今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「阿諛追従(あゆついしょう)」です。
言葉の意味、使い方、由来、類義語、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「阿諛追従」をざっくり言うと……
読み方 | 阿諛追従(あゆついしょう) |
---|---|
意味 | 相手に気に入られようとして、こびへつらうこと |
由来 | 中国の古書『漢書』から |
類義語 | 阿諛迎合、阿諛便佞、阿諛曲従、阿附迎合 |
対義語 | 直言極諫 |
英語訳 | ingratiation(卑屈な態度で人に取り入る) |
このページの目次
「阿諛追従」の意味をスッキリ理解!
「阿諛追従」の意味を詳しく
「阿諛追従」は、「相手に気に入られようとして、こびへつらうこと」という意味です。
「こびへつらう」とは、「人の気に入るように振る舞う」「お世辞を言うなどして、相手の機嫌をとる」という意味です。
それぞれの漢字の意味を見てみましょう。
「阿」は「相手の機嫌を取って気に入るようにすること」という意味です。「諛」は「へつらうような態度」のことを指します。
また、「追従(ついしょう)」は「逆らわず言うとおりに従うこと」という意味です。ただし、「ついじゅう」と読むと、「人の後についていくこと」という少しニュアンスの違う意味になってしまいます。気を付けましょう。
「阿諛追従」の使い方
- メダルを取った途端に、選手に阿諛追従するメディアは滑稽(こっけい)だ。
- 上司に阿諛追従することなく、意見を言ってほしい。
- 君は阿諛追従せずに、もっと自分の意見を持つべきだ。
- 改革を夢見て入社したのに、阿諛追従な人ばかりで、正直がっかりだ。
基本的には、➊➋➌のように、「阿諛追従する」という形で使いましょう。ただし、➍のように「阿諛追従な〇〇」などのように形容動詞として使われることもあります。
「阿諛追従」の由来
「阿諛追従」の由来は、中国の古書にあります。『漢書(かんじょ)』の中の「匡衡伝(きょうこうでん)」というエピソードの中で「阿諛曲従(あゆきょくじゅう)」という言葉が使われました。
「阿諛曲従」は、「自分の意思を曲げてまで、相手に気に入られようとすること」という意味です。
これがもとになって「阿諛追従」という四字熟語が生まれました。
エピソードは以下のようなものです。
中国の前漢という時代に、匡衡という人物がいました。彼は学者であり、政治家としても活動しました。勉学を好み、とてもまじめな人柄でした。
前漢の10代目の皇帝である元帝が即位したとき、匡衡は、丞相(じょうしょう)という高い役職を任せられます。元帝が皇帝である間、匡衡は権力者であった石顕(せきけん)という人物を非常に恐れていました。しかし、次の皇帝が即位するタイミングで匡衡は石顕の過去の罪を糾弾(きゅうだん)しました。
ところが、新しい皇帝は、匡衡の行動を「阿諛曲従である」と批判しました。
匡衡に対して、「大臣であるにもかかわらず、元帝の時代に石顕の罪を糾弾しなかったのは、権力者に媚を売っていることだ」と言ったのです。
「阿諛追従」の類義語
「阿諛追従」には以下のような類義語があります。
- 阿諛曲従
- 阿諛迎合(あゆげいごう):相手に気に入られるために、調子を合わせて機嫌を取ること
- 阿諛便佞(あゆべんねい):相手の気に入るように口先だけのうまいことを言って、調子を合わせること
- 阿附迎合(あふげいごう):相手の機嫌をとり、気に入られようとしてへつらうこと
「阿諛迎合」の「迎合」には、「相槌(あいづち)を打つこと」という意味があります。
「阿諛便佞」の「便佞」は、「口先ではうまいことを言っているが、誠意が全くないこと。または、そのような人のこと」という意味です。
「阿附迎合」の「阿附」は「人の機嫌を取り、従うこと」という意味があります。「附」は「付」と表記することもありますが、意味は変わりません。
阿諛追従と4つの類義語は、漢字の構成が似ているため、紛らわしいです。混同しないように気をつけましょう。
「阿諛追従」の対義語
「阿諛追従」には以下のような対義語があります。
- 直言極諫(ちょくげんきょっかん):自身が正しいと思うことは、相手にはっきりと言って諫めること
「直言」は「遠慮をせずに、思ったことをはっきりと言う」という意味です。また、「極諫」は「厳しく諫める」という意味があります。「諫める」とは、「主に目上の人に対して、その過ちや悪い点を指摘し、改めるように忠告すること」を表します。
「阿諛追従」の英語訳
「阿諛追従」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- ingratiation
(卑屈な態度で人に取り入る) - flatter
(媚びを売る) - butter up
(媚びを売る)
まとめ
以上、この記事では「阿諛追従」について解説しました。
読み方 | 阿諛追従(あゆついしょう) |
---|---|
意味 | 相手に気に入られようとして、こびへつらうこと |
由来 | 中国の古書『漢書』から |
類義語 | 阿諛迎合、阿諛便佞、阿諛曲従、阿附迎合 |
対義語 | 直言極諫 |
英語訳 | ingratiation(卑屈な態度で人に取り入る) |
「阿諛追従」には難解な漢字が使われていますが、今でもよく使われている四字熟語です。
この機会に使いこなせるようになりましょう。