「生産」と「製造」の違いとは?意味から使い分けまで解説

違いのギモン

「生産」と「製造」、どちらもよく耳にする言葉です。「生産性」や「生産効率」、「製造業」など多くの言葉にも使用されています。

実際にこの二つの言葉を使用する際には、おそらく無意識に使い分けていることでしょう。

しかし、これらには明確な意味の違いがあります。今回はその違いを説明します。

ビジネスシーンでも多様される言葉であるため、しっかりと違いを理解しましょう。

結論:「生産」は原料から作る、「製造」は加工する

「生産」は、自然に存在しているものから物資を作ることを指します。一方、「製造」は、原料を加工して製品を作り出すことを指します。つまり、「製造」は「生産」の一部を指す言葉です。

「生産」をもっと詳しく


「生産」は、自然に存在しているものから物資を作ることを指します。また、物資だけではなく、財やサービスなどを作り出すことも指します。

つまり、何かを作り出すこと全般に使用できる意味の広い言葉です。

たとえば、以下の工程の全てに「生産」が当てはまります。

  1. 農業により小麦を作り出す。
  2. 小麦を加工してパンを作り出す。
  3. パンを販売する事業を作り出す。

そして、「生産」が使われる代表的な言葉に、「生産性」があります。「生産性」とは、何かを生み出す際に投入する資源の量と、生み出される価値の大きさの関係を表す言葉です。より少ない資源で高い価値を生み出すことを「生産性が高い」と言います。

「生産」の使い方の例

生産」を使用した例文を以下に示します。

  1. 君の趣味は、生産に欠けるものばかりだね。
  2. 政府より、米の生産を一時的に減らすよう指導を受けた。
  3. 近い将来、養殖によるマグロの大量生産が可能になるだろう。
  4. 工場で、アンモニアの生産過程を見学した。

①は、自身にとってさほど大きな価値をもたらさない趣味に没頭する彼に対して、「生産性に欠ける」と表現しています。

②は農業で作物を作り出すことを指しています。

③のように、マグロという動物を増やすことにも「生産」が使用できます。

④は、窒素などの原料からアンモニアを作り出すことを指しています。この後に解説する「製造」を使用しても構わない例文です。

「製造」をもっと詳しく


「製造」は、原料を加工して製品を作り出すことを指します。「生産」の一部を指す言葉です。

「生産」との違いは、元となる原料が存在しており、それを加工して製品を作り出すことに限定される点です。

 

先ほどのパンの例では、どれが「製造」に当てはまるでしょうか?

  1. 農業により小麦を作り出す。
  2. 小麦を加工してパンを作り出す。
  3. パンを販売する事業を作り出す。
②のみ「製造」が当てはまります。小麦という原料を加工してパンを作り出しているからです。

①の小麦の「生産」には、明確な原料が存在しないため「製造」を使うことができません。③はサービス・仕組みという抽象的なものを対象にしているため、「製造」は不適切です。

「製造」の使い方の例

製造」を使用した例文を以下に示します。

  1. どうやら彼は、製造業に勤めているらしい。
  2. ガラスの製造ラインの改善案をひねり出した。
  3. 私たちが安く買うことのできる衣服は、貧困国の労働者を低賃金で雇用し、低コストで製造されたものが多い。

①の「製造業」は、工場や工房で物を作り出す仕事を指しています。

②は、原料を加工して作り出されるガラスを対象にしているため、「製造」が使用されます。

③は、布や糸を原料とする衣服を作り出すことを指しています。

まとめ

以上、この記事では、「生産」と「製造」の違いについて解説しました。

  • 生産:自然に存在しているものから物資、またはサービスなどを作ること
  • 製造:原料を加工して製品を作り出すこと
「生産」は、物資だけではなく、サービスや財にも使用できます。また、「製造」は「生産」の一部分を指します。

「生産」と「製造」は、主にビジネスのシーンで使われる機会が多いでしょう。その際に、意味の違いを理解していれば、意思疎通がスムーズに行われます。

「生産」と「製造」の違いを覚えておきましょう。

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シェスカ
公的文章に詳しい大学院生。 学術論文や特許の執筆を得意としています。 スッキリではその知識を活かし、専門用語の解説を担当しています。