「主催」と「主宰」の違いとは?意味から使い分けまでわかりやすく解説

違いのギモン

同音異義語で意味も似ている熟語は、混同して使ってしまうことが多くありますよね。

今回はどちらも「しゅさい」と読む、「主催」と「主宰」の違いについて解説します。

結論:行事を行う「主催」、団体を取りまとめる「主宰」

「主催」は、中心となり行事や会合などのイベントを実施することを指します。一方、「主宰」は、団体や組織などのグループを取りまとめること、または人を意味します。

「主催」をもっと詳しく


「主催」は、中心となって行事や会合などのイベントを実施することを指します。したがって、行為を表す熟語です。

「催」という漢字は、「うながす」や「そのような気分に誘う」という意味を持ちます。前者は「催促」、後者は「催眠」といった熟語でその意味を表しています。

転じて、「会を設ける」という意味も持つようになり、「主催」や「開催」といった会合に関連する熟語を作っています。

「主催の使い方の例」

「主催」の使い方の例として、以下のようなものが挙げられます。

  1. 飲み会を主催する。
  2. オクトーバーフェストを主催した経験がある。
  3. 親睦会の主催者に任命される。

①では、飲み会という会合を取り仕切ることから「主催」が使用されています。

②のオクトーバーフェストは祭りの一種で、イベントに入ります。そのため「主催」が使われます。

③の親睦会も会合の一種であるため、「主催」が適切です。「主催」は行為を表す熟語です。したがって、「主催者」は主催をする人という意味で使用されます。

「主宰」をもっと詳しく


「主宰」は団体、結社などのグループを中心となって取りまとめることを指します。また取りまとめる人自身を指す場合もあります。

企業であれば「社長」や「CEO(最高経営責任者)」が「主宰」に当たります。

「宰」は訓読みで「つかさどる」と読みます。つまり、リーダーとして物事を仕切るという意味合いを持つ漢字です。

「宰」が使われる熟語の一つに、「宰相(さいしょう)」という役職があります。一般的な表現ではありませんが、日本では総理大臣の別称として使われます。古代中国の皇帝や王を補佐する最高位の官吏(かんり)という役職を指すこともあるため、漢文などで目にすることもあります。

「主宰の使い方の例」

「主宰」の使い方の例として、以下のようなものが挙げられます。

  1. 労働組合の主宰をしている。
  2. テニスサークルの主宰をした経験がある。
  3. 保護者会の主宰者だ。
①では、労働組合というグループを取り仕切っている、または代表をしている意味合いで使用しています。

②では、テニスサークルの会長という役職を務めたことを表しています。

③では、保護者会はイベントではなくグループであるため、「主宰」を使用します。「主宰」は行為を表すため「主宰者」と表記できます。しかし、「取りまとめる人」という意味も持つため、「主宰だ」と表記しても意味が通ります。

「主催」、「主宰」の使い分けで意味が変わる文

「主催」と「主宰」は意味が異なりますが、どちらを適用しても意味が通る文があります。たとえば、以下のような文です。

10月下旬に、私が「しゅさい」する保護者会の飲み会があります。

主催」を当てはめると、飲み会というイベントにかかります。そのため、「私」が飲み会を主だって開催するという意味になります。この場合、保護者会の代表は別の人の可能性があります。

一方、「主宰」を当てはめると、保護者会というグループにかかり、保護者会のリーダーであることを意味します。この場合、飲み会の幹事は別の人の可能性があります。

このように、「主催」と「主宰」の使い分けで意味が異なる文があります。違いを理解することで、正確な意味をとらえましょう。

まとめ

以上、この記事では、「主催」と「主宰」の違いについて解説しました。

  • 主催:中心となり行事や会合などのイベントを実施すること
  • 主宰:団体や組織などのグループを取りまとめること、または人

「主催」と「主宰」は同音異義語であり、どちらも取り仕切るイメージがあるため混同してしまいがちです。しかし、イベントを実施することが「主催」、グループを取りまとめることが「主宰」と、明確な意味の違いがあります。

この違いをしっかりと理解できれば正しく使い分けられます。

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シェスカ
公的文章に詳しい大学院生。 学術論文や特許の執筆を得意としています。 スッキリではその知識を活かし、専門用語の解説を担当しています。