今回ご紹介する言葉は、ことわざの「親の心子知らず(おやのこころこしらず)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳について分かりやすく解説します。
☆「親の心子知らず」をざっくり言うと……
読み方 | 親の心子知らず(おやのこころこしらず) |
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意味 | 親が子を思う気持ちは通じにくく、子は勝手な振る舞いをするものだということ。 |
由来 | 『義経記』 |
類義語 | 親の思うほど子は思わぬなど |
対義語 | 子の心親知らず |
英語訳 | There is no love like a father’s.(父親からの愛に勝る愛などない)など |
このページの目次
「親の心子知らず」の意味をスッキリ理解!
「親の心子知らず」の意味を詳しく
「親の心子知らず」は、「親が子を思う気持ちは通じにくく、子は勝手な振る舞いをするものだということ」を意味することわざです。また、「自分が親になってはじめて、親の気持ちを理解することになる」という文脈で使われることもあります。
このことわざが使われるのは、親子関係のみに限定されません。親子と同じように親しい間柄で、かつ、上下関係が存在する人同士にも使います。例えば、上司と部下や、先生と生徒の関係などです。
「親の心子知らず」の使い方
- 親の心子知らずだと分かってはいても、反抗期の息子の態度にはつい苛立ってしまう。
- 娘が年頃になってはじめて、どれだけ自分が親の心子知らずだったか思い知らされた。
- 担任がどれだけ生徒のことを大切にしているか気づいていないなんて、とんだ親の心子知らずだ。
❶と❷の例文においては、親子関係において「親の心子知らず」が用いられています。❷の例文では、「親の心子知らず」が「親になってはじめて、親の気持ちを理解することになる」という文脈で用いられています。
❸は、親子ではない関係において「親の心子知らず」が使われる例です。この場合は、先生と生徒の関係を指して使われていますね。
「親の心子知らず」の由来
「親の心子知らず」は、室町時代初期から中期にかけて書かれたと考えられている『義経記(ぎけいき)』に登場します。『義経記』は、源義経(みなもとのよしつね)とその周囲の人々を中心とした物語です。
この物語の中に、義経の従者として有名な弁慶(べんけい)の言葉として「あはれや殿、おやのこころを子しらずとて、人の心は知り難し」というものがあります。これを現代語に訳すと、「親の心子知らずと申して、人の心は知り難いものです」という意味になります。
「親の心子知らず」の類義語
親の心子知らずには以下のような類義語があります。
- 親の思うほど子は思わぬ:親は常に子のことを気にかけているが、子のほうはそうでもないということ。
- 子を持って知る親の恩:子供を持ってはじめて、親から受けた恩に気がつくということ。
- 親思う心に勝る親心:子が親を思う気持ちよりも、親が子を思う気持ちの方が大きいということ。
「親思う心に勝る親心」は、吉田松陰(よしだしょういん)の歌を由来とすることわざです。吉田松陰とは、「松下村塾(しょうかそんじゅく)」を開いたことなどで知られる、長州藩出身の武士です。
「親の心子知らず」の対義語
親の心子知らずには以下のような対義語があります。
- 子の心親知らず:親が思っている以上に、子は成長し、いろいろと考えているものだということ。
「子の心親知らず」は、「親の心子知らず」と並んで使われることも多いことわざです。古典においても、江戸時代の随筆である『可笑記(かしょうき)』で並んで使われています。
「親の心子知らず」の英語訳
親の心子知らずを英語に訳すと、次のような表現になります。
- There is no love like a father’s.
(父親からの愛に勝る愛などない) - Children do not know how indebted they are to their parents.
(子どもたちとは、親にどれだけ恩があるかということを知らないものだ) - No child knows how dear he is to his parents.
(両親にとって、自分がどれだけ大切な存在か理解している子供はいない)
まとめ
以上、この記事では「親の心子知らず」について解説しました。
読み方 | 親の心子知らず(おやのこころこしらず) |
---|---|
意味 | 親が子を思う気持ちは通じにくく、子は勝手な振る舞いをするものだということ。 |
由来 | 『義経記』 |
類義語 | 親の思うほど子は思わぬなど |
対義語 | 子の心親知らず |
英語訳 | There is no love like a father’s.(父親からの愛に勝る愛などない)など |
「親の心子知らず」は、日常生活でもよく使われることわざです。しかし、その類義語や由来を知っている人は多くありません。きちんと理解して、周りに差をつけましょう。