今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「一陽来復(いちようらいふく)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「一陽来復」をざっくり言うと……
読み方 | 一陽来復(いちようらいふく) |
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意味 | ①陰暦 11月のこと、また冬至のこと。②冬が過ぎ去って春が訪れること③苦しい時期過ぎて運が向いてくること |
由来 | 「易経」 |
類義語 | 苦参甘楽 |
英語訳 | the arrival of spring after winter(冬が終わり春が訪れる)など |
「一陽来復」の意味をスッキリ理解!
「一陽来復」の意味を詳しく
一陽来復には、3つの意味があります。
1つ目は「(月の満ち欠けに基づいた暦である)陰暦11月」や「冬至」という意味です。この意味は「一陽来復」の元来の意味です。
次に、2つ目は「冬が終わり春が来ること」や「新年が来ること」という意味です。「冬至」の時期から、徐々に日がのびて春へと向かうことが由来です。
そして、3つ目は「悪いことが続いた後で幸運に向かうこと」という意味です。この意味は、「陰の気がきわまって陽の気にかえる」、つまり悪いことが去ってよいことが訪れ始めるという考えから来ています。
「一陽来復」は縁起を担いで、「一陽来福」とすることもあります。しかし、「一陽来福」は本来の表現とは異なるとして、誤用とみなされる場合もあります。
また、「一陽来復」の「一陽」とは、「春の初めの気配のこと」を意味します。「復」は、「陰暦11月」や「冬至」のことを指します。
「一陽来復」の使い方
- 神社で、冬至から数日間配られる一陽来復のお守りをもらう。
- 桜のつぼみがふくらみ、一陽来復の春がきたようだ。
- しばらくの間、何をやってもうまくいかなかった。一陽来復を願う。
「一陽来復」の由来
「一陽来復」の由来は、『易経(えききょう)』にあります。『易経』とは中国、周の時代(紀元前1046年頃 – 紀元前256年)における占いの理論と方法を説明する本のことです。
また、『易経』は、『五経(ごきょう)』という、儒学で重要視される 5つの書物のうちの 一つでもあります。儒学とは、礼を重んじる学問のことであり、孔子という人物が確立させました。
「一陽来復」は『易経』の「地雷復(ちらいふく)」という項目に記載されています。「地雷復」とは、「冬至」という意味です。
「一陽来復」についての記述は、次の通りです。
(また、旧暦5月、夏至(げし)に陰がはじめて生じてから、)
此(ここ)に至りて、七爻(しちこう)にして、一陽來復す。
(現在(冬至)になり、7ヶ月経って、陽が戻ってきた。)
ここから、一陽来復は「陰暦10月は陰ばかりのところに、11月には陽が戻って来た」ことを意味するようになりました。
陰と陽とは、『易経』で説明されている占いの根底にある考え方です。「宇宙の万物を作り、支配する 2つの相反する性質を持つ気」のことを指しています。
積極的なものを陽、消極的なものを陰としています。たとえば、日・男・春・奇数などは陽です。一方で、月・女・冬・偶数などは陰です。
陰ばかりの中に陽が戻ってくるのは、陰暦の11月が伝統的に「冬至」を含む月だったためです。冬至を境に季節は、少しずつ春に向かっていきます。先に述べたように冬は陰です。
冬至は、1年で最も陽が短く、冬至以上に陰が極まることははないと考えられています。そのため、そこをターニングポイントとして再び陽が戻ってくるとされたのです。
以上のことが由来となって、一陽来復には、「陰暦 11月のこと,また冬至のこと」や「冬が過ぎ去って春が訪れること」という意味が生まれました。転じて、「苦しい時期が過ぎて運が向いてくること」という意味でも用いられるようになりました。
「一陽来復」の類義語
一陽来復には以下のような類義語があります。
- 苦参甘楽(くじんかんらく):苦しい時が過ぎ楽になること
「一陽来復」の英語訳
一陽来復を英語に訳すと、次のような表現になります。
- the arrival of spring after winter
(冬が終わり春が訪れる) - turning from the negative to the positive
(不調が終わり良い方向へと移り変わる) - The darkest hour is just before the dawn.
(夜明け前が一番暗い)
まとめ
以上、この記事では「一陽来復」について解説しました。
読み方 | 一陽来復(いちようらいふく) |
---|---|
意味 | ①陰暦 11月のこと、また冬至のこと。②冬が過ぎ去って春が訪れること③苦しい時期過ぎて運が向いてくること |
由来 | 「易経」 |
類義語 | 苦参甘楽 |
英語訳 | the arrival of spring after winter(冬が終わり春が訪れる)など |
「一陽来復」は複数の意味を持っていますが、もとは冬至から徐々に春へ向かってくことを指しています。由来からきちんと理解し、活用しましょう。