人が大きな罪を犯した時に出てくる言葉である「懲役」「禁固(禁錮)」「拘留」。どれも犯罪者に課される刑罰ですが、皆さまはこの 3つの刑罰の違いをご存知でしょうか。
今回は、「懲役(ちょうえき)」「禁固(きんこ)」「拘留(こうりゅう)」の違いを解説いたします。
このページの目次
結論:拘留→禁固→懲役の順で刑が重くなり、「懲役」は労働を強いられる。
一方、「禁固」と「拘留」は 労働を義務とせず、一定の期間、受刑者を刑事施設に拘置する刑罰です。「禁固」は1ヵ月以上、「拘留」は1ヵ月未満となっています。
「懲役」をもっと詳しく
「懲役」とは、受刑者を刑事施設に収監し、所定の労働を行わせる刑罰のことです。労働とは、具体的に以下のようなものがあります。
- 木材や金属製品の加工
- 衣類等の製作
- 炊事
- 洗濯
- 清掃
これらの労働には、受刑者の更生を図る目的があります。労働に従事した者には、1人 1ヵ月あたり平均して 4,700円が支払われているようです。また、懲役には無期のものと有期のものがあります。
無期の場合、生涯にわたって刑事施設での労働を強いられます。既述したように、3つの刑罰の中で 1番重いものが「懲役」ですが、さらに具体的に言うと無期懲役ということになります。
有期の場合、その期間は 1ヵ月~20年とされています。ただ、刑が加重された場合には最長 30年となり、減軽された場合には 1ヵ月未満となることがあります。
「禁固」をもっと詳しく
「禁固」とは、受刑者を刑務所に 1ヵ月以上の期間収監する刑罰のことです。「懲役」と違い、刑事施設での労働は強制されません。
ただ、不自由な生活を長きにわたって強いられる苦しさから、労働を自ら願い出る受刑者は多いようです。このようにして行う労働は「請願作業(せいがんさぎょう)」と呼ばれます。
また、「禁固」にも懲役と同じく無期のものと有期のものがあります。有期の場合は、これもまた懲役と同じく 1ヵ月~20年であり、刑が加重された場合は最長 30年、減軽された場合は 1ヵ月未満となることがあります。
「拘留」をもっと詳しく
「拘留」とは、禁固と同じく受刑者を刑務所に収監する刑罰のことですが、期間は 1ヵ月未満となります。「拘留」には有期のものしかありません。また、懲役や禁固と違い、「拘留」には執行猶予がなく、必ず実刑となります。
執行猶予とは
執行猶予とは、刑を下された者が、一定の期間中に微塵も刑事事件を起こさなければ、下された刑が効力を失うというものです。懲役刑と禁固刑に付与されうる措置です。
例えば、「懲役 2年、執行猶予 3年」の場合、3年の間に刑事事件を起こさなければ懲役刑が取り消されるということになります。
補足:「拘留」と間違えやすい言葉
拘留と似た言葉に「勾留(こうりゅう)」がありますが、両者は全くの別物です。勾留は刑罰ではありません。勾留は、逮捕した被疑者や被告人を刑事施設に拘束し、証拠隠滅や逃亡を防ぐことです。
まとめ
以上、この記事では、「懲役」「禁固」「拘留」の違いについて解説しました。
- 懲役:受刑者を刑事施設に拘置して労働を強いる。無期と有期あり。
- 禁固:受刑者を刑事施設に 1ヵ月以上拘置する。労働は強いず、無期と有期あり。
- 拘留:受刑者を刑事施設に 1ヵ月未満拘置する。労働は強いず、無期と有期あり。