今回ご紹介する言葉は、心理学用語の「アフォーダンス理論(あふぉーだんすりろん)」です。
言葉の意味、具体例、提唱者、由来、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆アフォーダンス理論をざっくり言うと……
読み方 | アフォーダンス理論(あふぉーだんすりろん) |
---|---|
意味 | 物や環境が、動物の行動を引き出すような特性を持っているという理論 |
もう一つの意味 | 物に備わっている、人の行為を促すようなヒント |
提唱者 | ジェームズ・J・ギブソン |
英語訳 | Affordance Theory(アフォーダンス理論) |
このページの目次
「アフォーダンス理論」の意味をスッキリ理解!
「アフォーダンス理論」の意味を詳しく
「アフォーダンス理論」とは物や環境が、動物の行動を引き出すような特性を持っているという理論のことです。
それまでは、環境や物は人間や動物の行動によって役割を与えられるものであると考えられていました。
しかし、「アフォーダンス理論」では「物や環境自体が、動物や人間の行動を引き出す性質を持ったものとして存在している」と考えるのです。
たとえば、草は牛に食べられることによって「食べられるもの」という意味を与えられるのではなく、草が持つ「食べられる」という特性によって牛の「食べる」という行動を引き出しているのです。
このように、草が牛に食べられるという「可能性」があるときには、「草には『食べることができる』というアフォーダンスが存在する」と表現します。
「アフォーダンス理論」の具体例
扉にドアノブがついていれば、人間はその扉を開けることができます。
人間が扉を開けなくても、あるいは「扉を開けることができるだろう」と考えていなくても、扉には「開けることができる」という「アフォーダンス」が存在するのです。
「アフォーダンス理論」のもう一つの意味
「アフォーダンス理論」の本来の意味は上で説明しましたが、実はもう一つ意味があります。
「過去の経験によって、ものと特定の行動が結びつけられること」という意味です。
たとえば、私たちはマグカップやティーポットについている取っ手を見れば「取っ手を持つんだな」と説明されなくてもわかります。
椅子のような形のものがあれば、それが初めて見るものだったとしても「座るためのものだ」と理解するのです。
本来の意味とは違い、「人間の行動をわかりやすく引き出すようなデザイン」のことを指すニュアンスで使われます。
誤用された意味が広まってしまったのですが、現在ではこちらの意味の方が一般的に認知されています。
「アフォーダンス理論」の提唱者・由来
「アフォーダンス」という単語は「与える、提供する」という意味の “afford” から作られた言葉です。
「動物と物の間に存在する行為についての関係性」という本来の意味を提唱したのは、心理学者のジェームズ・J・ギブソンです。
その後、認知科学者であるドナルド・ノーマンが「物に備わっている、人の行為を促すようなヒント」という意味で使用し始めました。
「アフォーダンス理論」の英語訳
アフォーダンス理論を英語に訳すと、次のような表現になります。
- affordance theory
(アフォーダンス理論)
「与える、提供する」という意味の英単語“afford”に接尾語 “ance” をつけて造られた英単語です。
“ance” は動詞の後ろにつくことで、動詞を名詞に変える働きをします。
まとめ
以上、この記事では「アフォーダンス理論」について解説しました。
読み方 | アフォーダンス理論(あふぉーだんすりろん) |
---|---|
意味 | 物や環境が、動物の行動を引き出すような特性を持っているという理論 |
もう一つの意味 | 物に備わっている、人の行為を促すようなヒント |
提唱者 | ジェームズ・J・ギブソン |
英語訳 | Affordance Theory(アフォーダンス理論) |
「アフォーダンス理論」はとても抽象的な意味を持つので、理解するのが少し難しいかもしれません。具体的なものに当てはめて考えるとわかりやすくなります。
また、本来の意味と、現在一般的に使われている意味が二つあるので、どちらの意味で使われているのか判断することも重要です。