「理論」と「論理」、漢字をひっくり返した関係にある熟語ですが、別の意味の言葉であることを知っていますか?
類義語でもなく、しっかりと使い分けされる言葉です。
今回は「理論」と「論理」の違いについて解説します。
結論:「理論」は体系化された知識、「論理」は思考の過程
一方、「論理」は、考えや論証を進めていく過程を指します。
より簡単に、「理論」は知識そのもの、「論理」は思考の道筋と言い換えることができます。
「理論」をもっと詳しく
「理論」は、個々の現象を法則的に説明できるよう組み立てられた知識の体系を指します。
硬い言葉で定義されているため、わかりやすく言い換えると、現象を法則や知識としてまとめたものとなります。
たとえば、「バッティング理論」であれば、野球の打撃についての知識や経験則をまとめたものです。また、アインシュタインが提唱したことで知られる「相対性理論」は、物理学の法則により構成されているものです。
「理論」は、英語ではセオリー(theory) と訳されます。
「理論」の使い方の例
「理論」を使用した例文を以下に示します。
- 君も物理学徒なら、超ひも理論くらいは聞いたことあるよね?
- 理論上、タイムトラベルは可能だとされている。
- 仮説を立てるときは、理論に背(そむ)かないか確認しなければならない。
- 今あるバッティング理論の基礎は、彼によって築かれた。
①は超ひも理論という、ひとつの「理論」を指しています。
②のように理論上や理論的という使い方をするときは、ひとつの理論を限定していない場合が多いです。
③で使われている「理論」は、一般的な法則全体を指しています。
④はバッティングに関する理論のみを指しています。
「論理」をもっと詳しく
「論理」は、考えや論証を進めていく過程、または思考の妥当性を保証する形式や法則を指します。
つまり、考えの組み立て方だと言い換えることができます。
論理的な思考法の代表として、三段論法があります。
三段論法の内容を以下に示します。
- AはBである。
- BはCである。
- よってAはCである。
AはCである、という考えにたどり着くまでに①、②の過程を踏まえています。ここに、考えや論証を進めていく過程、つまり「論理」があります。そして三段論法自体も論理と呼ばれます。
また、AはCであるという結論にたどり着いたことに関して、「なぜなら、AがBであり、かつBがCであるからだ」と説明をすることができます。つまり、「AがCである」という思考が正しいことを保証するものとして、「AがBであり、かつBがCである」という論理があるのです。
「論理」は、英語ではロジック(logic)と訳されます。「理論」はセオリーだったため、英語でもしっかりと区別されていることがわかります。
「論理」の使い方の例
「論理」を使用した例文を以下に示します。
- 大学生が書くレポートは、論理的である必要があります。
- 三段論法は論理に則った考え方だ。
- 哲学とは、疑問をどこまでも追求する論理である。
- 幽霊がいるなんて、非論理的なことは言わないでくれたまえ。
①は、論理に則っているという意味の「論理的」が使われています。レポートを論理的に書け、という内容です。
②は、思考の妥当性を保証する思考法であることを表しています。
③の「論理」は、哲学が思考の過程だということを強調するために使われています。
④は「非論理的」と打ち消しの形で使うことによって、「あり得ないこと」の意味となっています。
まとめ
以上、この記事では、「理論」と「論理」の違いについて解説しました。
- 理論:個々の現象を法則的に説明できるよう組み立てられた知識の体系
- 論理:考えや論証を進めていく過程
「理論」と「論理」、よく似た熟語ですが、意味は大きく異なることを理解できましたか?
「理論」は結果を、「論理」は過程を表していました。
日常会話では、「理論的」や「論理的」という形で使用する機会も多いでしょう。ややこしいですが、間違わないよう気を付けてください。