今回ご紹介する言葉は、心理学用語の「ツァイガルニク効果(つぁいがるにくこうか)」です。
言葉の意味・具体例・提唱者・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「ツァイガルニク効果」をざっくり言うと……
読み方 | ツァイガルニク効果(つぁいがるにくこうか) |
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意味 | 最後まで出来たことより、途中かけのものの方を強く覚えているという現象 |
提唱者 | クルト・レヴィン,ブルーマ・ツァイガルニク |
英語訳 | Zeigarnik effect(ツァイガルニク効果) |
このページの目次
「ツァイガルニク効果」の意味をスッキリ理解!
「ツァイガルニク効果」の意味を詳しく
ツァイガルニク効果とは、完成していないものの方を強く覚えているという現象のことです。
人間の心理として、完了していないものの方が、完了しているものに比べて緊張感が働きやすい、というものがあります。
この緊張感によって、途中で終わっているのものに対して、「早く続きをやりたい」,「最後まで終わらせたい」といった意識が働き、より記憶に残りやすくなるのです。
このため、ある作業をわざと途中かけにしておくと、結果としてやる気の促進にもつながります。
そのため、「集中力が切れてきた時に、無理して作業を続けるのではなく、一旦途中かけにして休憩することで、結果としてそのまま作業を続けた時よりも効率がよくなる」、などというように、実際の生活に役立てやすい心理学です。
似た例として、「上手くいかなかったことの方が上手くいったことより覚えている」という現象があります。これもツァイガルニク効果の一種です。
ツァイガルニク効果を働かせるためには、中断させる内容の重要度が大事になります。あまりにも自分がどうでもいいと思っているものに対しては、ツァイガルニク効果は働きません。
また、このように物事を中断させている間は、自分にストレスがかかっている状態になります。そのため、長い時間中断させているとストレスが溜まりすぎてしまい、かえって悪影響を及ぼすこともあるので注意が必要です。
「ツァイガルニク効果」の具体例
「途中かけのものが気になる」例としては、一部分が無料で読めるネット記事があります。
一部が無料の記事は、途中までを利用者に見せて興味を引いておきながら、肝心なところを隠します。そして、「この先は会員のみ閲覧可」などという風に会員登録を促すことにより、利用者にツァイガルニク効果が働きます。
その結果、利用者は興味が抑えられなくなり、ついつい会員登録をしてしまう、というのがツァイガルニク効果のひとつです。
また、「上手くいかなかったことを強く覚えている」ことの例としては、定期テストの振り返りが挙げられます。
試験と試験の間の休憩時間に、「さっきのテストのわからなかった問題が気になるから、次の科目の予習の前に確認しよう」というのも、ツァイガルニク効果が働いている一例です。
途中かけのものが気になる例のまとめ
- 「春物大特価!」のように、情報を一部分だけ出した広告
- 一部分が無料で読めるネット記事
上手くいかなかったことを強く覚えている例のまとめ
- 失恋が忘れられない
- テストで間違えた問題が気になる
「ツァイガルニク効果」の提唱者
ツァイガルニク効果を提唱したのは、ドイツの心理学者クルト・レヴィンと、ソビエト連邦の心理学者ブルーマ・ツァイガルニクです。
まず、レヴィンは「人は目標に向けて行動するとき緊張感が生まれ持続するが、目標を達成することでその緊張感は解消される」という仮説を立てました。
その仮説を元に、ツァイガルニクはある実験を行いました。
その実験とは、被験者を2つのグループに分け、簡単な作業をしてもらい、すべての作業が終了した際に、「今までどんな作業をしてきましたか?」と尋ねるというものです。2つのグループは以下のようになっています。
- Aチーム・・・作業が完全に終わってから次の作業に進む
- Bチーム・・・作業が終わっていない段階で次の作業に進む
「ツァイガルニク効果」の英語訳
ツァイガルニク効果を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Zeigarnik effect
(ツァイガルニク効果)
この英語訳のローマ字読みが元となって、日本ではツァイガルニク効果のことを「ザイガルニック効果」と呼ぶこともあります。
まとめ
以上、この記事では「ツァイガルニク効果」について解説しました。
読み方 | ツァイガルニク効果(つぁいがるにくこうか) |
---|---|
意味 | 最後まで出来たことより、途中かけのものの方を強く覚えているという現象 |
提唱者 | クルト・レヴィン,ブルーマ・ツァイガルニク |
英語訳 | Zeigarnik effect(ツァイガルニク効果) |
ツァイガルニク効果は、実生活に応用することで作業効率を上げられるなど、知っておくととても役立つ心理学のテクニックです。機会があれば、ぜひ使ってみてください。