今回ご紹介する言葉は、ことわざの「逃がした魚は大きい(にがしたさかなはおおきい)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
このページの目次
「逃がした魚は大きい」の意味をスッキリ理解!
「逃がした魚は大きい」の意味を詳しく
「逃がした魚」という言葉は手に入れようとしたが手に入らなかったものを表します。
「逃がした魚は大きい」とは、失った後悔から、逃した魚が実際以上に価値のあるもののように見えることを表す言葉です。実生活では恋愛関連の話でよく使われます。
巷では、一度手に入れたものが手放した後に大きくなって後悔するという意味で使われることが度々ありますが、これは間違った使用方法です。
これでは手放したものが実際に大きくなってしまったことになります。本来は、実際には価値は変わっていないのに大きく見えてしまうという心理的作用を表す言葉です。間違えないように注意しましょう。
「逃がした魚は大きい」の使い方
- 自分の浮気が原因で彼女と別れたが、今になると逃がした魚は大きいと思う。
- ライバル会社に取られた契約のことを考えると逃がした魚は大きい。
- よくデートしていた女性に恋人ができた。逃がした魚は大きいなぁ。
これらの例文では、対象を失った無念さから、失う以前より対象を魅力的に感じて抱く後悔の念を表しています。
主に恋愛の話で使われることが多いですが、②のようにビジネスの話でも使われます。
「逃がした魚は大きい」の由来
三寸(約9㎝)の鯛でも、釣り上げる目前で逃してしまうと一尺(約30㎝)もの大きさに見えたことに由来しています。
「逃した魚は大きい」の類義語
逃がした魚は大きいには以下のような類義語があります。
- 死ぬる子は眉目(みめ)よし:早死にする子は器量がよいものだということ。早死にする子を惜しんだ言葉。
- 死んだ子は賢い:死んだ子に限って優れていたと惜しまれるということ。死んでしまった子には良いところばかりが目につくさま。
- 逃がしたものに小さい物なし:逃がしたものは実際より大きく見えること。
- 逃げた鰻(うなぎ)に小さいはない:釣り落とした魚が実際より大きく見えるように、手に入れる目前で逃したものはより一層悔やまれるということ。
- 逃げた鯰(なまず)は大きく見える:手に入れる目前で失ったものは、実際よりも価値のあるように思われ悔やまれるということ。
「逃がした魚は大きい」の対義語
逃がした魚は大きいには以下のような対義語があります。
- すっぱい葡萄(ぶどう):人は何かを手に入れられなかったとき、そのものの価値を下げて捉えることで心の安定を図ろうとすること。
この慣用句は次のイソップ寓話に由来しています。
ある日、お腹をすかせたきつねが歩いていると、美味しそうな葡萄を見つけました。きつねは喜び、なんとかそれを取ろうとしますが手が届きません。どうしても届かないとわかったきつねは「どうせあの葡萄はすっぱいに違いない」と言って立ち去ります。
この寓話には、人は手に入れたいのに入らないものがあるとき、その対象の価値を下げることで自分を正当化するという教訓が含まれています。
「逃がした魚は大きい」の英語訳
逃がした魚は大きいを英語に訳すと、次のような表現になります。
- Every fish that escapes appears greater than it is.
(逃げるすべての魚は実際より大きく見える。)
まとめ
以上、この記事では「逃がした魚は大きい」について解説しました。
読み方 | 逃がした魚は大きい(にがしたさかなはおおきい) |
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意味 | 一度手に入れかけて失ったものは、実際よりも素晴らしく見えるということ。 |
由来 | 三寸(約9㎝)の鯛でも、釣り上げる目前で逃してしまうと一尺(約30㎝)もの大きさに見えたこと |
類義語 | 死ぬる子は眉目よし、死んだ子は賢い、逃したものに小さい物なしなど |
対義語 | すっぱい葡萄 |
英語訳 | Every fish that escapes appears greater than it is. |
誰しも過去を振り返って後悔した経験があるでしょう。
そんなとき、この言葉を思い出して、思い出を必要以上に美化していないか一度冷静に考えるのもいいかもしれません。