学校で必ずと言っていいほど目にすることのある「終了」と「修了」ですが、その使い分け方をご存知でしょうか。「終わる」というニュアンスが共通している分、戸惑う方も多いでしょう。
以下では、「終了」と「修了」の違いについて解説します。
結論:「修了」は、一定の学習範囲を学び終えること
一方、「修了」は、学問において、一定の期間に与えられた学習範囲を学び終えることを指します。
「終了」をもっと詳しく
「終了」とは、物事を終わりにすること、また一定の時間が過ぎて終わりになることを指します。対義語は、「開始」です。英語では end と言います。「終了」は、時間やタイミングの側面が強い言葉です。
たとえば、「今日の勤務が終了する」という場合、所定の勤務時間が過ぎたということを意味します。やらなければいけないタスクを成し遂げていなくても、時間が来てしまえば「終了」と言えるのです。
「終了」の使い方
- 3-2で試合が終了した。
- 盛大な拍手に包まれて、講演会は終了した。
- 全力をかけて臨んだ体育祭がついに終了した。
「修了」をもっと詳しく
「修了」とは、学業において、与えられた学習範囲を学び終えることを意味します。「与えられた学習範囲」は「課程」と表現され、「教育課程を修了する」などの表現はよく使われます。「修了」は英語で completion と言います。「完了」を意味する単語を、学び終えることに派生させています。
「修」という字は、学問を身につけることを指す言葉です。そのため、「学び」に関して、所定の項目をやり終えることが「修了」なのです。たとえば、「大学の教育課程を修了した」などの表現が考えられます。
ただ、義務教育の場合は、「修了」ではなく「終了」を用います。義務教育は、一定の課程を学び終えたかではなく、一定の年齢に達すれば義務を完了したと見なされるからです。
「卒業」と「修了」の違い
「学び終えること」を意味するという点では、「卒業」もそれに該当します。両者はどのように異なるのでしょう。
「卒業」は、ある学校において、学ばなければいけない範囲の全部を学び終えることを指します。つまり、その学校において、最高学年の学習を終えたところでようやく使える言葉です。
一方、「修了」は、一定の範囲の学びを終えることを指すため、より部分的な意味になります。「大学1年生の教育課程を修了した。」といった表現ができるわけです。
「卒業」と「修了」の使い分けに戸惑うケースは、大学院です。結論から言うと、大学院に関しては「修了」を用います。
大学院では、修士課程と、それに続いて博士課程という教育課程が定められています。文部科学省は、それぞれの課程を終えることを「修了」と表現しています。
修士課程と博士課程を修了するには、必要な単位に加えて、論文を提出して学位を得なければなりません。
一般に、博士課程の修了は難しく、必要な単位を終えて大学院自体には籍を置いていなくても、学位を取り終えていないというケースが起こりえます。そのため、大学院に関しては、定められた期間よりも、定められた課程を基準にして「修了」という表現を用いるのです。
「修了」の使い方
- 高校の教育課程を修了した。
- 研修を修了した。
- 明日は修了式だ。
③の修了式は、一定の学業分野を学び終えたタイミングで行われる式典のことです。
まとめ
以上、この記事では、「終了」と「修了」の違いについて解説しました。
- 終了:広く何かが終わることを指し、ただ一定の時間が過ぎただけの場合も含む
- 修了:学問において、一定の期間に与えられた学習範囲を学び終えること