今回ご紹介する言葉は、熟語の「従属(じゅうぞく)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳について分かりやすく解説します。
☆「従属」をざっくり言うと……
読み方 | 従属(じゅうぞく) |
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意味 | 力の強いものに依存し、言いなりになっていること |
類義語 | 隷属、隷従、属従など |
対義語 | 独立、支配など |
英語訳 | dependence(依存、従属) |
「従属」の意味をスッキリ理解!
「従属」の意味を詳しく
「従属」とは、力の強いものに依存し、言いなりになっていることを表す熟語です。特に、身分・政治・経済・力関係などで、より上位の存在につき従っている様子を指します。
また、「主要な事柄に対して、支配・左右される関係にあること」も意味します。
数学・プログラミングにおける「従属」
数学の確率論において、「独立」「従属」という用語があります。
確率において、片方の事象Aが起こることがわかったとしても、もう片方の事象Bが起こる確率に影響を与えない場合、「2つの事象が独立である」といえます。
一方、片方の事象Aが起こることがわかったとき、もう片方の事象Bが起こる確率に影響を与える場合、「2つの事象が従属である」といえます。
たとえば、サイコロを2回ふり、1回目にでた目が奇数であることを事象A・2回目にでた目が偶数であることを事象Bとします。1回目に何の目がでようと、2回目にでる目に、影響を与えることはありません。そのため、この場合の事象Aと事象Bは独立であるといえます。
次に、箱の中に入っている10本のくじの中に、2本のあたりくじが入っているとします。1回目にあたりくじをひくことを事象A・2回目にあたりくじをひくことを事象Bとします。
事象Aが起こった場合、事象Bの確率は1/9です。一方、事象Aが起こらなかった場合、事象Bの確率は2/9です。事象Bの確率は事象Aの結果の影響を受けているので、この場合の事象Aと事象Bは従属であるといえます。
確率論において、2つの事象が「独立」ではないばあい、「従属」になります。
また、「従属変数」という用語もあります。これは主に2つの場面で使用されます。
関数 y=f(x)においては、変数Xの値が確定することで、定まる変数yのことを指します。一方、プログラミングにおいては、演算の結果におうじて、値が変化する変数のことを意味します。
「従属関係」の意味をもっと詳しく
論理学において、上位概念に対する下位概念の関係のことを、「従属関係」といいます。
たとえば、ライオンという概念は、動物という概念の下位概念にあたるため、両者は「従属関係」にあるといえます。
また、動物という概念は、生物という概念の下位概念にあたるため、この場合も両者は「従属関係」にあるといえます。
また、力の強いものに依存し、言いなりになっている関係のことも、「従属関係」といいます。
「従属国」の意味をもっと詳しく
「従属国」とは、形式的には独立しているものの、政治的・経済的に他国の支配下にある国のことです。
また、「他国の国内法で自治を認められているものの、外交の一部を除き、従属する立場にある国」のことも指します。具体的には、トルコに支配されていた第一次大戦前のエジプトなどが挙げられます。
「従属栄養」の意味をもっと詳しく
「従属栄養」とは、他の動植物の作った有機物を利用して生活する栄養形式のことです。別名「他養」「有機栄養」ともいいます。また、そのような栄養形式の生物を、「従属栄養生物」といいます。
従属栄養生物には、成育や成長に必要な栄養素を合成する能力がありません。そのため、捕食や寄生により、体外の有機物を取りこむ必要があります。
無機物だけでは生活できない動物や、菌類、多くの細菌類などが従属栄養生物にあたります。人間も従属栄養生物の1つです。
一方、光合成などを通じ、無機物から有機物を合成し、生活する栄養形式のことを、「独立栄養」といいます。
「従属人口」の意味をもっと詳しく
「従属人口」とは、14歳までの子どもと、65歳以上の高齢者を足した人口のことです。14歳までの子どもの人口を年少人口、65歳以上の高齢者の人口を老年人口といいます。
「従属人口」以外の人口は、「生産年齢人口」といい、生産活動の担い手になりうる人の数を表します。
「従属」の使い方
- 日本政府の米国に対する姿勢は、従属的すぎると、たびたび批判されている。
- 弁護士は、被告の役割が従属的であることを理由に、執行猶予(しっこうゆうよ)付きの判決を求めた。
- 香港には高度な自治が認められているはずだが、実質的には中国と従属関係にあるとの指摘がある。
- 今、多くの職員が取り組んでいるのは、民法改正に従属する細かい手続きだ。
例文➀➁➂は、「力の強いものに依存し、言いなりになっている」という意味で、「従属」を使用しています。
例文➁のように、裁判において、被告や被害者の関係性を言い表す際に、「従属」を使うこともあります。
一方、例文➃は、「主要な事柄に対して、支配・左右される関係にある」という意味で、「従属」を使っています。
「従属」の類義語
「従属」には以下のような類義語があります。
- 隷属(れいぞく):支配を受け、言いなりになること
- 隷従(れいじゅう):つき従い、言いなりになること
- 属従:支配を受け、つき従うこと
- 服属:服従し、つき従うこと
「従属」の対義語
「従属」には以下のような対義語があります。
- 独立:束縛や支配を受けず、自分の意志で行動すること
- 支配:特定の個人・集団を、自分が思うがままに動かせる状態におくこと
「従属」の英語訳
「従属」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- dependence
(依存、従属) - subordination
(下位におくこと、従属)
まとめ
以上、この記事では「従属」について解説しました。
読み方 | 従属(じゅうぞく) |
---|---|
意味 | 力の強いものに依存し、言いなりになっていること |
類義語 | 隷属、隷従、属従など |
対義語 | 独立、支配など |
英語訳 | dependence(依存、従属) |
新聞記事などでも、ひんぱんに使用される言葉です。また、「従属国」「従属栄養」「従属人口」など、関連する言葉も多いです。
文章を適切に読み取るために、基本的な意味だけでも覚えておくとよいでしょう。