょう。

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つつつ
この道10年以上の読書家。 短い言葉で人を惹き付けるコピーが大好きです。 本の帯に書かれたコピーを見て買ってしまうこともしばしば。 読書で得た文章力を活かして、日常生活でよく使う言葉を中心に執筆しています。