「蛾」と「蝶」の8つの違いとは?羽が違う?幼虫時の見分け方はある?

違いのギモン

「蛾」や「蝶」は日本でも身近に見ることができる虫ですよね。そして、区別方法を聞いたことのある人も多いと思います。例えば、とまり方だとか、派手さだとか……。しかし、「蛾」と「蝶」の区別には意外な事実があったんです。

そこで、今回はそんな「蝶」と「蛾」の8つの違いについて解説していきたいと思います。

序論:蛾と蝶の区別方法

蝶と蛾にはいろんな区別方法がありますが、実は蝶と蛾を完璧に見分ける区別方法は存在しません。全ての見分け方に例外が存在するのです。

そのため、生物学上ではこの2つの虫は区別されてませんし、フランス語やドイツ語など、蛾と蝶を区別して表す表現がない言語も多くあります。

しかし、日本に生息している蛾と蝶は以下で解説する違いでだいたい区別することができます。ちなみに、日本に生息する蝶は240種ほどで、蛾は5500種類ほどです。

ただ、海外に生息する蛾や蝶を区別する時には、これから解説する違いはあまりアテにならなくなってしまうので注意が必要です。

☆「蛾」「蝶」の違いをざっくり言うと……

 蛾 蝶
飛ぶ時間 夜 昼
とまり方 羽を広げる 羽を閉じる
派手さ 地味 派手
触覚の形 先がとがっている・くし形 マッチ棒形
胴体 太い 細い
鱗粉 はげやすい はげにくい
 2枚の羽のつながり方 くっついている 離れている
 繭(まゆ) 作る 作らない

【1】飛ぶ時間の違い

蝶は昼に飛び、蛾は夜に飛ぶという違いは有名だと思います。確かに、多くの蝶が昼に飛び、多くの蛾は夜に飛びます

しかし、一部の蝶は朝や薄暗い夕方の時間帯を好んで飛びます。例えば、ワモンチョウは朝や夕方にしか飛びません。そして、中には夜に飛ぶ蝶も存在します。

一方、蛾の仲間には昼に活動するものも多くいます。

そのため、この違いはあまり確実とは言えません。

【2】とまり方の違い

蛾は羽を広げてとまるが、蝶は羽を閉じて止まる。この違いは多くの人が知っている有名なものだと思います。しかし、この違いにも例外はあります。

例えば、タテハチョウの仲間の多くは羽を広げてとまります。

↑タテハチョウ[出典:https://musianimal.exblog.jp/14028687/]

また、普段は羽を閉じてとまる蝶でも、太陽に当たって体温をあげたい場合には羽を広げてとまります。

そして、イカリモンガなどは羽を閉じてとまる蛾です。

↑イカリモンガ[出典:https://www.goo.ne.jp/green/life/unno/diary/199910/940420734.html]

【3】派手さの違い

蝶は派手だが、蛾は地味、というイメージもあると思います。

確かに、多くの蝶は異性に見つけてもらい、交尾をしやすくするために派手な色をしている種類が多いです。そして、蛾は茶色などのあまり目立たない色をしていることが多いでしょう。特に夜行性の蛾は目立たない色をしています。これは天敵に見つからないようにするためです。

しかし、これにも例外があります。昼に行動する蛾には蝶と同じくらい派手な種類もいるのです。例えば、ツバメガなどです。

↑ツバメガ[出典:https://www.goo.ne.jp/green/life/unno/diary/199910/940420734.html]

また、地味な蝶はたくさんいるので、この違いもあまり使えないでしょう。

【4】触覚の形の違い

蝶の触覚は先がマッチ棒のような形をしているものが多いです。そして、蛾の触覚のほとんどは先がとがった形をしていて、くし状になっている場合もあります。

↑蝶の触覚[出典:http://sizen-tenpaku.com/cyou/tyoutoga/tyoga.html]

↑蛾の触覚[出典:http://sizen-tenpaku.com/cyou/tyoutoga/tyoga.html]

この方法で、日本に生息するほとんどの蛾・蝶を見分けることができます。

しかし、少しだけ例外もあり、それはセセリチョウの仲間です。しかし、セセリチョウを蝶に分類するかどうかは学者の間でも意見が割れていて、セセリチョウは蝶ではないと言っている学者もいます。

また、熱帯地区に多く存在するカストニアという蛾は蝶と同じ触覚の形をしています。

ちなみに、くし状の触覚をしている蛾はほとんどがオスです。なぜなら、くし状の触覚を持っているオスは空気中に漂っているメスのフェロモンを探しながら夜に飛ぶからです。つまり、くし状の触覚は、フェロモンを感知しやすいような構造になっているのです。

【5】胴体の太さの違い

蛾は胴体が太く、蝶は胴体が細くてスリムだという違いもあります。

ただ、胴体が太い蝶も存在します。例えば、セセリチョウの仲間などです。

【6】鱗粉のはげやすさの違い

蛾は蝶に比べて鱗粉がはげやすいという特徴があります。

そして、これは確かに多くの種がそうなのですが、これで区別することはできません。試しに鱗粉をはがしてみるわけにもいきませんよね。

ちなみに、蛾は蝶に比べて毛が多く生えているものが多く、これが鱗粉がはげやすい理由の1つになっているようです。

【7】2つの羽のつながり方の違い

蝶も蛾も、一見1枚の羽で飛んでいるように見えますが、実は2枚の羽を使って飛んでいます。2枚の羽をくっつけて飛んでいるため、1枚で飛んでいるように見えるのです。明確に2枚の羽で飛んでいるトンボなどとは対照的です。

そして、蝶は後ろの羽が前にはりだしています。詳しくは以下の写真をご覧ください。前の羽と後ろの羽が離れているのがわかるでしょうか。

↑蝶の羽の接続[出典:http://www.pteron-world.com/topics/classfication/difference.html]

一方、多くの蛾は「翅棘(しきょく)」と呼ばれる棘が後ろの羽から伸びていて前の羽に引っかかっているため、羽同士はくっついているように見えます。

ただ、この構造を持たない蛾もいます。例えば、ヤママユガなどです。そして、この違いで見分ける時には細かい観察が必要ですので、あまり区別方法としては実用的じゃないでしょう。

【8】繭(まゆ)を作るかどうかの違い

多くの蛾は繭を作りますが、多くの蝶は繭を作りません。しかし、ウスバアゲハの仲間は簡単な繭を作ります。

まとめ

以上、この記事では、「蛾」と「蝶」の8つの違いについて解説しました。

 蛾 蝶
飛ぶ時間 夜 昼
とまり方 羽を広げる 羽を閉じる
派手さ 地味 派手
触覚の形 先がとがっている・くし形 マッチ棒形
胴体 太い 細い
鱗粉 はげやすい はげにくい
 2枚の羽のつながり方 くっついている 離れている
 繭(まゆ) 作る 作らない

これらの違いを組み合わせれば、ほぼ判別できるでしょう。しかし、これらの違いは日本にいる蛾・蝶の場合なので注意しましょう。

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和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。