今回ご紹介する言葉はカタカナ語の「クレーム」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・対義語について分かりやすく解説します。
☆「クレーム」をざっくり言うと……
読み方 | クレーム(claim) |
---|---|
意味 | 問題点を指摘したり、苦情を述べたり、異議を唱えたりする行為 |
語源 | ラテン語の clamor |
類義語 | 不満、不服など |
対義語 | 賛辞、謝辞など |
「クレーム」の意味をスッキリ理解!
「クレーム」の意味を詳しく
クレームとは、商品や個人に対する意見や不満を抗議する行為を意味します。特に、生産者と消費者のように物品を提供する側とされる側に分かれる者の間で多用される言葉です。例えば、顧客が企業などに対して商品やサービスの不満を伝えることです。
さらに発展して、損害賠償の請求をする行為を「クレーム」と表す場合もあります。また、特許の請求範囲をクレームと表します。特許を出願する際に提出する書類の中に、「クレーム」と言う事項があり、そこに記載した事柄の特許権を主張することができるのです。
そして、クレームをつける人をクレーマーと呼びます。特に、しつこくクレームを言う人をクレーマーと表すことが多いです。
またクレームとクレーマーには、否定的な意味合いが含まれます。企業に対しての不満の伝え方が横暴であったり理不尽である場合、クレームと表現することが多いです。相手の心象を害することもあるので、使い方には気をつけましょう。
それでは、クレームがどのように処理されるのか、商品販売を行う会社を例に挙げて説明します。まず、多くの会社にはクレーム対応を行う係や部署が存在し、そこにすべてのクレームが集められます。
クレームはハガキや電話、メールなどさまざまな媒体を介して会社に送られてきます。商品に不具合がある場合は、その欠陥品が送られてくる場合もあります。各クレーマーの主張を聞き、不満を解消できるように、真摯に対応するのがクレーム対応を行う者の役割です。
なぜクレームは生まれるのか
顧客が求める満足度
経済が発展する中で、企業はさまざまな戦略をもとに生き残ろうとしています。そこで重要なのが、どれだけ顧客のニーズに合わせ、顧客を満足させられるかです。さまざまな企業が顧客のニーズを追求していき、それと同時に顧客の期待値は上がったと言われています。
顧客の期待値が上がり、企業も顧客のニーズを追求することで、より良いサービスが提供されるようになったのです。しかし、高い基準のなかでミスやあらが目立つようになってしまい、クレームが生まれます。
ストレス
現代社会において、ストレスを抱える者は急増したと言われています。学生や社会人を問わず、さまざまな人がストレスに悩まされています。そのストレスのはけ口として、クレームをつける人がいます。
例えば、クレーム対応者が真摯に相手の主張に耳を傾けてくれることを利用して、理不尽な文句を言ったり、相手をののしったりします。これらは良識に欠ける行為なので、慎みましょう。
情報社会
インターネットの普及によって、誰もが自身の言葉を発信できる世の中になりました。それは良いことでもありますが、匿名性という問題があります。例えば、掲示板や SNS で何かを発信するとき、自身の個人情報を伏せて発信することができます。
言い換えると、匿名で誰かの文句を言ったり、悪口を言ったりできてしまうのです。この匿名性によって、クレームをつける行為が助長しているのです。
「クレーム」の使い方
- 昨日購入した商品が不良品だったので、電話でクレームを言った。
- しつこくクレームをつける客にはなりたくないと思う。
- 製品の欠陥に関する、クレームの処理が追いつかない。
②のように、「〜をつける」と用います。「クレームを言う」と同じ意味を持ちますが、さらにネガティブな意味合いを持ちます。
「クレーム」の語源
クレームの語源はラテン語の clamor です。clamor は叫ぶという意味を持ちます。
そして、クレームはもともと英語圏で使われていた言葉で、日本でも使われるようになった言葉です。しかし、英語圏での意味合いは少し異なります。それではその違いを解説します。解説するにあたって、英語圏での意味では「claim」日本で用いられている意味では「クレーム」と表記します。
claim は英語圏で、「権利を主張する」「断言する」などという意味を持ちます。不満や抗議をするなどのネガティブな意味は含みません。そして、「complain」という言葉がクレームと同じ意味を持つのです。
- The women claimed her right to immigrate.
(女性は入国する権利を主張した。) - I claimed that the car ran through a red light.
(私は、その車が赤信号を突っ走ったことを断言した。) - He complained that he never got a response from the customer service.
(彼は、サービスカウンターから返答がないことに文句を言った。) - All of the complaints were made to that waiter.
(すべての苦情はあのウェイターに対して発せられた。)
①と②のいずれも、「自身の意見や権利を通す」という意味で用いられています。
③と④の例文から、complain は「不満を持っている」という意味合いが含まれていることがわかります。
「クレーム」の類義語
「クレーム」には以下の類義語があります。
- 不服:処置や判断に対して納得がいかない気持ちのこと
- 小言:ブツブツと細かいことに関して文句を言うこと
- 不満:現状に納得がいかず、物足りない気持ちのこと
- 文句:物事に対して納得のいかないことを抗議すること
「クレーム」の対義語
「クレーム」には以下の対義語があります。
- 賛辞:褒め称える言葉
- 謝辞:感謝の思いを表す言葉
- 感謝:ありがたいという感情を表すこと
まとめ
以上、この記事では「クレーム」について解説しました。
読み方 | クレーム(claim) |
---|---|
意味 | 問題点を指摘したり、苦情を述べたり、異議を唱えたりする行為 |
語源 | ラテン語の clamor |
類義語 | 不満、不服など |
対義語 | 賛辞、謝辞など |
サービスを提供する立場にいると、「クレーム」を言われることもあるでしょう。そしてそれらの「クレーム」に傷つくこともあるかもしれません。誰かに不満を伝えたいときは、言う相手に対しても配慮して、言葉を選べるといいですね。