マニフェストとは「選挙の際に政党が発表する公約」「物流の運搬・処理を証明するもの」という意味です。
選挙でマニフェストという言葉が登場しても、「どのような意味があるのかわからない」という方が多いのではないでしょうか。
また、マニフェストは選挙用語とは別に、物流での専門用語としても使われています。
そこで、この記事では、マニフェストの意味や使い方、語源などについて詳しく解説します。
☆「マニフェスト」をざっくり言うと……
読み方 | マニフェスト |
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意味 | 選挙の際に政党が発表する公約 物流の運搬・処理を証明するもの |
語源 | 選挙の際に政党が発表する公約 →英語の “manifesto” 物流の運搬・処理を証明するもの →英語の “manifest” |
類義語 | 政権公約 選挙公約 産業廃棄物管理伝票 |
「マニフェスト」の意味
- 選挙の際に政党が発表する公約
- 物流の運搬・処理を証明するもの
マニフェストには2つの意味があります。
ここからは、それぞれの意味について詳しく解説します。
意味①選挙の際に政党が発表する公約
マニフェストの1つ目の意味は、「選挙の際に政党が発表する公約」です。
「公約」とは、政党が人々に対してあることを達成するという約束を指します。
アメリカの独立宣言や、イギリスの共産党宣言も、政治における思想や方針をまとめたものであるため、マニフェストといえます。
マニフェストは、抽象的なものではなく、以下のような具体的な指針をもとに作られます。
- 政策の期限
- 数値目標
- 財源
- 方法
マニフェストには法的拘束がないため、もしも達成されなくても政党が罰を受けることはありません。
しかし、以下のような効果があり、有権者は政党を評価するうえでの明確な材料になります。
- 政策が何をどのように解決しようとしているのかがはっきりわかる
- マニフェストの達成度を数値をもとに判断できる
日本の政治でマニフェストが使われるようになったのは、2003年の衆院選・統一地方選からでした。
前三重県知事の北川正恭(まさやす)氏をはじめとして、多くの地方の候補者や各政党がマニフェストを発表しました。
その結果、マニフェストは2003年の「新語・流行語大賞」では大賞になりました。
ただし、現在は以下のような経緯から、マニフェストは死語になりつつあります。
↓
民主党が自民党に勝利し、民主党政権が誕生
↓
しかし、民主党政権のマニフェストの達成度が3割程度にとどまる
↓
「マニフェストを掲げても、達成できない」というイメージが広がる
↓
マニフェストという言葉そのものの信頼性が低くなる
マニフェストの関連語に、ローカルマニフェストという言葉があります。
マニフェストは政党が発表する公約を広く指します。
一方ローカルマニフェストは、地方選挙の際に発表する公約です。
つまり、地域限定のマニフェストがローカルマニフェストなのです。
意味②物流の運搬・処理を証明するもの
マニフェストの2つ目の意味は、「物流の運搬・処理を証明するもの」です。
この意味でのマニフェストは、船舶の運搬など様々な場面で使いますが、特に産業廃棄物の管理で使われることが多いです。
具体的には、産業廃棄物の処理を委託する場面で、委託者が発行する書類をマニフェストといいます。
マニフェストには、以下のような目的があります。
- 産業廃棄物が実際に処理されたかどうかを確認するため
- 産業廃棄物の処理の流れを記録に残すため
日本の産業におけるマニフェスト制度は、アメリカの制度を参考に1990年から始まりました。
1998年12月には、全ての産業廃棄物に対してマニフェストを使うことが義務化されました。
廃棄物処理法施行規則第8条にて定められています。
マニフェストのやり取りは、以下のような流れで行われます。
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収集業者はマニフェストを受け取り、記入欄に必要事項を記入し、控えを委託してきた業者に渡す
↓
処分業者はマニフェストの指定内容に沿って、産業廃棄物を処分する
↓
処分業者は、収集・運搬業者に処分終了の印をつけたマニフェストのコピーを送付する
「マニフェスト」の使い方
マニフェストの2つの意味に分けて、それぞれの使い方を紹介します。
- 選挙の際に政党が発表する公約
- 物流の運搬・処理を証明するもの
以下、1つずつ見ていきましょう。
使い方①選挙の際に政党が発表する公約
「選挙の際に政党が発表する公約」という意味でのマニフェストは、以下のように使います。
- 私たちの政党は、新しいマニフェストを発表しました。
- 今度大きな選挙があるので、気になる候補者のマニフェストをチェックしてみよう。
- 政府はマニフェストの達成状況について報告した。
使い方②物流の運搬・処理を証明するもの
「物流の運搬・処理を証明するもの」という意味でのマニフェストは、以下のように使います。
- マニフェストの必要事項を記入する。
- 今日は、収集業者にマニフェストを渡す業務がある。
- マニフェスト制度は、産業廃棄物を処分するうえで必要不可欠な仕組みだ。
「マニフェスト」の語源
マニフェストには2つの意味がありますが、それぞれの意味で語源が異なります。
- 選挙の際に政党が発表する公約
→語源は英語の “manifesto” - 物流の運搬・処理を証明するもの
→語源は英語の “manifest”
以下、それぞれの語源について詳しく解説します。
語源①選挙の際に政党が発表する公約
「選挙の際に政党が発表する公約」という意味でのマニフェストは、英語の “manifesto” が語源です。
【名詞】政策に関する宣言書
カタカナ語のマニフェストと同じ意味をもっています。
イギリスでは、19世紀から “manifesto” があります。
総選挙が近づくと、各政党がマニフェストを発行して、書店などで販売するという文化があるのです。
2003年、日本で初めてマニフェストを取り入れた北川正恭氏は、このイギリスの制度を参考にして選挙に臨みました。
語源②物流の運搬・処理を証明するもの
「物流の運搬・処理を証明するもの」という意味でのマニフェストは、英語の “manifest” が語源です。
“manifest” には様々な意味があります。
- 【動詞】明らかにして証明する
- 【動詞】(感情などを)示す
- 【動詞】(兆候などが)現われる
- 【動詞】積み荷目録に記載する
- 【名詞】積み荷目録
「物流の運搬・処理を証明するもの」という意味のマニフェストは、5つ目の産業的な意味が元となっています。
「マニフェスト」の類義語
マニフェストの2つの意味に分けて、それぞれの類義語を紹介します。
- 選挙の際に政党が発表する公約
- 物流の運搬・処理を証明するもの
以下、1つずつ見ていきましょう。
類義語①選挙の際に政党が発表する公約
「選挙の際に政党が発表する公約」という意味でのマニフェストには、以下のような類義語があります。
- 政権公約(せいさくこうやく)
選挙の際に政党が発表する公約 - 選挙公約(せんきょこうやく)
当選後に実施することを約束する内容 - 政治的基本方針(きほんほうしん)
政策の方針をまとめたもの - 政策綱領(せいさくこうりょう)
政策の要点をまとめたもの - 政策宣言(せいさくせんげん)
政策を宣言したもの - 檄文(げきぶん)
自分の意見や主張のこと - 声明文(せいめいぶん)
主張を公に発表するために書かれた文書のこと
類義語②物流の運搬・処理を証明するもの
「物流の運搬・処理を証明するもの」という意味でのマニフェストには、以下のような類義語があります。
- 産業廃棄物管理伝票
物流の運搬・処理を証明するもの
「マニフェスト」のまとめ
以上、この記事ではマニフェストについて解説しました。
読み方 | マニフェスト |
---|---|
意味 | 選挙の際に政党が発表する公約 物流の運搬・処理を証明するもの |
語源 | 選挙の際に政党が発表する公約 →英語の “manifesto” 物流の運搬・処理を証明するもの →英語の “manifest” |
類義語 | 政権公約 選挙公約 産業廃棄物管理伝票 |
マニフェストの2つの意味についてそれぞれ正しく理解したうえで、使いこなせるようになりましょう。