今回ご紹介する言葉は、熟語の「予断(よだん)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「予断」をざっくり言うと……
読み方 | 予断(よだん) |
---|---|
意味 | 事前に成り行きを判断すること |
類義語 | 予想、予測、憶断 |
英語訳 | prediction(予言、予測), prejudge(予測する、予断する) |
「予断」の意味をスッキリ理解!
「予断」の意味を詳しく
「予断」とは、前もって物事の成り行きを判断することを指します。「予」は「予(あらかじ)め」と訓読でき、「前もって、事前に」という意味を持っています。一方、「断」には「決定を下す」という意味があります。
「予断」は、「予断を許さない」という形で使われることが多いです。「予断を許さない」とは、前もって判断することが出来ない、つまり先行きが予測不能であることを表します。
「予断を許さない」という言葉自体には、肯定的な意味も否定的な意味もありません。どうなるかがわからないことを中立的に表現する言葉です。
混同されがち!「予断」と「油断」の違い
「予断を許さない」は、「油断が出来ない」という意味だととらえられることがありますが、これは間違いです。
字面や発音が似ていることから、「予断」と「油断」は混同されがちです。しかし、両者の意味は異なります。「予断」が成り行きを予測することを指すのに対して、「油断」は気を抜くことを表す言葉です。
つまり、「油断が出来ない」とは、気を抜くことが出来ないという意味になります。現状において、気を緩めないように促す言葉だと言えます。先行きが予測出来ないことを指しているわけではないのです。
「予断」の使い方
- わが社の経営は順調だが、不況の波がいつ来るかわからない。予断を許さない状況だ。
- 予断を持つことは、早とちりしてしまう可能性をはらんでいる。
- 今後状況はどう変わるかはわからない。予断を与えるような発言を周囲にしてはならない。
①の「予断を許さない」は、経営が今後も上向き続けるかどうかはわからないという意味合いで用いられています。②の「予断を持つ」とは、前もって成り行きを判断した上で行動することを指します。予断を持って行動することは、時に安易な結論を出すことにつながる可能性があります。
③の「予断を与える」とは、結果を予測しうるような判断材料を相手に与えることを指します。本来は状況に応じて臨機応変な判断を下すべきであるにもかかわらず、事前に結果を予測させてしまうことを否定的にとらえた言葉です。
「予断」の類義語
予断には以下のような類義語があります。
- 予想:結果について事前に見当をつけること
- 予測:結果を前もって推測すること
- 憶断(おくだん):根拠もなしに、推測のみで判断を下すこと
「予想」と「予測」は、あくまで将来起こりうることを推測しているにすぎません。一方、「予断」の場合は、将来に何が起こるかについて何らかの判断を下していることを指します。
「憶断」と「予断」については、前もって成り行きを判断している点は同じです。ただ、「憶断」の場合は、確実な根拠にもとづいていない判断であることが暗に示されています。
「予断」の英語訳
予断を英語に訳すと、次のような表現になります。
- prediction
(予言、予測) - prejudgment
(予測、予断) - predict
(予測する) - prejudge
(予測する、予断する)
それぞれを用いた例文は以下の通りです。
- We cannot make any predictions as to the success of the project.
(その計画が成功するかどうかについては、予断を許さない状況だ) - Be sure not to have the prejudgment that it is easy to go.
(その仕事が上手くいくという予断を持たないようにしてください) - There is no predicting what will happen next.
(次に何が起こるかはわからない) - I think you should not prejudge that he is a bad lot.
(彼が悪い人だと決めつけるべきではないと思う)
まとめ
以上、この記事では「予断」について解説しました。
読み方 | 予断(よだん) |
---|---|
意味 | 事前に成り行きを判断すること |
類義語 | 予想、予測、憶断 |
英語訳 | prediction(予言、予測), prejudge(予測する、予断する) |
現実の世界では、「予断」を許さない状況がたくさんあります。それだけ「予断」という言葉を使う場面は多いということです。ぜひ、意味を覚えてみてください。