今回ご紹介する言葉は、ことわざの「袖振り合うも他生の縁(そでふりあうもたしょうのえん)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「袖振り合うも他生の縁」をざっくり言うと……
読み方 | 袖振り合うも他生の縁(そでふりあうもたしょうのえん) |
---|---|
意味 | 知らない人と偶然道で袖が触れ合うような些細なことでも、前世からの深い因縁によるものであるということ |
由来 | 仏教の教え |
類義語 | 袖の振り合わせも五百生の機縁、一樹の陰一河の流れも他生の縁、躓く石も縁の端など |
英語訳 | A meeting by chance is preordained.(偶然の出会いは、あらかじめ運命づけられている。) |
このページの目次
「袖振り合うも他生の縁」の意味をスッキリ理解!
「袖振り合うも他生の縁」の意味を詳しく
「袖振り合うも他生の縁」は、「知らない人と偶然道で袖が触れ合うような些細なことでも、前世からの深い因縁によるものである」という意味のことわざです。
また、そこから派生してどんな出会いも前世からの深い因縁によるものだから大切にせよという意味を表すこともあります。
言い換えるならば、どんな偶然の出会いも前世からの縁で必然的に起こっているということです。
「他生」は仏教の言葉で「前世と来世」のことで、「他生の縁」は「前世で結ばれた縁」または「何度も生まれ変わりを繰り返している間に結ばれた因縁」を表しています。
また、「袖振り合うも他生の縁」は「袖振り合うも多生の縁」と書くこともあります。「多生」とは仏教の言葉で、「何度も生まれ変わること」を表しています。
さらに、「袖振り合う」の部分を「袖擦(す)り合う」「袖擦れ合う」「袖触れ合う」と言い換えることもできます。
どの表現を用いても、ことわざの意味は同じです。
「袖振り合うも多少の縁」と書くのは誤りですので注意しましょう。
「袖振り合うも他生の縁」の使い方
「袖振り合うも他生の縁」は、以下のように使われます。
- 私がこの会社に就職することも袖振り合うも他生の縁なのだと思うと、なんだか運命的なものを感じる。
- 両親の元に生まれてきたことも、言わば袖振り合うも他生の縁なのだろうか。
- 袖振り合うも他生の縁とも言いますし、今後とも何卒よろしくお願いいたします。
「袖振り合うも他生の縁」の由来
「袖振り合うも他生の縁」は、仏教の教えが元になっています。
その教えとは、「人との縁は偶然ではなく、全て深い因縁によって起こるものである。そのため、どんな出会いも大切にしなければならない。」というものです。
このことわざは、京都の『上方(かみがた)いろはかるた』や大阪の『尾張(おわり)いろはかるた』の読み札の一つとしても用いられています。
「袖振り合うも他生の縁」の類義語
「袖振り合うも他生の縁」には以下のような類義語があります。
- 袖の振り合わせも五百生の機縁(そでのふりあわせもごひゃくしょうのきえん):知らない人と偶然道で袖が触れ合うような些細なことでも、前世からの深い因縁によるものであるということ
- 一樹の陰一河の流れも他生の縁(いちじゅのかげいちがのながれもたしょうのえん):この世の全て出来事は、前世からの因縁によるものだということ
- 一河の流れを汲むも多生の縁(いちがのながれをくむもたしょうのえん):ちょっとした人間関係も、全て前世からの因縁によるものであるということ
- 躓く石も縁の端(つまずくいしもえんのはし):自分に関わる全てのものは、何らかの因縁で結ばれているということ
- 一村雨の雨宿り(ひとむらさめのあまやどり):一時的な出会いも、深い縁で結ばれているということ
- 行きずりの宿世(ゆきずりのすくせ):道ですれ違うのも、前世からの因縁であるということ
これらのことわざは、全てどんな些細なことでも全て前世からの深い縁で結ばれていることを表しています。それぞれ、「些細な出来事の例」が違うのです。
たとえば、この記事の主題である「袖振り合うも他生の縁」や「袖の振り合わせも五百生の機縁」は、知らない人と偶然道で袖が触れ合うことを例にあげています。
「一樹の陰一河の流れも他生の縁」では、偶然同じ木の陰で一緒に雨宿りをしたり、同じ流れの水を飲んだりすること、「躓く石も縁の端」では、多くの石がある中で、偶然つまずいた石がその石だったことがその例です。
さらに、「一村雨の雨宿り」は、一時的なにわか雨を避けるために見知らぬ人と同じ場所で雨宿りすることを例にあげたことわざなのです。
「袖振り合うも他生の縁」の英語訳
「袖振り合うも他生の縁」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- A meeting by chance is preordained.
(偶然の出会いは、あらかじめ運命づけられている。) - Even a chance acquaintance is decreed by destiny.
(偶然の出会いさえも、運命によって決定されている。) - Even a chance acquaintance is a divine ordinance.
(偶然の出会いさえも、神の命令である。)
decreed と preordainedは、互いに書き換えることができます。
まとめ
以上、この記事では「袖振り合うも他生の縁」について解説しました。
読み方 | 袖振り合うも他生の縁(そでふりあうもたしょうのえん) |
---|---|
意味 | 知らない人と偶然道で袖が触れ合うような些細なことでも、前世からの深い因縁によるものであるということ |
由来 | 仏教の教え |
類義語 | 袖の振り合わせも五百生の機縁、一樹の陰一河の流れも他生の縁、躓く石も縁の端など |
英語訳 | A meeting by chance is preordained.(偶然の出会いは、あらかじめ運命づけられている。) |
どんな出会いもどんな出来事も何かの縁なのだと思うと、ひとつひとつの経験が自分にとって意味のあることに感じませんか。
たとえば、電車を一本乗り逃してしまったとしても、その出来事によってあなたは何かを得ているのかもしれません。
「袖振り合うも他生の縁」の意味と使い方を覚え、正しく使えるようにしましょう。