今回ご紹介する言葉は熟語の「事象(じしょう)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「事象」をざっくり言うと……
読み方 | 事象(じしょう) |
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意味 | ある条件や環境のもと現れた物事。 |
類義語 | イベント、出来事、現象など |
英語訳 | phenomenon(経験したこと。現象。) |
「事象」の意味をスッキリ理解!
「事象」の意味を詳しく
「事象」とは、「何らかの条件や環境などによって引き起こされた物事のこと」を表します。「事象」の意味は幅広く、日常生活で使う言葉から専門用語まで、ありとあらゆる場面で用いられます。
「何らかの条件」とは、実験や観測などのことです。あらかじめ用意された環境があり、それによって引き起こされる結果が「事象」に当たります。
たとえば、サイコロを投げると 1から6 のいずれかの数字が必ず出ます。サイコロを投げるという条件があり、いずれかの数字が出るということが「事象」なのです。
このように、「事象」には根拠となる環境が必要です。発生する理由が定かになってる物事が「事象」です。
「事象」は、ある条件の下で発生した物事すべてを示す言葉であるため、「事象」と言える範囲はかなり広くなります。自然界で起きたことでも、実験によって起きたことでも、または現実に起きたことでなくても、発生する条件があれば、その物事はすべて「事象」です。
また、物事の発生を実際に見た人物によって証明された、客観的事実が「事象」に当てはまります。
このように、「事象」には発生する条件が深く関わることから、さまざまな専門的用語としても使われます。中でも、数学の専門用語としては多く使われることがあります。
数学の専門用語における「事象」は、「試行や実験をして、その結果現れた出来事」という意味です。これは、「事象」の意味を数学の場に置き換えて作られた意味です。専門的な意味においても、「事象」は「ある条件の下で生じる何か」を指しているという点は変わりません。
「事象」の使い方
- 何度も実験を行い、明らかとなった事象は、信憑性(しんぴょうせい)が高い。
- 事象にばかりとらわれていると、新たな発見を見逃すかもしれない。
- 長年の観測の結果、この事象は事実であったと証明された。
- 過去に発見された事象を参考にして、研究を進める。
すでに解説したように、「事象」には専門用語としての意味も含まれるので、数学などの専門分野で使われることが多いです。
しかし、日常生活の中でも、自然環境によって引き起こされたことや、手順を踏んで発生した出来事を述べる時に「事象」を使うことがあります。
また、「事象」は「発生した物事」のことです。そのため、文章や会話に用いる時は、名詞として扱いましょう。
「事象」の類義語
事象には以下のような類義語があります。
- イベント:行われた出来事。催し物。
- 出来事(できごと):起こった物事。
- 現象(げんしょう):あるものの本質や本体が現れたさま。
- 事柄(ことがら):物事の様子や内容。
どれも「起こった物事」という意味を持ちます。しかし、それぞれ少しだけニュアンスが異なっています。
「イベント」は、実験や環境によって引き起こされた物事というよりも、人によって計画された物事や催し物という意味を持ちます。
「出来事」は、「事象」よりも物事が発生する環境が限定されます。「事象」は、自分以外の誰かによって発見された物事も含みます。一方で「出来事」は、基本的に自分が実際に目にした物事に対して使われます。
「事象」と最も似ている「現象」も、少しだけ意味が異なります。
「現象」も発生した物事を示しますが、物事が起きるための条件や証拠は重視されません。理由や条件がはっきりとわからないけれど、発生したと人間が知覚できる物事が「現象」にあたります。
「現象」の具体的な例として、「心霊現象」が挙げられます。このように、突然前触れもなく起こる自然界の出来事などは「現象」に当たります。
「事象」の英語訳
事象を英語に訳すと、次のような表現になります。
- phenomenon
(経験したこと。現象。) - event
(出来事。催し物。)
直接「事象」に当てはまる英語訳はありません。
しかし、すでにご紹介した類義語の英語訳や、起きた物事という意味が含まれる英語訳であれば、「事象」の英語訳として問題ありません。
まとめ
以上、この記事では「事象」について解説しました。
読み方 | 事象(じしょう) |
---|---|
意味 | ある条件や環境のもと現れた物事。 |
類義語 | イベント、出来事、現象など |
英語訳 | phenomenon(経験したこと。現象。) |
「事象」を用いるためには、物事が発生する条件や環境が必要になります。そのため、突発的に理由もなく起きたことに「事象」を使うのは間違いになります。その場合は「現象」を使うのが適切です。
このように、「事象」と「現象」の使い分けは厳密に言うと難しい部分があります。日常生活において、より用いられやすいのは「現象」ですが、数学などの論文や参考書により多く用いられるのは「事象」です。
「事象」と「現象」など、場面によって使い分けが必要な言葉には、知識を持って正しく使いこなしましょう。