今回ご紹介する言葉は、ことわざの「無い袖は振れない(ないそではふれない)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「無い袖は振れない」をざっくり言うと……
読み方 | 無い袖は振れない(ないそではふれない) |
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意味 | 持っていないお金は出しようがないということ |
類義語 | 無い袖は絞れぬなど |
英語訳 | A man who wears a sleeveless dress cannot wave his sleeves.(袖のないドレスを着る者は自分の袖を揺らせない) |
このページの目次
「無い袖は振れない」の意味をスッキリ理解!
「無い袖は振れない」の意味を詳しく
無い袖は振れないとは、もともと持っていない大金は出しようがないということを表す表現です。「無い袖は振れぬ」とも言います。
この表現は、アイデアなどを出すことができないというときに使用するのは誤用であり、金銭に絡んだ話の文脈でのみ使用することができます。
日本でまだ和服の着用が一般的だった時代には、お金は着物のたもとに入れて持ち運んでいました。
そのため、袖が無いということは「財布がない」ということを暗示しており、お金を持っていないということを表すようになりました。
主に金銭を貸したり商品の勧誘を受けたりする場面において、ただお金を出したくないという意思表示ではなく、「お金を出したいと思ったとしても、出せるほどのお金を持っていない」というニュアンスを含みます。
理由付けとしては無難な表現である一方、相手も納得せざるを得ない理由であるため、お金を出したくないという場面でこの言葉を使用するとその話題を穏便に済ませやすくなります。
「無い袖は振れない」の使い方
- いきなり100万円がほしいなんて言われたって、無い袖は振れないよ。
- この商品は魅力的だが、無い袖は振れないし買うことはできない。
①は誰かからお金を借りたい、もしくは欲しいと言われている場面が想像されます。「無い袖は振れない」とはっきり言うことで、お金の受け渡しを断っています。
②は、直接お金をねだられているわけではありませんが、商品を購入するという行為について「お金がないから買えない」という意思を表しています。
「無い袖は振れない」の類義語
無い袖は振れないには以下のような類義語があります。
- 無い袖は絞れぬ
「無い袖は絞れぬ」は、厳密には慣用句ではありませんが、日常生活では「無い袖は振れない」と同じ意味で使用されています。人によっては誤用と判断されてしまうため、この表現より「無い袖は振れない」を採用する方が無難です。
「無い袖は振れない」の英語訳
無い袖は振れないを英語に訳すと、次のような表現になります。
- A man who wears a sleeveless dress cannot wave his sleeves.
(袖のないドレスを着る者は自分の袖を揺らせない) - A man cannot give what he hasn’t got.
(持っていないものを与えることはできない)
“A man who wears a sleeveless dress cannot wave his sleeves.”は、より「無い袖は振れない」のニュアンスに近い英語表現ですが、「着物のたもとに財布を入れる」という文化は英語圏にはないため、金銭的なイメージはあまり与えません。
それに対し、”A man cannot give what he hasn’t got.”は、袖のイメージはなくなるものの、「ないお金は出せない」というニュアンスがより伝わりやすくなります。
お金を出せないことを伝えるときには、後者の方が使い勝手がよいかもしれません。
まとめ
以上、この記事では「無い袖は振れない」について解説しました。
読み方 | 無い袖は振れない(ないそではふれない) |
---|---|
意味 | 持っていないお金は出しようがないということ |
類義語 | 無い袖は絞れぬなど |
英語訳 | A man who wears a sleeveless dress cannot wave his sleeves.(袖のないドレスを着る者は自分の袖を揺らせない) |
お金の話はデリケートになりがちですが、やんわりと金銭援助や高級品の購入を断りたいときにこの言葉を使えると便利ですね。