今回ご紹介する言葉は、熟語の「怒涛どとう」です。「怒涛の攻撃」などの形でよく見かける言葉でしょう。実は、これは本来の意味から派生した用法なのです。みなさまは原義をご存知でしょうか。
以下では、「怒涛」の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「怒涛」をざっくり言うと……
読み方 | 怒涛(どとう) |
---|---|
意味 | 激しく打ち寄せる波 |
類義語 | 激動、波乱、騒動など |
対義語 | 細波、小波、安定など |
英語訳 | raging billows(怒涛) |
「怒涛」の意味をスッキリ理解!
「怒涛」の意味を詳しく
「怒涛」は、「怒」と「涛」という2つの漢字から構成されています。
「怒」は、「ど」「いかる」「おこる」という読み方で用いられ、「腹を立てる」「荒々しい」という意味をもちます。この漢字を用いた単語には、「怒気」「怒張」等があります。
「涛」は、「とう」や「なみ」と読み、「大きくうねる波」という意味をもちます。この漢字を用いる単語には、「狂涛」「松涛」等があります。
この2つの漢字から、「怒涛」は、「荒々しい大波」という意味をもちます。その意味が派生して、「激しい勢いで押し寄せる」という意味を表します。
ちなみに、「怒涛」は「怒濤」とも表記します。
「怒涛」の使い方
- 試合終盤になって、怒涛の勢いで反撃してきた。
- 観衆が怒涛のごとく押し寄せてきた。
- 怒涛の1週間が過ぎた。
①の例文の「怒涛の勢い」は、「勢いが強いこと」を表しています。
②の例文の「怒涛のごとく」は、激しい荒波の様子、転じてものすごい勢いで何かが差し迫ってくる様子を指すフレーズです。
③の例文の「怒涛の1週間」は、せわしなく過ごした1週間のことを指しています。荒波が迫ってくる際は、ひたすらそれに対応するしかないため、そこから時間的に忙殺される際にも「怒涛」を用いるようになったのです。
「怒涛」の類義語
怒涛には以下のような類義語があります。
- 激動(げきどう):激しくゆれ動くこと
- 波乱(はらん):単調ではなく、変化のあること
- 騒動(そうどう):大きなもめごと
- 暴動(ぼうどう):社会秩序を乱す行動
- 激変(げきへん):急激に変化すること
「怒涛」の対義語
怒涛には以下のような対義語があります。
- 細波(さざなみ):こまかい波
- 小波(こなみ):小さい波
- 安定(あんてい):落ち着いていて変動の少ないこと
「細波」「小波」は、「怒涛」の「大きな波」という本来の意味に対する対義語となっています。「安定」は、物理的に何かが動かない様子も指します。
「怒涛」の英語訳
怒涛を英語に訳すと、次のような表現になります。
- raging billows
(怒涛) - angry waves
(怒涛) - in leaps and bounds
(怒涛の勢いで)
- raging billows
raging billowsは、よりフォーマルな場面で使われます。
それぞれを用いた例文は以下の通りです。
- That boat were in danger of being swallowed up by raging billows.
(その舟は、荒波に飲まれる危険性があった。) - Despite angry waves, they launched a boat.
(怒濤が押し寄せるにもかかわらず、彼らは舟を出した。) - His growth is in leaps and bounds.
(彼の成長は怒涛の勢いだ。)
- That boat were in danger of being swallowed up by raging billows.
まとめ
以上、この記事では「怒涛」について解説しました。
読み方 | 怒涛(どとう) |
---|---|
意味 | 激しく打ち寄せる波 |
類義語 | 激動、波乱、騒動など |
対義語 | 細波、小波、安定など |
英語訳 | raging billows(怒涛) |
「怒涛」には、単に、「荒々しい大波」という意味と、そこから派生した「激しい勢い」という意味がありますが、多くの場合、「激しい勢い」という意味で用いられます。
しっかりと文脈をとらえ、正しく理解して使いましょう。